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22/12/30

資産運用・経済

S&P500より成績優秀と話題の「配当貴族指数」連動ファンドには投資すべき?指数やファンドの特徴をプロが分かりやすく解説

S&P500より成績優秀と話題の「S&P500配当貴族指数」連動ファンドには投資すべき?指数やファンドの特徴をプロが分かりやすく解説

米国の株価の動きを示す米国株価指数としてよく知られる「S&P500」に連動する投資信託やETFを利用すれば、米国株にリスク分散をしながら、手っ取り早く投資ができます。

このS&P500を大きく凌駕すると話題なのが「S&P500配当貴族指数」(以下、配当貴族指数)。配当貴族指数に連動するインデックス型投資信託が「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」です。

そこで今回は、S&P500と配当貴族指数の算出基準、特徴、リターン、リスク(ボラティリティ)、業種配分まで、違いを徹底比較します。その上で、投資戦略を一緒に考えていきたいと思います。

S&P500とS&P500配当貴族指数はどう違う?

Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)は、2022年10月28日に誕生した投資信託。配当貴族指数に連動する成果を目指すインデックス型の投資信託です。
Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)が話題になっている理由は、そのパフォーマンスにあります。配当貴族指数のパフォーマンスは、S&P500のパフォーマンスを大きく凌駕しているのです。

●S&P500と配当貴族指数の推移

「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」の目論見書より

グラフを見れば一目瞭然で、配当貴族指数はS&P500のパフォーマンスを大きく上回っています。S&P500に投資している人はもちろん、そうでない人もこれを見れば「配当貴族指数はすごい」「投資信託を買いたい」と思うかもしれません。

しかし、グラフだけを参考にして飛びつくのはNGです。配当貴族指数がどんな指数なのか、きちんと理解してから投資をすべきか判断しましょう。

●S&P500と配当貴族指数の比較

(株)Money&You作成

S&P500は、米国に本拠地を置き時価総額が146億ドル以上(2022年11月10日時点)の銘柄から算出されます。時価総額の金額の部分は定期的に更新されていて、増加傾向にあります。また「4四半期連続黒字維持」など、細かく厳格な基準が設けられています。
一方、配当貴族指数は、S&P500構成銘柄であることに加えて、25年以上連続増配を続けている銘柄から算出されます。最低でも40銘柄以上で構成し、40銘柄に満たない場合は「20年以上連続増配」に条件を緩和します。

また配当貴族指数では、特定の業種が30%以上を占めないよう調整されるので、特定のセクターに集中投資せず、業種が分散されています。
また、「最低浮動株調整後時価総額」が30億ドル以上という条件もあります。「時価総額」が30億ドル以上…ではないのでご注意ください(もし「時価総額」ならば、S&P500の条件を満たさなくなってしまいます)。




続いて特徴をチェックしてみましょう。S&P500は、米国株式市場のカバー率が約80%となっていて、幅広い業種に分散投資できます。4四半期連続黒字維持が条件なので、安定成長している米国企業のみで構成されている指数だとわかります。またS&P500は「時価総額加重平均」という方法で算出されています。時価総額加重平均は、時価総額の大きさを加味して計算される平均のこと。時価総額の大きな大型株の影響を受けやすい特徴があります。

配当貴族指数も、厳格な基準を満たしたS&P500の構成銘柄、しかも25年以上連続増配をしている銘柄を選抜しています。S&P500と違って「均等配分」で算出されるため、特定の銘柄の値動きの影響が少ないのも特徴です。
配当貴族指数の構成銘柄はいずれも財務健全性が高く、安定成長が望める企業の集合体ですから、下落耐性は強いと言えます。
実際、配当貴族指数はS&P500よりも下落耐性が強いことがデータで示されています。

●S&P500と配当貴族指数の年間騰落率の推移

「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」の資料より

グラフ内の赤い点線で示されている年では、S&P500より配当貴族指数の値下がりのほうが少なく「下値抵抗力を発揮」していることがわかります。直近の相場でも同様に、S&P500・NASDAQ100といった指数よりも値下がりの割合が少なく、下落相場に強いことが示されています。

また、S&P500の組入銘柄の業種は、幅広く分散していますが、情報技術・ヘルスケアが多い傾向にあります。それに対し配当貴族指数は、情報技術が少ない代わりに生活必需品や資本財などが多くなっています。

●S&P500と配当貴族指数の構成業種の割合

(株)Money&You作成

このように比べてみると、結構違いがあることがわかります。

S&P500・配当貴族指数をベンチマークとする代表的な投資信託・ETFには、次のようなものがあります。

●S&P500

【投資信託】
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 信託報酬:年0.0968%
・SBI・V・S&P500インデックス・ファンド 信託報酬:年0.0938%
【ETF】
・バンガード・S&P500ETF(VOO) 経費率:年0.03%
・iシェアーズ コアS&P500ETF(IVV) 経費率:年0.03%

●配当貴族指数

【投資信託】
・Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式) 信託報酬:年0.1155%
【ETF】
・ProShares S&P 500 Dividend Aristocrats(NOBL) 経費率:年0.35%

Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式) の信託報酬は年0.1155%と、かなりの低コストになっています。配当貴族指数に投資するETFよりも低コストですから、魅力度も高いといえるでしょう。

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S&P500と配当貴族指数の直近10年のリスクとリターンは?

ここまでの話を聞いて、配当貴族指数に興味が出てきた人もいるでしょう。そこでもうひとつ、S&P500と配当貴族指数の直近10年のリスクとリターンを確認してみましょう。

●S&P500と配当貴族指数の直近10年のリスクとリターン

(株)Money&You作成

まず、配当利回りはS&P500が1.74%、配当貴族指数が2.48%ですから、配当貴族指数のほうが高いことがわかります。こちらは、イメージどおりかもしれません。

しかし、直近10年のリターン・リスク・リスク調整後リターンには、S&P500と配当貴族指数で大差ありません。こちらは、少し不思議ではないでしょうか。冒頭で、S&P500と配当貴族指数のパフォーマンスが大きく違うことを紹介しました。にもかかわらず、直近のデータではリターンやリスクに大差ないからです。

こうなる理由は、「リターン・リスクはどこの期間を切り取るかで見え方は変わる」からです。
冒頭で紹介した、S&P500と配当貴族指数のパフォーマンスを比較したグラフは、「1999年からの推移」を表しています。1999年といえば、ITバブルの崩壊前です。情報技術セクターの多いS&P500は、2001年ごろに起きたITバブルの崩壊により暴落しました。配当貴族指数は、S&P500に比べると軽症でした。その影響が、S&P500と配当貴族指数の差になってあらわれていた、というわけです。

運用会社は、商品を売りたいと考えているため、いい商品に見せたいと考えます。そのため、あえて1999年末からのデータを載せているのです。そうした相手側の意図も汲み取って投資判断をしなければいけない、というわけです。

結局、Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)は買うべき?

最後に、Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)は買うべきなのか、筆者の考えをまとめて紹介します。

まず、米国株に投資するならば、S&P500を優先したいところです。S&P500は時価総額加重なので大型株の影響を受けやすいのが弱点と言われることもあります。しかし、情報技術セクターが多いとはいえ、米国株式市場のカバー率は80%。分散が程よく効いているのは強みです。S&P500ではなく、全米株に投資する「CRSP US Total Market Index」に投資するのもありでしょう。

S&P500と配当貴族指数の直近10年のリターン・リスクは同程度でした。とはいえ、配当貴族指数はその特徴から下落相場にも強いので、S&P500だけでなく配当貴族指数にも投資するのも良いでしょう。Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)は、信託報酬0.1155%と、とても低コストです。

ただ、連続増配株に投資をするならETFという選択肢もあります。上で紹介したNOBLではなく、たとえばバンガード・米国増配株式ETF (VIG)を利用すれば、経費率0.06%とより低コストで約300の銘柄に分散投資ができます。

配当貴族指数は現状、64銘柄に厳選されています。しかし、銘柄を厳選するなら米国株の個別株に投資するのも良いでしょう。たとえばP&G、スリーエム、ジョンソン・エンド・ジョンソン、コカ・コーラといった企業は50年以上連続増配を継続しています。株価が高い銘柄の場合は、PayPay証券を利用すれば、株価にかかわらず1000円から、1株未満の単位で投資ができます。

結論としては、
投資信託またはETFでS&P500に投資する。その上で、
①Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)に投資する
②増配株ETFのVIGに投資する
③連続増配の個別株に投資する
のいずれかになるかと思います
どれを選ぶかは、みなさんのリスク許容度に合わせて方針を決定していただければと思います。

今回の内容は動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍90冊、累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。twitter→@yorifujitaiki

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