25/11/03
10年前から純金積立に月1万円投資していたら、今いくら?

日経平均、TOPIX、ダウ平均、S&P500といった株価指数が史上最高値を更新するなか、金(Gold)の価格もまた史上最高値を更新しています。投資に「たられば」は無意味ですが、ニュースでその様子が報じられているのを見て、「前から投資していたら今ごろどうなっていたのだろう」と気になる方もいるでしょう。そんな方のために今回は、もしも10年前から純金積立に月1万円投資していたら、今いくらになっているか、紹介します。
金価格は2万円の大台を突破
金の価格はここ数年、右肩上がりで上昇しています。価格の推移を記したチャートを見れば一目瞭然です。
<金価格の推移(2015年1月1日〜2025年10月23日)>

田中貴金属「金価格 店頭小売価格(税込)」より(株)Money&You作成
2015年からのグラフを見ると、2019年の中ごろまでは1グラム5000円前後で取引されていますがその後急上昇。2023年には1万円、2025年9月には2万円の大台を突破しています。金は「有事の金」といわれ、世界経済が不安定になったり、戦争などの政治的・国際的な事象が発生したりした際に投資先として選ばれる傾向にあります。
金の価格は株や債券などの資産とは異なる値動きを見せる傾向があることから、ポートフォリオに組み込むことで、分散効果・運用効率を高める期待ができます。
金の取引は世界中で、ドル建てで行われています。為替レートが円安に進むことでも、日本での金の取引価格は上昇します。
純金積立はどんな投資?
金への投資方法は、大きく「金地金(きんじがね)」「金貨」「純金積立」「金投資信託」「金ETF」の5つがあります。
<金投資の種類とメリット・デメリット>

(株)Money&You作成
純金積立は、毎月一定額ずつ金の現物に積立投資していく方法です。純金積立は、証券会社や貴金属商、銀行などで1000円、3000円といった少額からスタートできます。ひとたび設定すれば、あとは自動引き落としにできるので手間もかかりません。
純金積立では、毎月一定額ずつ積み立てることで、金の価格が高いときには少しだけ買い、逆に価格が安いときにはたくさん買います。これを長く続けていくことで、平均購入単価を下げる「ドル・コスト平均法」の効果が得られます。また、純金積立では手元に現物はありませんが、実物の金と交換することもできます。
ただし、純金積立では、所定の積立手数料がかかります。積立手数料の金額は利用する会社や積み立てる金額によっても異なりますが、おおよそ積立金額の1.5%〜2.5%程度です。
10年前から純金積立に月1万円から投資していたら?
上で紹介した田中貴金属のデータを活用して、仮に10年前から純金積立に月1万円投資していたら今資産がいくらになっているかを計算してみましょう。
田中貴金属の純金積立では、月3000円から毎月自分で決めた金額で金を積立購入することができます。田中貴金属の純金積立の場合、毎月5日(土日祝日の場合は翌営業日)に翌月分の積立購入金額が引き落とされます。
田中貴金属の純金積立の場合、この引き落とされたお金を使って、毎営業日少しずつ金を買い付けてくれます。具体的には、
①積立購入金額を毎月の営業日数で割って「1日あたりの購入金額」を算出
(割り切れない端数は第1日目の購入金額に加算
②1日あたりの購入金額を当日の店頭小売価格(税込)で割って当日の購入重量を算出
(端数は小数第6位を切り上げ)
という手順で当日の購入重量分の金を買い付けてくれます。一度設定すればあとは自動的に投資が進みますので、手間もかかりません。また、購入した金は保管してくれるので、保管場所を考える必要もありません(別途地金やコインなどでの引き出しも可能)。
今回の試算では話を単純にするために、毎日の金価格から毎月の金の平均価格を算出し、その価格で毎月1万円ずつ積立投資したと仮定しました。また、手数料は考慮しないものとします。
2015年10月から2025年9月までの平均価格と購入できた金の量をグラフにすると、次のようになりました。
<金の平均価格と購入できた金の量(2015年10月>

田中貴金属「金価格 店頭小売価格(税込)」より(株)Money&You作成
計算の結果、購入できた金の量の合計は約179.55グラムでした。
毎月の投資金額は1万円、10年間で120万円と一定ですので、金の価格が上昇するのに比例して購入できた金の量は減っていきます。同じ1万円でも、2015年ごろは毎月2グラム程度購入できていたのに、直近は0.5グラムほどになっていることがわかります。
本稿執筆時点(2025年10月23日)の金価格は2万2035円です。この金価格に約179.55グラムを掛けると、資産額は395万6425円となりました。10年前から1万円ずつ積み立ていれば、資産額はおよそ3.3倍に増えたことになります。
ただ、今後も金価格が上昇するかはわかりません。金価格の上昇は不安定な世界情勢を受けてのものですから、問題が解消されれば金価格が下がることも想定されます。
本稿執筆の前日、2025年10月22日には金価格(上記の田中貴金属の店頭小売価格ベース)が前日比1540円安の21830円と、大きく下落しました。
また、金は保有していても配当金や分配金といったインカムゲインがありません。株や投資信託などのほうが大きく値上がりする可能性もあります。
これらを踏まえた上で、株や投資信託などのポートフォリオの一部に金を加えることを検討してみてはいかがでしょうか。
*本記事で紹介した投資については、あくまでも参考として申し述べたものであり、投資を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願い致します。
【関連記事もチェック】
・本質を理解して投資するために「投資の解像度を上げる」【Money&YouTV】
・【四季報2025年4集秋号】飛躍期待の好業績株5銘柄【Money&YouTV】
・定年後貧乏を招く、退職金の使い方ワースト5
・新NISAの積立日は何日がベスト?損する日はいつ?過去データで徹底検証してみた【Money&YouTV】
・会社も役所も銀行も教えてくれない「定年後のお金の正解」【Money&YouTV】
畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。住宅ローンアドバイザー。教員免許も保有。趣味はランニング。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
























