21/04/14
都道府県知事の給与ランキング 知事は一体いくらもらっているのか
2020年の新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、都道府県知事をニュースで目にする機会が増加。対応をめぐり、全国の知事が注目されています。そんな都道府県知事は、いったいどのくらいの給与をもらっているのでしょうか。紹介します。
給与ランキング1位は4年連続「神奈川県」
都道府県知事は、日本の各都道府県の首長、トップの役職。住民による直接選挙で選ばれており、米国の大統領にも例えられるほどの強い権限をもつ存在です。
とはいえ、47都道府県の知事の中で、名前と顔が一致するのは、東京や大阪といったメディアなどで目にする機会の多い知事に限られていたのではないでしょうか。しかし最近は、各都道府県の知事がコロナの対応でニュースに出てくることが増えたので、近隣の都道府県の知事を覚えたという方もいるでしょう。
そんな強い権限と重責を担う知事はいくらの報酬を受け取っているのでしょうか?
●知事の給与ランキング
総務省「地方公共団体別給与等の比較(2020年)」
47都道府県で一番給与の高いのは神奈川県の145万円でした。神奈川県が1位なのは4年連連続となります。2位以下は埼玉県142万円、千葉県139万円、広島県138.9万円、福岡県135万円と続きます。関東圏や地方でも経済的に発展している都市が上位に入っている印象です。
このランキングを見て「あれっ?東京は?」と思われた方いらっしゃると思います。東京は72.8万円で最下位です。東京が最下位なのも4年連続です。東京が最下位となったのは、2016年に小池百合子都知事が「身を切る改革」の一環として、東京都知事の給与を半減する条例案を知事自ら提出し可決された経緯によるものです。条例可決前は東京都が1位でした。下位グループは東京都に続き、北海道96.6万円、秋田県96.8万円、徳島県97.5万円、新潟県102万円などとなっています。
知事の給与は各自治体の懐具合の影響を受ける
知事の給与は条例で定めないといけない決まりになっています。
小池都知事のように給与を減額する場合も、条例内容を変更する必要があります。変更には議会のチェックを受けた上で議決が必要です。
強い権限を持つ知事ですが、たとえ減額でも、議会の賛同を経ることなく独断で給与を決めることはできない仕組みになっているのです。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大で地方自治体も経済面で厳しい状況です。そのため多くの知事が財政改善対策の一環として給与を減額しました。
知事の給与はリーダーを務める自治体の懐事情とも関わります。それを見るために財政力指数をチェックしてみましょう。財政力指数とは各都道府県の財政力を示す指数。財政力指数が高いほど財源に余裕がある自治体です。逆に財政力指数が低いほど、国からの地方交付金を受け取っている割合が高くなり、財政面で国への依存度が高い自治体といえます。
●財政力指数ランキング
総務省「地方財政状況調査(2019年)」
財政力指数の上位と、給与額の上位に入る都道府県を見比べてみると、けっこう被っています。給与額ベスト10のうち、6つの県が財政力指数のベスト10に入っています。また、給与額ベスト10の残り4県も、財政力指数で見ると広島県14位、岐阜県18位、群馬県11位、宮城県13位と上位に入っています。東京は例外として、それぞれの自治体の懐事情が知事の給与と関係しているという見方はできそうです。
知事の給与を高いとみるか?低いとみるか?
本稿執筆時点(2021年4月9日)、大阪でコロナの感染が再拡大し、感染者数は東京を上回る状況に。「まん延防止等重点措置」の適用が始まりました。
2020年、コロナ対応で多忙を極める吉村大阪知事の疲労の様子を見て心配の声が集まり、SNSでも吉村知事に「寝てください」とのメッセージが多く寄せられたことが話題になりました。ちなみに大阪知事の給与は下から数えるのが早く40位の106.4万円です。
大阪だけに限らず、各都道府県の知事は特にこのコロナ禍では大きなプレッシャーと闘いながら政治判断をしなければいけません。そのような視点から今回のランキングを見てみると、自治体ごとの給与格差はありますが、筆者としては、全体的にはとても高いとはいえない金額だと感じています。連日に及ぶコロナの対応で大変だとは思いますが、感染の再拡大防止に向けて、引き続き取り組んでいただきたいですね。
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小林 裕子 ひろファイナンシャルプランニング代表 CFP ・1級FP技能士
2008年FP相談業務開始。2014年事務所運営スタイルを金融機関等からの紹介手数料を一切得ず、報酬は顧客からの相談料のみとするフィーオンリーへ移行。「ファイナンシャルプランニングは100人100様」をモットーにライフプランの実行支援を行っている。
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