25/03/01
老後貧乏に陥る50代「激ヤバ行動」8選

老後の収入の柱といえば年金ですが、「現役時代よりも収入が増える」という人はまずいません。年金額はそれほど多くはなく、月々の収入は減ってしまいます。貯蓄をして老後資金を準備しておかなければ、老後の生活は貧しいものになってしまいます。
今回は、老後貧乏へ一直線な50代の行動を8つ紹介し、50代からでもできる対策について説明します。もし8つの行動に心当たりがあるなら、今からでも行動を改めることを考えてみてください。
老後貧乏へ一直線な50代の行動①毎月貯蓄していない
老後資金を用意するためには、毎月コツコツと貯蓄しておかなければなりません。しかし、毎月の家計がギリギリで、貯蓄できていない人もいるでしょう。50代から老後資金を貯蓄するとなると、毎月の貯蓄額をかなり多くしなければなりません。もし貯蓄ができなければ老後貧乏まっしぐらです。
50代からでも老後資金の貯蓄は可能です。貯蓄がない人は、毎月の収支を見直してみましょう。収入を増やして支出を減らせば、毎月貯蓄できる額が増えます。
会社員の人も、副業をして収入を増やせる可能性はあるでしょう。転職で収入アップするチャンスもあるかもしれません。毎月の支出を減らすためには、固定費の見直しなども必要です。まずは毎月確実に貯蓄ができるようにしましょう。
預貯金だけではお金があまり増えず、インフレにも対応できません。預貯金の利率より物価上昇率が高ければ、預貯金は目減りしてしまうからです。ある程度貯蓄ができたら、資産運用して効率的にお金を増やすことも考えましょう。
老後貧乏へ一直線な50代の行動②突発的な出費に備えていない
故障した家電の買い替え、冠婚葬祭、親の介護、自宅の修繕など、あまり想定していない出費が発生することはあるものです。突発的な出費に充てるお金を用意していなければ、何かあるたびに貯金を崩さなければなりません。仮に毎月貯蓄していても、実はお金があまり貯まっていないということがあります。
突発的な出費とはいえ、家電の買い替え費用や自宅の修繕費用などはある程度予測できます。その他にも急にお金が必要になることはあるので、緊急予備資金を用意しておきましょう。突発的な出費に充てるお金は、将来のための貯蓄とは分けて管理することが大切です。貯金を崩さなくてすむよう、口座を分けてお金を管理するようにしましょう。
老後貧乏へ一直線な50代の行動③高い買い物は分割払いやリボ払い
高い物を買うとき、月々使えるお金が減るのが嫌で、クレジットの分割払い・リボ払いにしてしまう人もいるでしょう。分割払い・リボ払いにすれば、手数料がかかります。特に、リボ払いの手数料は高額になってしまいます。毎月少しずつ払えば痛みを感じないこともあり、つい無駄遣いしてしまうことも。このような場合、やがて老後貧乏になってしまいます。
高いものを買うときには、先にお金を貯めてから買うようにしましょう。クレジットカードを使う場合、翌月1回払いが難しければ、ボーナス1回払いまたは2回払いにすれば手数料がかかりません。計画的な買い物をすると同時に、クレジットカードの賢い利用法も知っておきましょう。
老後貧乏へ一直線な50代の行動④教育費を借り過ぎてしまっている
子供の学費を教育ローンで借入している人も多いでしょう。借入金額が多ければ、子供が大学を卒業した後も長く返済が続いてしまいます。子供が自立してから自分が退職するまでの期間は、本来であれば貯めどきです。教育ローンの返済がある人は、家計を引き締めて貯金しなければ、老後貧乏になってしまいます。
教育ローンも繰り上げ返済は可能です。返済を早く終わらせるために、お金に余裕があるときには繰り上げ返済を考えましょう。なお、繰り上げ返済には手数料がかかることもあります。国の教育ローン(日本政策金融公庫)で借りている場合には、振込手数料以外はかかりません。
老後貧乏へ一直線な50代の行動⑤退職金で住宅ローンを全額返済するつもり
60歳になっても住宅ローンがかなり残っている場合、退職金で全額返済を考えることも多いでしょう。高齢になっても住宅ローンの返済が続くのは落ち着かないので、返済を終えられるのは安心です。しかし、預貯金が少ない場合、退職金の全部を住宅ローンの返済に充ててしまうと、老後の生活費が不足する可能性があります。
総務省が公表している2023年度の「家計調査報告(家計収支編)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)では1ヶ月の消費支出・非消費支出(税金・社会保険料等)を合わせた平均額は28万2497円です。一方、公的年金を含む実収入は24万4580円となっており、毎月約3.8万円の赤字が生じるとされています。仮に老後生活を25年としても、1000万円以上不足することになります。老後の生活費を補う貯蓄を残しておくことは重要です。
住宅ローンの金利が低い場合には、一括返済するよりも、その分の資産を運用して増やした方が得とも考えられます。老後の生活費や年金額、今ある貯蓄の額などから老後資金として必要な額をシミュレーションし、退職金の使いみちを考えるようにしましょう。
老後貧乏へ一直線な50代の行動⑥60歳で仕事を辞めるつもり
60歳で定年になったら、もう仕事を辞めようと考えている人もいるでしょう。60歳で仕事を辞めても、年金がもらえるのは65歳からです。それまで収入がなければ、安心して生活できません。年金の繰り上げ受給も可能ですが、金額が減ってしまいます。退職金があるから大丈夫と思っていても、生活費に使えばあっという間になくなってしまうでしょう。
現在は高年齢者雇用安定法により、定年後も希望すれば65歳まで会社で雇用してもらうことができます。さらに、会社には70歳までの就業機会確保の努力義務も課されているため、70歳まで勤務を続けられる可能性も高くなっています。元気な間はできるだけ長く働き、年金受給を繰り下げすれば、老後の生活も楽になります。60歳での引退はまだ早いと思いましょう。
老後貧乏へ一直線な50代の行動⑦もらえる年金額を知らない
将来の年金見込額は、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」で確認できます。しかし、「ねんきん定期便」もまともに見たことがない人もいるのではないでしょうか?もらえる年金額がわからなければ、貯蓄するモチベーションも起こらないでしょう。
50歳未満の「ねんきん定期便」に表示されている年金額はこれまでの加入実績に応じた年金額であるため、実際の年金額がどれくらいになるのかわかりません。一方、50歳以上の「ねんきん定期便」では現在の年金制度に60歳まで継続加入したと仮定した年金見込額です。50代になると実際の年金額の目安がわかるため、ぜひ活用しましょう。
年金が少ない場合にも、早いうちに対策を考えることにより、老後貧乏を防ぐことができます。油断していると老後貧乏一直線になってしまいます。
老後貧乏へ一直線な50代の行動⑧そもそも年金を払っていない
厚生年金加入の会社員は、厚生年金保険料が給与から天引きされているため、年金未納になることは基本的にありません。一方、自営業の人の場合には、自分で毎月の国民年金保険料を払う必要があります。そもそも国民年金保険料を払っていない人は、年金ももらえません。
国民年金保険料を払った期間が少な過ぎても、年金はもらえないことがあります。年金の受給資格を得るためには、少なくとも10年(120ヶ月)以上の保険料納付期間が必要だからです。
50代になったけれど年金をほとんど払っていない人も、今から年金受給資格を得ることは可能です。国民年金保険料は過去2年分納めることができます。年金を納めた期間が足りない場合、60歳以降も国民年金に任意加入して保険料を納められます。
自営業には定年はないとはいえ、いつまでも働けるわけではありません。年金がなければ、いつかは収入が途絶えてしまいます。仮に多少の貯蓄があるとしても、老後に貯蓄が減るだけの生活はストレスになります。50代ならまだ間に合うので、対策を考えましょう。
老後貧乏を防ぎたいなら早めに対策を
老後資金が用意できていない場合、できるだけ早く対策をとりましょう。
毎月お金が貯められない状態が続いていては、いつまでも老後資金は貯められません。支出を見直して削減し、たとえ少額でも毎月先取りで貯蓄できるようにしましょう。子どもの教育費がかからなくなってから退職までは「最後の貯めどき」ですから、毎月の貯蓄額を増やしましょう。クレジットの分割払いやリボ払いなどはもってのほかで、お金がどんどん減ってしまいますので、使ってはいけません。
60歳以降も働いている人が多い時代です。できるだけ長く働いて勤労収入があれば老後の暮らしも安定します。年金の繰り下げ受給(年金の受け取りを1か月遅らせるごとに0.7%ずつ年金額が増える(最大84%))も選びやすくなります。なにより、厚生年金に加入して働けば老後の厚生年金の金額も増やせます。
このように、50代からでも貯蓄や年金を増やすことはできます。気が付いたときがチャンスと思って、老後貧乏にならないためのマネープランを考えましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。

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