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23/12/20

相続・税金・年金

多くの人が年金の繰り下げ受給を選ばない5つの理由

多くの人が年金の繰り下げ受給を選ばない5つの理由

年金だけを頼りにしていると老後の生活費が足りなくなるといわれます。そこで、年金収入を増やす方法として「繰り下げ受給」がありますが、実際には活用している人はまだまだ少ないのが現状です。年金が増やせる制度なのに、どうして繰り下げ受給を選ばないのでしょうか?その理由を探ってみました。

繰り下げ受給をする人はかなり少ない!?

繰り下げ受給とは、通常65歳からもらい始める年金を66歳から75歳までの間に遅らせて受給することです。繰り下げ受給をすると、年金が1ヶ月につき0.7%増額します。たとえば70歳まで繰り下げれば42%、75歳までなら84%増額することができるのです。そして、一度決まった増額率は一生変わりません。

けれども、実際に年金を繰り下げ受給する人は少ないのが現状です。
厚生労働省年金局が公表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2021年度(令和3年度)における国民年金の受給権者約3,435万人のうち、65歳から受給を始めた人は全体の87.0%(約2,989万人)で、繰り上げ受給(60歳から64歳までの間に受給を早めること)をした人は11.2%(約384万人)でしたが、繰り下げ受給をした人はわずか1.8%(約61万人)だったのです。

●国民年金受給権者の繰り上げ・繰り下げ受給状況の推移

厚生労働省年金局「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和3年度)より

過去5年で見ると、繰り上げ受給を選ぶ人は減りつつあり、繰り下げ受給を選ぶ人はわずかながら増加しています。しかしそれでも、繰り下げ受給の1.8%は少ない水準でしょう。

年金が増額するのにもかかわらず繰り下げ受給を選ばないのには、いくつかの理由があるようです。

繰り下げ受給を選ばない5つの理由

繰り下げ受給をする人は年金の受給権者のうち、たった1.8%しかいないことがわかりました。これには心理的・経済的な理由があるようです。ここでは繰り下げ受給を選ばない理由を5つご紹介します。

●繰り下げ受給を選ばない理由1:いつまで元気でいられるかわからないから

繰り下げ受給をすれば年金額が増えることはわかっていても、いつまで元気でいられるかを予測することはできません。また、65歳から年金がもらえるのは確実なことです。それなら、あえて繰り下げ受給をするよりも、受給が確実な65歳からもらっておいた方がいいと考える人は少なくありません。

●繰り下げ受給を選ばない理由2:税金や社会保険料が増えるから

繰り下げ受給をすると年金額が増えるので、住民税や健康保険料などが上がる可能性があります。それだけでなく、所得が増えることで医療費や介護保険サービスの自己負担割合が増えるかもしれないのです。年金を増やすことで、かえって出て行くお金が増えるのなら、繰り下げ受給はあえて選びたくないと考える人は少なくないでしょう。

●繰り下げ受給を選ばない理由3:もらえるはずの給付金がもらえなくなるから

会社員だった夫に年下の妻がいると、65歳になってから加給年金がもらえる場合があります。でも、繰り下げ受給を選択すると加給年金はもらえません。
また、住民税非課税世帯になれば、低所得者向けの給付金がもらえる場合があります。しかし、繰り下げ受給で所得が増えれば、給付金がもらえなくなるかもしれないのです。

●繰り下げ受給を選ばない理由4:在職老齢年金で年金額が調整されてしまうから

65歳以降も働きながら在職老齢年金(老齢厚生年金)をもらうことはできますが、場合によっては年金の一部または全部が支給停止になることがあります。この在職老齢年金も繰り下げ受給は可能です。しかし繰り下げによる増額分は支給停止で減額となった年金額をもとに計算されるので、本来の繰り下げ受給による恩恵をフルに受けられなくなります。

●繰り下げ受給を選ばない理由5:特別支給の老齢厚生年金をもらうから

1985年の年金制度改正で、老齢年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられました。その際、男性は昭和36年(1961年)4月1日までに生まれた人、女性は昭和41年(1966年)4月1日までに生まれた人は、60歳から64歳までの間(生年月日・性別により受給開始年齢は異なる)に「特別支給の老齢厚生年金」をもらうことができました。ただ、すでに始まっている年金受給を繰り下げ受給で止める人は少なく、通常の年金も65歳からもらい始める人が多かったのです。

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繰り下げ受給に向いている人

これまでに、繰り下げ受給を選ばない5つの理由を紹介してきました。実際のところ、繰り下げ受給をする人はわずかな人だけ(2021年度は1.8%)です。

繰り下げ受給を選ばないのは、年金をもらい始めるまでの待機期間が無収入になるからなのではないでしょうか。
繰り下げ受給をするということは、受給開始年齢までの生活費が必要です。そのため、年金受給が始まる前から老後資金の取り崩しを始めてしまうと、年金生活に入ってから生活費が不足する可能性があります。貯めておいた老後資金が年金受給開始までに減ってしまうといった不安から、あえて繰り下げ受給を避ける人が多いと考えられます。

しかし、中には繰り下げ受給を選択しても生活に支障が出ない人たちもいます。では、繰り下げ受給に向いている人はどのような人なのでしょうか?

●年金が少ない人

もらえる年金が少ない人は、繰り下げ受給で年金額を増やすとよいでしょう。特に専業主婦は、わずかながら独身時代に会社勤めしていた頃の老齢厚生年金があるにせよ、年金のほとんどが老齢基礎年金になります。そこで、夫婦の年金生活が少しでも安定するよう、妻は繰り下げ受給をして年金額を増やしてもよいでしょう。
ただし、繰り下げ待機中に夫の年金だけでは生活費が足りなくなる可能性があるので、夫が働いている間に老後資金を十分に準備しておく必要があります。また生活費を見直して、繰り下げ待機中の取り崩し分を最小限に留めることも重要です。

●65歳以降も働くつもりの人

繰り下げ待機中に働いて収入を得ることができれば、繰り下げ受給を選択しても問題はありません。このとき注意したいのは、65歳以降も厚生年金に加入して働くと、在職老齢年金によって賃金の一部または全部が支給停止になり、減額された年金額で繰り下げ分が計算される点です。
とはいえ「厚生年金の基本月額+総報酬月額相当額」が48万円以下に収まれば年金は全額支給になります。そうなれば、繰り下げ受給をしてもフルで年金額を増やせるので、働き方を検討することをおすすめします。

●老後資金を十分に蓄えている人

資産運用やiDeCo、個人年金保険など、現役時代から老後資金を見据えて準備してきた人は、繰り下げ待機中の生活費を多少は取り崩しても影響は少ないでしょう。ただし、これも資金計画が必須です。長期的なライフプランを立てたうえで、毎月の生活費を見直しておきましょう。また、繰り下げ待機中に取り崩しできる貯蓄の範囲を確認し、病気や介護に必要な費用も考慮して、十分な老後資金を準備することをおすすめします。

●自営業者の人

自分で事業を営んでいる人は、65歳を過ぎてもそのまま働けるのが強みです。生活できるだけの事業収入が見込めるのであれば、年金は繰り下げ受給にしてもよいでしょう。
ただ、自営業者は年金が老齢基礎年金だけです。年金だけでの生活では生活費が不足するため、老後資金を準備するための制度を活用したいです。
国民年金基金やiDeCo、小規模企業共済は掛金が全額所得控除になります。これらの制度を節税対策として取り入れながら、老後資金の準備を進めていきましょう。

●健康に自信がある人

健康に自信がある人は長生きできそうなので、老後資金を十分に用意する必要があるでしょう。その際、できることの1つが繰り下げ受給です。長生きできれば、繰り下げ受給の効果が大きくなります。ただし、今は元気でも高齢になるにつれ病気のリスクが高まります。また、要介護になる可能性もあります。繰り下げ受給を選択するなら、病気や介護など不測の事態を見据えた老後資金の準備が必要です。そして、繰り下げ待機中は働いて収入を得ることを検討した方がよいでしょう。

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年金のもらい方を考えるヒント

年金額が増えるのに繰り下げ受給を選ばないのには5つの理由があることがわかりました。でも、今現役世代の人がもらえる年金は、もしかしたら今よりも減るかもしれないし、特別支給の老齢厚生年金がもらえるわけではありません。

今、私たちが考えなければいけないことは、自分の望む生活レベルを実現するために、どのように老後の生活費を補てんするかということです。そのためには資産運用で手持ちの資産を増やしておくことが大事です。また、繰り下げ受給をするなら、受給開始年齢までの生活費を用意しておく必要があります。年金の受給が始まる前に老後資金の取り崩しが始まるわけですから、場合によっては想定以上の貯蓄を取り崩す可能性があるかもしれません。そのような状況にならないように、年金受給開始前後のライフプランが重要になります。

また、繰り下げ待機中に働く場合、得られる収入によっては在職老齢年金の一部または全部が支給停止になり、繰り下げ効果が薄れる場合があります。けれども、在職老齢年金が支給停止にならない範囲で働けば、繰り下げ受給による効果は得られます。さらに、老齢基礎年金は働きながら受給しても、年金額は調整されないため、老齢基礎年金のみを繰り下げ受給して年金額を増やすことは可能です。また、加給年金の対象者も老齢基礎年金のみを繰り下げ受給すれば加給年金はもらえます。

老齢基礎年金と老齢厚生年金のいずれか片方を繰り下げ受給することは可能なので、働き方やライフスタイル、家計状況などに合わせて年金ももらい方を考えてみてはいかがでしょうか。

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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