24/11/15
【2024年-2025年版】お金のイベントカレンダー・スケジュール
2024年3月、日本銀行は長らく続いたマイナス金利政策に終止符をうちました。
翌4月からスタートした2024年度は、その影響をさまざまな形で受けています。
今回は、そんな2024年度版の、お金のイベントカレンダーを作りました。これまでどのようなことがあり、これからの予定には何があるでしょうか。一緒に見ていきましょう。
2024年-2025年版お金のイベントカレンダー・スケジュール
2024年4月から2025年3月までの間にあった(もしくは、これからある)主なイベントをカレンダーの形にまとめました。
<2024年-2025年版お金のイベントカレンダー>
筆者作成
黒字は毎年あるイベント、赤字は2024年度に限って実施されたイベントです。
4月:年金額の改定、固定資産税の納付書が届く
公的老齢年金は、毎年1月に新年度の年金額を発表しています。
年金額は、物価と賃金それぞれの変動率に応じて決まるので、物価・賃金が上がれば、年金も上がる仕組みです。
2024年度は、国民年金を満額で受け取った場合には月額6万8000円、厚生年金は平均的な夫婦世帯で月額22万4482円。プラス2.2%の改定でした。
景気がよくなって、年金額も順調に増えて欲しいですね。
また、4月には固定資産税の納付書が届きます。
納税する人は、その年の1月1日時点で不動産を持っている人。
納付期限は自治体により異なりますが、1年分を一括納付するか、4期に分けて納付するかを選べます。第1期の納付期限の前(4〜6月)に届く納税通知書を利用して納付します。
住宅購入した人は、ローンの支払いだけではなく、固定資産税の支払いも予定しておきましょう。
5月:自動車税の納付、住民税決定通知書が届く
自動車税・軽自動車税は、その年の4月1日時点で車を持っている(車検登録している)人が納める税金です。
納付書は5月前後に届きますが、納付は届いてから数週間ほどですので、注意してください。自動車関連の支出は、税金のほかに保険や車検など、うっかりすると忘れてしまいがちなものが多いので、年間予定に組み入れておきたいですね。
住民税は、前年1月1日~12月31日の所得に対してかかります。
そのため、住民税の金額が決定し、その通知書が届くのは翌年の5月です。6月から納付する住民税が書かれていますので、忘れずにチェックしましょう。
前年の所得が多かったら、翌月から支払う住民税が高くなります。
6月:住民税の納付がスタート、2024年は定額減税
6月の給与からは新年度の住民税が差し引かれます。
前年に新卒で就職した人は、住民税の支払いは初めてでしょう。給与の額面金額によっては手取りが減ってしまうかもしれないのが、6月の給与あるあるです。
5月に届いた住民税決定通知書のとおりの金額が差し引かれているか、要確認です。
なお、2024年は定額減税がありました。
減税額は、ひとりあたり所得税から3万円、住民税から1万円、合計で4万円です。
所得税は、6月の給与から減税できなかった分は、その後の給与から減税されます(2024年12月まで)。また、住民税は2024年6月分の徴収がなく、減税後の税額を7月から2025年5月までの11か月間に分けて支払うルールです。なお、それでも減税しきれなかった分は「調整給付」といって、1万円単位で切り上げて給付金の形で支給が行われます。すでに調整給付を受け取った方もおおいでしょう。
5月の手取り収入より4万円増えると勘違いしていた人がガッカリしたかもしれませんが、ひとり4万円の減税はしっかりされていますので安心してください。
7月:新紙幣の発行
2024年7月、1000円札(北里柴三郎)、5000円札(津田梅子)、1万円札(渋沢栄一)の新しいデザインの紙幣が20年ぶりに発行されました。新紙幣の発行後も旧紙幣は使えます。
なお、三菱UFJ銀行は2025年4月から、1983年以前に流通していた紙幣などを店頭で入金する場合に手数料がかかるようになります。
手数料は、100枚までなら770円、それ以上は100枚ごとに770円加算です。
自宅に保管している旧紙幣は、早めに預けたほうがよさそうです。
9月:社会保険料の改定
会社員などの場合、社会保険料は給与から差し引かれる形で納付しています。
社会保険料の計算は、毎年4~6月の3カ月間に支払われた給与や残業代、各種手当をもとに行います。
収入が多ければ保険料も高くなるので、「4月から6月に残業が多かった」という場合には、社会保険料が増える(=手取りが減る)可能性があることに注意してください。
社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険(40歳以上)といった公的な保険をまとめた呼び方です。
どれも、いざというときに暮らしを守る大切な保険。保険料もしっかりチェックしておきましょう。
10月:社会保険・児童手当の拡充
2024年10月から、社会保険の適用が拡大されました。パート・アルバイトで働く人でも、下記の条件を満たす人は社会保険に加入する義務があります。
①従業員51人以上の会社に勤務
②1週間の所定労働時間が20時間以上
③雇用期間が2カ月を超える見込み
④月額の賃金が8.8万円以上
⑤学生ではない
従来は、①の条件が101人以上でしたが、この10月から51人以上となり、社会保険の加入義務がある人が増えています。
社会保険に加入することになれば、保険料を負担することになるので手取りが減ります。
そのため、④の月額賃金を8.8万円未満に抑えて、106万円の壁を超えないようにする人は少なくありません。
しかし、社会保険に加入すれば、将来の年金が増えるメリットがあります。
また、病気やケガで仕事ができなくなったら、傷病手当金を給与の約3分の2を受け取ることも可能です。
手取り額も大切ですが、いざと言う時の保障も大切。総合的に判断しましょう。
2024年10月には、児童手当の拡充もなされました。
大きな変更点は次のとおりです。
・支給期間が「中学3年生まで」→「高校3年生まで」
(厳密には、18歳の誕生日以後の最初の3月31日まで)
・所得制限の撤廃
・第3子以降の支給額が月3万円に増額
・支払い回数が年6回(偶数月)
ただし、児童手当が拡充したことで、高校生年代の所得税・住民税の扶養控除が縮小される可能性があります。具体的には、2025年度の税制改正で、2026年分(令和8年分)以降の所得税と2027年度分(令和9年分)の住民税に扶養控除の縮小を適用するかどうかが検討されます。
児童手当は拡充しても、扶養控除が縮小されると、効果は限定的になりそうです。
今後の動向を注視していきましょう。
11月:年末調整の書類を提出
11月になると、勤務先から年末調整の書類を提出するよう指示があるでしょう。
扶養家族の有無や、各種所得控除を申告する大切な書類です。
生命保険や地震保険、iDeCoに加入している人は、保険会社・金融機関などから送られてくる控除証明書を添えて提出します。
家族の年金保険料や健康保険料を払った場合には、それらの証明書も忘れずに添付して申請しましょう。
12月:年末調整の精算、ふるさと納税の締め切り
11月に提出した年末調整の書類をもとに、2024年1月~12月の所得税が計算されます。
1~11月の給与から差し引かれていた所得税は概算なので、年末調整で所得税が確定したら、すでに払った所得税との差額を調整します。
所得控除が多くて税金が少なくて済んだ場合には、12月の給与に上乗せされて戻ってきます。
また、12月にはふるさと納税の締め切りがあります。
ふるさと納税は、1年ごとにおトクになる上限額があります。
上限額はふるさと納税のポータルサイトなどで試算できますので、上限いっぱい使い切りたい人には便利です。
ただし、その年の締め切りに間に合わせる場合には、注文日や支払い日が12月31日より前に設定されている場合がありますので、注意しましょう。
2025年1月:18歳以上なら新NISA
2025年1月1日時点で18歳以上であれば、新NISAの口座開設が可能です。
NISA(ニーサ)=少額投資非課税制度は、投資で得た利益に対する所得税が非課税になるおトクな制度です。2024年1月から、投資期間が無期限になり、投資できる上限額も増えて従来のNISAからバージョンアップしました。
NISAでは専用の口座を開設して、資金を投資信託や株などで運用します。
1年の計は元旦にあり。1月から新NISAを始めるのは、いいタイミングではないでしょうか。
2月:確定申告
勤務先で年末調整をしていても、2カ所以上の会社から給与をもらっていたり、副業で20万円以上の所得があったりする人は、確定申告が必要です。
また、年末調整で申告できなかった所得控除がある場合には、確定申告で払い過ぎた税金を取り戻せます。
たとえば、前年の1月1日~12月31日までに住宅を購入して住宅ローン減税を利用したい場合や、年末調整の後に子どもが生まれて扶養親族が増えたりした場合などは、確定申告をして税金を取り戻したいですね。
また、10万円以上(総所得金額等200万円未満の場合は総所得金額等の5%)の医療費を払っていた場合に活用できる医療費控除や、健康診断を受けている人が所定の医薬品などを年1万2000円以上支払っていた場合に利用できるセルフメディケーション税制は、そもそも確定申告でしか手続きができません。
申告して確定した所得をもとに、2025年度の住民税が決まります。
確定申告できる所得控除や税額控除があれば、面倒がらずに頑張りましょう。
2025年の確定申告は、2月17日~3月17日です。
ただし、過去5年分までさかのぼって手続きを行う還付申告(税金を取り戻す申告)は1月1日からできますので、早めの申告がおススメです。
3月:家計の見直しと翌年度の予定を立てる
3月は年度末ですから、どこも慌ただしく忙しいと思います。
子どもがいれば、卒業や進学、進級があり、お金のかかることが増えるかもしれません。
勤務先で、新年度から異動や転勤などがあれば、新しい生活のためには何かと物入りでしょう。
気持ちや時間に余裕がなくなりがちですが、そんな時こそ新年度に向けて、家計の見直しと翌年度の予定を立てる時間を作れるといいですね。
預金口座の取引明細や、クレジットカードの利用明細を確認して、無駄な出費や、削れる支出があれば思い切って整理してもいいでしょう。
資金面の準備も抜かりなく、新年度をさらに充実した1年にしていきましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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