18/04/20
投資の損を招く「心の罠」にかからない方法〜プロスペクト理論〜
-買うと下がって、売ると上がる-
こんな経験はないでしょうか?
最も嫌な投資パターンですが、意外とこのパターンにはまっている人、多いのでないかと思います。自分は投資の才能がないのと思いたくもなりますが、実はコレ「心の罠」にかかっている可能性があります。
今回は「心の罠」の1つである『プロスペクト理論』と、その罠にかからない方法を紹介します。
「プロスペクト理論」とは、損を嫌がるが上に起こる行動理論
「プロスペクト理論」とは、ノーベル経済学賞を受賞したカーネマンらによる、人は損を嫌うもので、損の可能性があると損失そのものを回避しようとする傾向があるという行動心理学による考え方です。
例えば、「通常だと2000円のところを本日限定で1000円!おまけも付けちゃいます!」といったキャッチフレーズ、よくテレビでも耳にしますよね。
人は損をすることを嫌う心の傾向を利用し、今日、買わないと「損」と感じさせて、商品に飛びついてもらう「プロスペクト理論」を使った「心の罠」への仕掛けともいえます。
投資の場合だと、今後、株価が大きく下がる要因になるかもしれない政治や戦争等のニュースが流れたとします。直近で分かりやすいのはトランプ大統領ですね。
「トランプが大統領になると大変!大暴落だ!」と危機感を持った人は多く、選挙結果が出る前に投資資金を売る決断をした人は多いはず。これは、トランプ大統領就任によって資産が減ることを嫌った「プロスペクト理論」で説明がつく行動です。
しかし、この行動はトランプ相場による利益を逃す結果となりました。
一方、上昇局面でも、損を嫌った行動をとることがあります。少し上がってすぐに利益を確定する行動です。これは、さらなる利益を逃す可能性につながる行動です。
「プロスペクト理論」に示される損を嫌う気持ちに任せて投資判断をしていては、損を避けようとしながらなぜかいつも損を招く行動を繰り返してしまうという可能性は大きいのです。
心の罠にかからない方法は?
ではここから「プロスペクト理論」による「心の罠」にはまらない方法をお伝えします。
人は、その時々の気分で判断すると「心の罠」にかかる危険性があることを、まず知りましょう。
その上で、前述の買い物の場合、買うか買わないかの決定は即決しないという決まり事を作っておくといいでしょう。
キャッチフレーズに気持ちが動かされそうになった場合、「今」申し込むのではなく、受付ギリギリまで考えてみる。時間に余裕がある時は、最低1日は考える時間を持つ。時間の経過とともに、本当はそれほど必要なものではなく買わない決定をすることで「損をしない」結果を得られるかもしれません。
投資についてはその時々で判断しない運用の仕組み作りを立てるといいでしょう。
その時々の気分で売ったり買ったりせず、半年ごとや1年ごとに定期的に、ただただ事務的にリバランスを行いながら資産管理をします。ルールを決めて、淡々とこなす。これが「心の罠」にかからない秘訣です。淡々と自動的に行う毎月の積立投資もおススメです。
また、総資産の10%以内にするなど、少ない金額で行っておけば、日々の値動きが気にならないようにもなるでしょう。
まとめ
「心の悪い癖」を上手くコントロールするポイントは感情に左右されない「事務的で淡々」とした行動ということになります。ファイナンシャルプランナー等にいつでも相談できるよう、伴走してもらうのもコントロール方法としていいでしょう。
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小林 裕子 ひろファイナンシャルプランニング代表 CFP ・1級FP技能士
2008年FP相談業務開始。2014年事務所運営スタイルを金融機関等からの紹介手数料を一切得ず、報酬は顧客からの相談料のみとするフィーオンリーへ移行。「ファイナンシャルプランニングは100人100様」をモットーにライフプランの実行支援を行っている。
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