22/01/31
楽天証券・楽天銀行「3つの改悪」でポイント激減! いくら損する? 今後の対策は
楽天経済圏を活用している方、多いでしょう。楽天グループのサービスを使って楽天ポイントを集中して貯めて、買い物や投資などに使えるのは嬉しいですよね。
でもこのところ楽天グループでは、サービス内容の変更やもらえるポイントの率(還元率)の変更が相次いでいます。楽天証券・楽天銀行も例外ではありません。今回は、2022年からの楽天証券・楽天銀行の変更点を「3つの改悪」として紹介します。
楽天証券・楽天銀行の改悪1:マネーブリッジでアップする金利が減る!
楽天証券と楽天銀行の口座を連携させる「マネーブリッジ」というサービスがあります。楽天証券と楽天銀行の口座をマネーブリッジで連携すると、楽天銀行に預けたお金をそのまま楽天証券での投資に回すことができます。また、商品を売ったあとのお金も楽天銀行に戻ってくるので、そこからすぐ取り出すことができます。
しかもマネーブリッジを設定すると、楽天銀行の普通預金金利が0.02%(税引前・以下すべて同じ)から最大0.10%と5倍にアップ。大手銀行の普通預金金利は0.001%というご時世に、その100倍もの利息が受け取れるのです。
しかし、2022年4月1日以降は、この金利アップのサービスが変更になります。普通預金金利最大0.10%が適用されるのは残高300万円以下の部分のみとなり、300万円を超える部分の金利は0.04%に引き下げられてしまうのです。
たとえば、500万円・1000万円・2000万円を1年間預金した場合、もらえる利息は次のように変わってしまいます。
●受け取れる利息の違い
・預金500万円の場合
変更前:500万円×0.1%=5000円
変更後:300万円×0.1%+200万円×0.04%=3800円
→1200円減
・預金1000万円の場合
変更前:1000万円×0.1%=1万円
変更後:300万円×0.1%+700万円×0.04%=5800円
→4200円減
・預金2000万円の場合
変更前:2000万円×0.1%=2万円
変更後:300万円×0.1%+1700万円×0.04%=9800円
→1万200円減
変更前と変更後を比べると、預金額が多くなるほど、受け取れる利息が減ってしまうことがわかります。預金額の多い方にはショックとなる変更です。
楽天証券・楽天銀行の改悪2:ハッピープログラムでもらえる楽天ポイントが減る
楽天証券では、マネーブリッジに申し込んだ上で「ハッピープログラム」にエントリーすると、楽天証券での取引に応じて楽天ポイントが受け取れます。その対象商品の中に、投資信託があります。
楽天証券のハッピープログラムでは、保有している投資信託の残高10万円ごとに毎月3〜10ポイントの楽天ポイントが受け取れます(一部対象外商品あり)。投資信託の残高があるだけで毎月受け取れるのですから、嬉しいですよね。
しかし、2022年4月からは楽天ポイントの獲得条件が「一定の残高を保有している場合」から「一定の残高をはじめて達成した場合」に変更されてしまいます。つまり今後は、投資信託の残高がはじめて一定額に達したときに一度だけ楽天ポイントが受け取れ、以後は受け取れなくなってしまうのです。
「一定の残高」と獲得できるポイントの関係は、次のとおりです。
●ハッピープログラムのポイント進呈条件
楽天証券のウェブサイトより
毎月末、保有中のすべての投資信託の残高を合計します(対象外の商品を除く)。そして、その残高が上の表の金額にはじめて到達した際に、所定のポイントが受け取れる、というわけです。
たとえば、500万円分の投資信託を持っていたとします。これまでであれば、「10万円ごとに3ポイント」の投資信託を持っていたら150ポイント、「10万円ごとに10ポイント」の投資信託なら500ポイントが毎月もらえました。単純計算ですが、1年間保有すれば1800ポイント〜6000ポイントも手に入ったのです。
しかし今後はこのポイントが手に入りません。仮に2022年3月末時点で500万円分の投資信託を持っていたとしたら、2022年4月末時点では残高500万円を「はじめて達成した」とはみなされませんので、もらえるポイントは0です。この場合、さらに投資を行って、投資信託の残高が1000万円に達したら、500ポイントが1度だけ受け取れます。
すでに投資信託をたくさん保有しており、これまでハッピープログラムで楽天ポイントを稼いできた方には残念な変更です。
楽天証券・楽天銀行の改悪3:つみたてNISAの「増額設定」がクレジット決済不可に!
楽天証券では、楽天カードのクレジット決済で投資信託を購入できます(毎月5万円まで)。クレジット決済で投資信託を購入すると、100円につき最大1ポイントの楽天ポイントが手に入ります。しかし、つみたてNISAの投資信託を「増額設定」でクレジット決済するときのルールが少し変わりました。
つみたてNISA(積立NISA)で税金をゼロにできる投資金額(非課税投資額)の上限は40万円。毎月の投資額の上限は3万3333円(40万円÷12ヶ月)です。1月から12月まで毎月3万3333円ずつ投資すれば、年間の投資額は40万円(厳密には、39万9996円)となります。
しかし、たとえば8月からつみたてNISAをスタートした場合、毎月3万3333円ずつ投資したのでは、非課税投資額の40万円を使い切ることができません。8月から40万円の非課税投資額を使い切りたいならば、毎月8万円ずつ投資しなくてはなりません。
こうしたときに利用するのが増額設定。増額設定では、年の途中からつみたてNISAを始めた場合、その年に限って積立金額を増額できます。なお、2年目以降は増額設定できません。
●増額設定のイメージ
楽天証券のウェブサイトより
つみたてNISAの増額設定をする場合でも、クレジット決済は利用可能です。しかし、クレジット決済の上限は5万円なので、たとえば「増額設定で月8万円購入する」という場合でも、クレジット決済では5万円までしか購入できなかったのです。のこりの3万円分は、別途証券口座から資金を出して購入の手続きをする必要がありました。
しかし、2022年1月からは、クレジット決済と証券口座引落が同時に設定できるように。毎月の積立金額となる3万3333円分はクレジット決済、残りの4万6667円分は証券口座引落とすることで、1度の手続きで8万円分購入できるようになったのです。
一見、なんだかメリットのように感じられる変更です。確かに手続きは楽になるのですが、実は落とし穴が。つみたてNISAの増額設定分については、クレジット決済ができなくなってしまうため、楽天ポイントが手に入れられなくなってしまうのです。今回紹介した「8月から毎月8万円ずつ」の増額設定の例では、毎月166ポイント×5か月=830ポイントが手に入れられなくなってしまいます。増額設定は最初の1年のみとはいえ、もらえるポイントが減ってしまう、悲しい変更です。
楽天証券・楽天銀行を今後も使うべき?
楽天証券・楽天銀行の3つの改悪を紹介してきました。このところ楽天グループの改悪が相次いでいるため、「また変わってしまうのか…」と思われた方もいるかもしれません。
しかし筆者は、楽天証券や楽天銀行をやめて他に乗り換えるべきとは思いません。楽天証券や楽天銀行がお得な部分はまだまだ残っています。
楽天証券とのマネーブリッジを行うことで得られる楽天銀行の預金金利は、300万円までであれば0.10%のままですし、300万円超の0.04%も大手銀行に比べたら高いほうです。ですから、このまま楽天銀行を使っていてもいいのではと思います。どうしても気になるならば、300万円超の部分は金利0.2%のあおぞら銀行「BANK」や、条件を満たせば金利0.1%となるイオン銀行・東京スター銀行などを活用してもいいでしょう。預金は300万円までにしておいて、残りはiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)や安定的に増やせる投資信託などでコツコツ運用するというのも一案です。
SBI証券「投信マイレージサービス」やマネックス証券「投信保有ポイントプログラム」など、他の証券会社では投資信託を保有することでポイントが貯まるサービスもあります。しかし、そのために楽天証券で持っている投資信託を移管するとなると手間や手数料もかかりますし、何より他のサービスも今後ずっと続くとは限りません。
楽天カードによる投資信託のクレジット決済の「100円ごとに最大1ポイント(最大5万円まで)」についても現時点では変更はありません。楽天カードを利用して投資信託を毎月積み立てで購入すれば、自然と楽天ポイントが貯まっていきます。つみたてNISAの増額設定は1年限りの話ですので、さほど気にする必要はないと考えます。
さらに、楽天経済圏自体の使い勝手の良さもあります。楽天グループのサービスを使うことで楽天ポイントが貯めやすいですし、楽天市場での買い物のポイント倍率が上がるSPU(スーパーポイントアッププログラム)も嬉しいサービスです。
今回紹介した変更点は、これまで利用してきた方にはショックかもしれませんが、だからといって「もう使わない」ではなく、楽天証券・楽天銀行のその他のお得な部分を活用していくほうがいいと考えます。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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