22/10/04
つみたてNISAとiDeCo併用、絶対すべき人はこんな人
将来の不安に備えて資産運用を考えている方に多く利用されているのがつみたてNISAとiDeCoです。つみたてNISAとiDeCoは、併用することが可能です。今回はつみたてNISA・iDeCoの制度概要と、特に併用して利用したほうがいい人3選を紹介します。
投資の利益にかかる税金がゼロになるつみたてNISAとiDeCo
投資の利益には、通常20.315%の税金がかかります。つまり、利益が出ても「手取り」の利益は20.315%減ってしまう、というわけです。
投資の利益にかかる税金がゼロにできるお得な制度に、NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)とiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)があります。NISAにはさらに一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAの3つの制度があります。このうち、少額からの長期・積立・分散投資におすすめな制度が、つみたてNISAとiDeCoです。
●つみたてNISA
つみたてNISAは、20歳以上(2023年以降は18歳以上)の人が利用できる制度です。毎年40万円までの投資の利益にかかる税金がゼロにできます。つみたてNISAで投資の対象となっている商品は、金融庁の基準を満たした投資信託・ETF(上場投資信託)。いずれも手数料が低水準で、長期・積立・分散投資に適した商品に限定されているので、投資初心者の方にも利用しやすい制度となっています。
なお、つみたてNISAは今後拡充が見込まれています。現状の投資可能期間(2042年)の恒久化や非課税期間の無期限化、年間投資枠や非課税限度額の拡大などが行われる可能性があります。つみたてNISAが使いやすくなれば、ますます資産形成に役立つでしょう。
●iDeCo
iDeCoとは、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度のひとつ。自分で決めた掛金(最低5,000円から・上限は職業などにより異なる)を積み立てて運用し、60歳以降に受け取ることができる年金です。
iDeCoの投資先は、定期預金・保険・投資信託です。投資で得られた利益はつみたてNISA同様非課税になります。それに加えて、iDeCoで積み立てた掛金は全額所得控除の対象となるので、所得税や住民税が安くできます。また、将来資産を年金として受給する場合は公的年金等控除、一時金として受給する場合は退職所得控除の対象となるため、節税効果があります。
つみたてNISAとiDeCoを併用したほうがいい人は?
つみたてNISAとiDeCoは併用することが可能です。どちらも節税に役立つので、併用できるならばなるべく併用するのがおすすめです。中でも、特に併用したほうがいい人3選をご紹介します。
●つみたてNISAとiDeCoを併用したほうがいい人1:自営業・フリーランス
会社員であれば国民年金と厚生年金の二階建てで年金を準備できますが、自営業やフリーランスの方は、厚生年金がないので国民年金の一階建てになってしまいます。国民年金は満額受け取れても年で約78万円、月にすると約6.5万円です。これだけでは到底、生活できないでしょう。
ですから、自営業・フリーランスの方は、収入があるうちにできるだけ積み立てをして老後資金の準備をしておくのが良いでしょう。自営業・フリーランスの方は、iDeCoの掛金を月額6.8万円(年額81,6万円)まで出すことができます。つみたてNISAの掛金は現状月3.3万円までですので、合計で毎月10万円ほど非課税での積立投資ができます。
自営業・フリーランスの方がiDeCoに加入して掛金を出すことができるのは60歳になるまでですが、以後もつみたてNISAでは投資ができます。自営業・フリーランスの方の強みは定年がないことですので、60歳以降でも働いているならば、つみたてNISAでの投資を続けやすいでしょう。
自営業・フリーランスの方には他にも国民年金基金や小規模企業共済といった制度もあります。iDeCoで特に投資信託に投資した場合、国民年金基金や小規模企業共済の予定利率よりも増やせる(インフレに対応しやすい)可能性があるのもメリットです。
●つみたてNISAとiDeCoを併用したほうがいい人2:独身で過ごそうと思う人
結婚せずに独身で過ごす選択をする方も増えています。内閣府「少子化社会高齢白書」によると、2020年時点の生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合)は男性28.3%、女性17.8%。1970年時点は男性3.3%、女性1.7%でしたので、大幅に増えていることがわかります。
また、厚生労働省「被保護者調査」(令和4年6月分概数)によると、生活保護を受けている高齢者世帯約91万世帯のうち、約84万世帯が単身世帯になっています。老後を独身で過ごすならば、つみたてNISAやiDeCoを利用して老後資金の準備をしておくのが良いでしょう。
配偶者がいないことにより、老後に施設入居を考える方もいらっしゃいます。単身世帯であれば、教育資金はほぼかかりませんし、住宅購入費用がないケースも多いでしょう。その分をできるだけ運用に回して備えると安心です。
●つみたてNISAとiDeCoを併用したほうがいい人3:会社員・公務員
会社員・公務員の場合、老後は国民年金に加えて厚生年金ももらえます。しかし、厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2020年度の国民年金+厚生年金の平均月額は14万4366円です。国民年金だけよりはもちろん多いですが、生活に十分な金額とはいいえないでしょう。
なかでもこれまで企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している方はiDeCoとの併用がしにくかったのですが、2022年10月1日からはiDeCo加入要件が緩和され、iDeCoとの併用がしやすくなります。国民年金・厚生年金・企業型DC・iDeCo・つみたてNISAと、さまざまな方法を駆使することで、老後資金を手厚くできます。
また公務員は、iDeCoの掛金上限額が月額1.2万円(年額14.4万円)と少ないのですが、退職金や年金が減っている現状もあります。iDeCoも併用して、老後資金を増やしていくのがいいでしょう。なお、2024年12月からは、公務員のiDeCoの掛金上限額が月額2万円(年額24万円)に引き上げられる予定です。
まとめ
つみたてNISAとiDeCoはどちらも節税できる制度。老後資金の準備に適しています。将来受け取る年金額に漠然と不安を抱えている方は多くいらっしゃいます。ですから、なるべく早く、収入のある時に可能な限り将来への積立運用を始めるのがおすすめです。特に今回紹介した「併用した方がいい人」に当てはまるなら、できるだけつみたてNISAとiDeCoを併用して老後のお金を堅実に準備しましょう。
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小塚歩 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
大手証券会社、IRリサーチ会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。FP事務所 まいまねい 代表。人生100年時代だからこそ、もっと金融を身近に感じてほしく、セミナー活動を通して、金融リテラシーや金融教育を広めるセミナー講師。得意分野は投資・金融資産運用。
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