22/06/10
働きながら年金をもらうと年金額が減る!? たくさん稼いでも年金を減らさない方法
60歳以降、厚生年金に加入して働きながら受け取る厚生年金を「在職老齢年金」といいます。在職老齢年金で受け取れる金額は、月の年金額と給与(厳密には、年金の基本月額と給与の総報酬月額相当額)の合計額によっては減額されたり、全額支給停止されたりします。
今回は、働きながら年金をもらう場合に、年金額を減らさない方法をお伝えします。
在職老齢年金の対象となる年金は「厚生年金」
在職老齢年金の対象になるのは、60歳以降に受け取る厚生年金と、60歳から64歳までの間に受け取れる場合がある特別支給の老齢厚生年金です。
60歳以降、月の厚生年金額と給与の合計が47万円超になると年金の一部がカットされます。
「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)より
たとえば、65歳で年金額が月10万円、給与が41万円だとしたら、毎月の年金額が月2万円減り、年金支給額が月8万円に。給与と合わせて月の収入は49万円になってしまいます。
「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)より
さらに、給与が月57万円まで増えると、年金が全額停止されてしまいます。
また、60代前半で加給年金を受け取っている場合は、年金が全額停止になると加給年金も全額停止になります。加給年金とは、厚生年金に20年以上加入している人が65歳以上になって老齢厚生年金を受け取る場合に、65歳未満の配偶者や18歳の年度末を迎えるまでの子を扶養しているときに支給される年金のことです。
したがって、年金を全額受け取るには、年金と給与の合計を47万円までに抑える必要があるということです。年金を受け取りながら働くと47万円を超えてしまいそうという場合には、働き方をセーブすることも検討しましょう。
なお、国民年金(老齢基礎年金)は在職老齢年金の対象ではありません。ですから、働いている間は国民年金だけ受給して、厚生年金を繰り下げるようにするのもひとつの手です。国民年金+給与が47万円を超えたとしても、年金はカットされません。
「業務委託契約」での働き方を申し出てみる
在職老齢年金で年金が減る対象はあくまで「60歳以降厚生年金に加入しながら働いている人」です。厚生年金に加入しないで働けば、いくら稼いでも厚生年金が減らされることはないのです。
自営業やフリーランスといった、個人事業主の形で働けば、厚生年金に加入しないので、47万円を超えても年金は減らされません。
業務委託契約で働くということは、会社の拘束を受けないということです。
委託された業務を期日までにこなせばいいので、自分の好きな時間・場所で働くことができます。そのうえ、自分の好きな仕事・得意な仕事だけをすることも可能です。なにより、どれだけ働いて稼いでも年金が減らされることがありません。ですから、思いっきり働くこともできるでしょう。
一方で、業務委託は収入が安定しません。大きな成果をあげられれば再雇用や再就職よりも稼げる反面、次の仕事が入ってこないと、収入を得られなくなってしまうことも考えられます。
そのうえ、労働基準法が適用されないので、「仕事をたくさん引き受けすぎてしまった」となれば、休日返上で働かなければならないことも。雇用保険や労災保険にも加入できませんし、確定申告も自分でする必要があります。
このように業務委託契約は、良くも悪くも自分の裁量・自分の責任が強く問われるようになります。業務委託契約のメリット・デメリットをまとめた表は以下です。
「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)より
もし、47万円を超えて大きく稼げそうであれば、勤め先に業務委託契約を結んで働けないか、相談してみるといいでしょう。
『会社も役所も銀行もまともに教えてくれない 定年後ずっと困らないお金の話』 頼藤太希 著
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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