18/12/15
ドラレコ特約、個人に便利なFinTech(フィンテック)サービスをお金のプロが徹底解説
12月4日(火)、麹町にある株式会社Finatextのイベントスペースにて「ファイナンシャルプランナー三田会(FP三田会)」の勉強会が開催されました。
会場の提供者である株式会社Finatextの傘下には、スマホ証券の株式会社スマートプラスがあり、スマートプラスではコミュニティ型株取引アプリ『stream』を運営しています。
勉強会は2部制で、第1部が「損保大手4社『ドラレコ特約」比較』、第2部が「“個人に便利な”Fintech(フィンテック)サービスマップ」でした。
講師は第1部がなごみFP事務所の竹下さくらさん。第2部株式会社Money&Youの頼藤太希さんが担当しました。
参加人数は20名ほど。終始にぎやかなムードで進行しました。
今回は、その様子をちょこっとご紹介します。
損保会社から借りられるドラレコのサービスとは?
第1部では、竹下さくらさんによる「損保大手4社「ドラレコ特約」比較」の説明が行われました。
© Money&You Inc.
幅寄せや急停止等、危ない運転をして嫌がらせをする「あおり運転」が社会問題になっています。そのため最近、車に取り付けて運転中の映像を撮影するドライブレコーダー(ドラレコ)の重要性が高まっています。
ドラレコは、車用品店などで買うことができるほか、損害保険会社の特約で借りることもできます。どちらがいいのでしょうか。
市販のドラレコは8000円〜2万円程度。それに対して特約は月額で650円〜850円程度となっています。長い目で見れば、自分でドラレコを買ったほうが安上がりです。
しかし、竹下さんによると、損害保険会社の特約には、2つの注目すべきサービスがあるといいます。
ドラレコ特約で注目したい点1:事故を起こしたとき、保険会社に連絡がいく
保険会社のドラレコにはGPSが付いており、常にLTE通信をしています。つまり、どのような経路で運転しているかをすべて把握できるということです。そして、事故が発生したら、その前後15秒ほどの映像が自動的に保険会社に送信されます。事故で意識をなくした場合でも、これならば自動で連絡できます。
三井住友海上「見守るクルマの保険」(ドラレコ型)や東京海上日動火災「ドライブエージェントパーソナル」では、事故を感知すると、ドラレコを通してオペレーターと音声通話ができます。また、損保ジャパン日本興亜「ドライビング!」は警備会社のALSOKと提携。事故後すぐにガードマンが駆けつけ、相手との交渉をすべてしてくれます。
ドラレコ特約で注目したい点2:安全運転診断ができる
上記で紹介した保険には、ドラレコを通して得られる運転データを用いながら、安全な運転をしているか診断してくれるサービスがあります。
損保ジャパン日本興亜は、契約者専用サイト上で毎月運転診断レポートを提供。いつでも見ることができるほか、視機能のトレーニングをすることもできます。
東京海上日動火災でも更新時に安全運転診断レポートがもらえます。こちらは、全国平均や同世代平均の評価と比較できるそうです。
三井住友海上の場合は、毎回の運転結果をA〜Dの4段階で評価してくれるほか、月間のレポートも確認できます。
一方で、車で移動する際には、どこに行ったかが保険会社に知られることになります。それが気になる方には、適さないかもしれないとのことでした。
© Money&You Inc.
これらのサービスの特徴を踏まえたうえで、どちらにすべきかを考えましょう、と竹下さん。ドラレコ特約をつけるならば、特に高齢者の場合、対人無制限・対物無制限・ドラレコ特約の3点はセットにしてほしい、といいます。
竹下さんから「必要な方に必要なサービスを届けるのがファイナンシャルプランナーの仕事ですから、ドラレコのことも知識として身につけておいて、必要に応じて教えてあげるようにしましょう」とありました。
個人が是非とも活用したいFintechサービスが盛りだくさん
第2部では、頼藤太希さんによる「”個人に便利な”Fintechサービスマップ」の説明が行われました。
© Money&You Inc.
金融とITの融合、Fintech(フィンテック)サービスのすそ野は幅広く、さまざまな場面で活用が進んでいます。
Fintechサービスを手がける企業が目指しているのは、プラットフォームビジネスだといいます。つまり、土台をきちんと用意して、その上でさまざまなサービスを展開することで、人を集めようとしているというのです。
たとえば決済分野だけを見ても、AppleやGoogleは、パソコンやスマホ、タブレットといった端末(プラットフォーム)を通し、音楽配信などのさまざまなサービスを展開して人を集めています。そこからさらに、便利に決済したい人を取り込もうとしています。逆にいえば、きちんとしたプラットフォームが用意できないサービスは、利用者を増やせずに苦戦するかもしれないということでした。
頼藤さんは、個人が使って便利だと感じられるFintechサービスを、6ジャンルにわけて紹介しました。
送金・決済サービス7選を紹介
LINE Pay・Apple Pay・Google Pay・PayPay(ペイペイ)・Kyash(キャッシュ)・pring(プリン)・ORIGAMI Pay・d払い
スマホで買い物したり、個人間でお金のやり取りをしたりするサービスです。
クレジットカードを登録してスマホで決済する非接触決済型と、QRコードを見せたり読み取ったりして決済するQRコード型があります。
LINE Payはメッセージアプリ「LINE」上で利用できるため、潜在的なユーザー候補は非常に多いと考えられます。そのうえ、利用するとポイント還元が受けられる点も大きいといいます。
また、ソフトバンクとヤフーの出資で生まれたPayPayは総額100億円もの還元キャンペーンを実施。一気に利用者を獲得しようとしています。
資産管理・家計簿サービス6選を紹介
Money Forward ME・Moneytree・Zaim・Dr.Wallet・おカネレコ・LINE家計簿
銀行口座やクレジットカード、レシートの情報などを利用して、自分の資産情報をまとめるサービスです。
すでに数千の金融機関と連携しているものあり、正確に資産情報を把握することができます。おカネレコのように入力に特化したものや、Dr.Walletのようにレシート情報をオペレーターが手入力してくれるものもあります。
おつりサービス4選、ポイント投資3選を紹介
マメタス・トラノコ・finbee・しらたま・セゾンカード・dポイント投資・楽天ポイントクラブ
おつりやポイントを自動で貯めたり、投資したりするサービスです。
マメタスとトラノコはおつり投資、finbeeとしらたまはおつり貯金、セゾンカード・dポイント投資・楽天ポイントクラブはポイント投資です。
ポイント投資が聞き慣れないようでした。ひとことでいうと、持っているポイントを運用ポイントに変換し、投資信託を買い付けるものです。運用がうまくいけば、ポイントが増えます。
© Money&You Inc.
ロボアドバイザー4選を紹介
WealthNavi・THEO・楽ラップ・マネラップ
簡単な質問に答えるだけで、一人ひとりに合った投資プランを作成し、運用してくれるサービスです。ここに上げた4社は、預かり資産残高が比較的多いところとのことです。
ただし、買って持っている間かかる信託報酬が1%と、人気のある投資信託に比べて高いのが難点。「お金のリテラシーを身につけて、手数料の安い投資信託を選べるようになってもらったほうがいい」と頼藤さん。信託報酬が0.2%などと、安くなってきたら検討したい、とのことでした。
スマホ証券6選を紹介
One Tap BUY・folio・STREAM・LINEスマート投資・LINE証券・SBIネオモバイル証券
スマホで株式投資ができることはすでに一般的ですが、ここで紹介されたのはこれまでにない株式投資のサービスです。
One Tap BUYは1000円から同社が選んだ米国株・日本株(それぞれ約40銘柄)を購入できるサービス。積み立てにも対応しています。
forioは10社で構成されたテーマに投資できるサービスです。LINEスマート投資はfolioと提携しているため、同様のことができます。
LINE証券やSBIネオモバイル証券はこれからサービスを展開する予定。後発組としてどのようなサービスを展開するか、注目です。
クラウドファンディング9選を紹介
JAPANGIVING・Makuake・CAMPFIRE・Readyfor・maneo・SBIソーシャルレンディング・CROWD CREDIT・Crowd Bank・セキュリテ
ネットを使った資金調達を行うサービスです。クラウドファンディングには以下の4つの型があります。
・寄付型…お金を寄付する。リターンはなく、お礼だけもらう
・購入型…製品・サービスを利用するためにお金を出す
・融資型…お金を貸して利子を得る(ソーシャルレンディング)
・投資型…未上場の株式・ファンドなどに投資する
個人に人気なのは購入型。お金を出すことで、夢のある製品やサービスを先に購入できたり、格安で利用したりできるようになります。
気になったFinTechサービスは使ってみる!
これだけいろいろなしくみがあると、高齢者はついていけないのでは?
参加者からの質問に対して、頼藤さんは「今回紹介したようなサービスが一般化してきたら、高齢者の方も使わざるを得なくなります。難しいから使わない、ではなくて、勉強していただく必要があるでしょう。とはいえ、使ってみればそんなに難しいものではないので、ぜひ試してみてください」と語っていました。
以上、「ファイナンシャルプランナー三田会(FP三田会)」の勉強会の様子をレポートしました。90分と短時間ながら、密度の濃い内容でした。
勉強会は今後も開催する予定とのこと。どなたでも参加できるので、気になった方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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