20/05/27
お金を貯めるな、信用を貯めろ!~『99%の人が気づいていないお金の正体』
今年に入ってから世界中を揺るがしている新型コロナウイルス。長引く自粛生活は各国の経済に深刻な影響を与えています。
今後の生活がどうなっていくのか不安がつのる中で、お勧めしたいのが今月ご紹介する『99%の人が気づいていないお金の正体』です。
本年2月に発刊されたばかりのこの本は、お金の歴史から最新の経済の動きまで明解に解説されている、お金の教科書ともいえる内容。
著者は、幅広い活動を展開する実業家のホリエモンこと堀江貴文さん。冒頭で「僕は、君たちのお金の常識をぶっ壊すつもりで本書を上梓した。」と述べています。
貯金もリスクが伴います
投資派より貯金派がはるかに多い、世界でも有数の貯金大国、日本。昨年の「老後資金に2000万円必要」という金融庁の発表には、世間が騒然としました。また先日には、ZOZO前社長の前澤友作さんの銀行預金が1000億円近いことが話題を呼びました。
ホリエモンも日本有数の資産家ですが、預金額は1000万円以下で多額の現金は持たないとのこと。そう聞くと驚きますが、お金を遊ばせておきたくないからだそうです。
日本人にとっては貯金がなによりも堅実なお金の扱い方で、貯金額が少なければ不安になってしまいます。しかし、お金の価値は時代によって変化し、絶対ではありません。安全に思える貯金で財産価値が減る可能性もあるのです。少子高齢化が進み、今の年金制度が破綻しそうな日本で、貯金にこだわり続けるのはおかしいと彼は指摘します。
お金は投資に回して積極的に動かし、将来のために多少の冒険をするべきだというのが、以前から一貫した彼の考え。ホリエモンにとってお金は「信用」。信用される人間にはお金も仕事もついてくるもの。つまり資産は、信用されている証だというわけです。
自分に合う仕事を作る時代
この先、AI技術の進化やコロナパンデミックにより、経済活動に大きな変革が起きると予想されます。企業は人を雇いしぶり、終身雇用制度はゆらぎ、人件費は削られていくでしょう。
経済の停滞により仕事を失い、次の就職先が見つからなくても、絶望して諦めてはいけないと彼はいいます。
大切なのは「現実社会に自分をどれだけ合わせられるか」ではなく「自分はどんな生き方をしたいのか」。自分に合う仕事がないのなら、新たに作り出せる人が今後は生き残っていくというのです。
国民全員が同じ価値観を持ち、そこからはみ出た人は排除されていた経済成長期はもう終わりました。これからは他者と違う点を伸ばせるユニークなアイデアがビジネスチャンスにつながる時代。社会脱落者とみなされる引きこもりやニートでも、そこを強みにできれば新たな生き方改革になるのです。
正しいお金との向き合い方は
お金は水もので、いつ使い物にならなくなるかわからないツール。貯金にもリスクが伴います。その反面で、お金を使うことは一概に浪費とはいえず、経済が活性化することで生じる社会のメリットは、ひいては自分に戻ってきます。
信用で成り立つお金を稼ぐには、信用される人間になることが大事。お金を使って信用を貯めれば、お金の心配をせずに済むということです。
お金に関するアナログなイメージが根強くまかり通っている日本。お金と向き合うためには誤解を正してその本質をきちんと理解することが必要です。
あなたもマネーリテラシーをしっかり身につけて、自分の生き方改革をしてみませんか。
『99%の人が気づいていないお金の正体』
(宝島社)
【読書ブロガー小野寺理香のブックレビュー】記事
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小野寺 理香 おのでら りか
読書ブロガー。好きなジャンルは文学、歴史、アート。ふとしたきっかけで出会い、好きになったら長くつきあう……本との巡り合いは人と同じ。時に味わう〝がっかり〟も、読書のおもしろさのひとつです。ここでは、よりすぐりのすてきな本をお届けします。
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