24/04/06
新NISAの分配金再投資は非課税投資枠を消費する?空きがなければどうなるか
新NISAで投資した投資信託から得られた分配金は、金融機関が用意している「分配金再投資コース」などを利用して、再び投資する設定にしておくと再投資できます。
では、新NISAで分配金再投資をした場合には、非課税投資枠を消費するのでしょうか。また、非課税投資枠に空きがない場合はどうなるのでしょうか。新NISAで得られる分配金と再投資の関係について細かく紹介します。
新NISAと評価益・実現益の関係を確認
新NISAで年間に投資できる金額は、つみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円まで。これらは、投資金額ベースで管理されています。ですから、新NISAで投資した資産が値上がりして、評価益(購入価格より現在の価格のほうが高いときの差額。利益としてはまだ確定していない)がいくらに増えたとしても、非課税投資枠は消費せず、引き続き全額を非課税で投資しつづけることができます。
一方、投資信託から得られる実現益(確定した利益)には
・投資信託を売却することで得られる「売却益」
・投資信託を持っていることで得られる分配金のうち「普通分配金」
があります。
なお、分配金にはもうひとつ、元本を取り崩して支払われる「特別分配金」もありますが、こちらは運用から得られる分配金ではなく、元本を取り崩しているだけですので、利益には含まれません。
新NISAで積立投資の設定をする際に、得られた分配金を再投資する設定にしていた場合は、新NISAの非課税投資枠を消費して再投資するルールになっています。
非課税投資枠がいっぱいだったらどうなる?
では、すでに新NISA年間の非課税投資枠がいっぱいにもかかわらず、普通分配金が支払われた場合はどうでしょうか。
●つみたて投資枠を使い切っているときは?
たとえば、すでに新NISAのつみたて投資枠で1年間の非課税投資枠120万円分投資したあとに普通分配金が得られたとします。分配金を再投資する設定にしている場合、普通分配金は成長投資枠で再投資されます。成長投資枠は1年間の非課税投資枠が240万円ありますので、こちらの非課税投資枠を優先して消費するというわけです。
●成長投資枠も使い切っているときは?
つみたて投資枠だけでなく成長投資枠も1年間の非課税投資枠240万円分を使い切っていた場合には、課税口座(特定口座または一般口座)で再投資されます。課税口座での投資で得られた利益は非課税にならず、20.315%の税金がかかることになるので注意が必要です。
●成長投資枠での分配金を再投資するときは?
すでに新NISAの成長投資枠で1年間の非課税投資枠240万円分投資したあとに普通分配金が得られたとします。この場合も、普通分配金は課税口座(特定口座または一般口座)で再投資されます。つみたて投資枠に空きがあっても、課税口座での再投資になるため、利益は非課税にならず、20.315%の税金がかかります。
●旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)の分配金を再投資するときは?
2023年までに投資した旧NISAの一般NISAやつみたてNISAの資産から分配金が得られることもあるかもしれません。この場合は、分配金の再投資は行われず、非課税で分配金を受け取ります。すでに旧NISAでは、新規の投資はできません。ですから、再投資もできず、分配金は受け取るだけというわけです。
もっとも、新NISAのつみたて投資枠では、分配金を出さない投資信託がほとんどです。分配金を出さない投資信託というと一見残念そうですが、分配金を出さないかわりにそのお金を投資に回し、資産を増やすことを目指します。中長期的な資産の値上がりを目指すのであれば、分配金のない投資信託のほうが理にかなっています。
現に、2018年から2023年までの間利用されてきた旧NISAのつみたてNISA対象商品では、分配金を出した実績がありません。ですから今後も、「つみたて投資枠を使用して分配金を再投資」という事態が起こること自体がないかもしれません。しかし、もしも今後分配金が支払われるようなことがあれば、ここまでお話ししたルールで再投資、あるいは分配金の受け取りになることを押さえておきましょう。
特別分配金の分だけ非課税投資枠が復活する
一方、新NISAの成長投資枠では「四半期分配型」「隔月分配型」といった、分配金を年に数回出す前提で運用される投資信託にも投資ができます。これらの投資信託は、運用がうまくいっているときには普通分配金を出しますが、思うような運用ができなかったときには元本を取り崩し、特別分配金を出します。
この特別分配金で取り崩された分の非課税投資枠は、翌年に復活しますので、再び非課税での投資をスタートできます。
投資で得られた利益を非課税にできる新NISA。投資信託から得られる分配金も非課税なのでお得です。ただ、分配金を再投資する際に年間の非課税投資枠を使い切っていると新NISAで再投資できない場合があることを紹介しました。課税口座での再投資になる場合、利益に20.315%の税金がかかることを押さえておきましょう。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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