25/04/20
育休中にもらえる給付金が手取り10割「出生後休業支援給付」条件、期間、対象者は?【2025年4月から】

国は少子化対策の一環として、2025年4月より新しい制度「出生後休業支援給付」を導入しました。出生後休業支援給付は、育休(育児休業)中の手取り収入が休業前と比べて実質100%、つまり「手取り10割」になる制度です。
また、同じく2025年4月より、育児時短勤務中に給付金がもらえる制度「育児時短就業給付」もスタートしました。
今回は、出生後休業支援給付と育児時短就業給付について、詳しい内容や制度を受けるための条件を説明します。
出生後休業支援給付とは?
出生後休業支援給付とは、子が生まれてから一定期間のうちに夫婦ともに14日以上の育休(育児休業)を取る場合、育休スタートから28日の間、育休(育児休業)前の賃金の13%が支給される制度です。
<出生後休業支援給付金のイメージ>

厚生労働省の資料より
これまでの育休制度では、育児休業が始まってから180日間、育休前の賃金の67%が支給されていました。これに、今回始まった出生後休業支援給付で13%が上乗せされるため、合計で80%支給されることになります。
さらに、育休(育児休業)中は社会保険料が免除されます。また、育休(育児休業)のための給付金には所得税がかかりません。つまり、社会保険料免除分と非課税分を考慮すると、育休(育児休業)前の賃金の80%が支給されるというのは、実質「手取り収入が100%相当になる」という意味になるのです。
ただし、育休前賃金の80%が支給される、つまり実質手取りが100%なのは、育休(育児休業)が始まってから28日間のみです。その後はこれまでと同様に、180日までは賃金の67%、それ以降は50%が支給されます。
●出生後休業支援給付を受けるための条件
出生後休業支援給付を受けるためには、以下の条件をどちらも満たす必要があります。
①男性は子が生まれてから8週間以内、女性は産休後8週間以内に14日以上の育休(育児休業)を取る
②夫婦ともに育休(育児休業)を取得する
ただし②については、配偶者が自営業や専業主婦(夫)の場合はそもそも育休(育児休業)がありませんから、本人が育休(育児休業)を取得するだけで給付を受けることができます。配偶者がいないひとり親家庭も同様に、本人の育休(育児休業)取得のみで給付金がもらえます。
●出生後休業支援給付の対象者
出生後休業支援給付金がもらえるのは、1歳未満の子を育てるために育休(育児休業)を取得する人です。共働きでどちらも会社などに勤める雇用保険の被保険者の場合、夫婦の両方に支給されます。
育児時短就業給付とは?
2025年4月、出生後休業支援給付制度が始まったと同時に、育児時短就業給付制度もスタートしました。
育児時短就業給付とは、育児のために時短勤務で働く人の賃金水準がフルタイムで働いていたときより下がった場合に、給付金を支給する制度です。
これまでの短時間勤務制度は、3歳未満の子を育てる労働者が、子育てのために1日の勤務時間を6時間に短縮することが認められているだけで、時短で賃金が下がった場合の補填はありませんでした。
今回、育児時短就業給付が始まり、育児時短勤務中に支払われた賃金の最大10%が給付金として支給されることになりました。ただし、フルタイム勤務のときの賃金水準や、支給限度額(2025年7月末までは月額45万9000円)を超えないように調整されます。
育児時短就業給付金は、原則、育児時短勤務を始めた月から終えた月まで支給されます。ただし、養育している子が2歳になった場合や、産前産後休業や育児休業、介護休業に入った場合は、その月までで支給が終了します。
●育児時短就業給付を受けるための条件
育児時短就業給付を受けるための条件は、以下のとおりです。
①2歳未満の子を養育するために時短勤務を行っている
②時短勤務を始める前までの2年間で12ヶ月以上雇用されている
③支給対象月の賃金が育児時短勤務を始める前の賃金水準よりも低下している
●育児時短就業給付の対象者
育児時短就業給付の対象者は、2歳未満の子を育てるために時短勤務を行っている人です。
給付金の活用により柔軟な働き方が可能に
出生後休業支援給付と育児時短就業給付について解説してきました。どちらも、共に働き共に子育てする夫婦を増やしていくための政策といえるでしょう。事業者は、これらの給付金制度を使って仕事と育児を両立する従業員を支援できるよう、社内の仕組みを整えておく必要があります。
出生後休業支援給付制度を利用すると、育休(育児休業)中も手取り収入が減らないため、男女ともに育休(育児休業)を取得する人が増えると考えられます。また、育児時短就業給付制度によって、時短勤務を選択する方も増加するでしょう。対象になる方はぜひ活用して、仕事と育児の両立に役立てましょう。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。

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