25/05/19
続けると「定年後貧乏」まっしぐら、やってはいけない5つ

定年後は、自由な時間を楽しめる第二の人生のスタートです。しかしその一方で、収入が減少し、資産の取り崩し期に入るため、気の緩みが思わぬ落とし穴になることもあります。
もしかしたら、「お疲れさま、自分」と気が緩んだその瞬間から、老後破綻の道が始まるかもしれません。
せっかくの老後を「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、やってはいけない5つの落とし穴をご紹介します。
定年後が貧しくなる5つのこと①:「これまで頑張ってきた自分にごほうび」と散財してしまう
定年後は、自由な時間が増えます。自分に長年働いてきたご褒美をあげたくなるお気持ち、とてもよくわかります。定年退職をしたら、やりたいこととして、海外への長期旅行や大きなお買い物をあげている方もいらっしゃることでしょう。
ただ、定年後年金生活に入れば、多くの方がそれまでよりも収入が減少し、資産取り崩しのステージに入ります。「これまでがんばってきたご褒美」にさくことができるお金には限度があります。残念ながら、勢いで使ってしまい、後悔されている方が多いのが現状です。
ご褒美にさくお金は老後生活に必要なお金を確保して余るお金から。
この原則を忘れずに、お買い物に向かう前に立ち止まって、予算を明確にしておきましょう。
定年後が貧しくなる5つのこと②:生活費をしっかり把握していない
これからの老後生活にいくら必要なのかは、必要な生活費によって変わります。老後の収入源として公的年金があるといっても、公的年金で生活費が不足する方は多く、取り崩せる資産にも限りがあります。支出の全体像が見えていないと、無意識のうちに急速に資産の取り崩しが進んでしまった、といったことになりかねません。
年金の受取額は毎年見直されます。老後生活では、使える金額とともに必要な金額を毎年確認することが、重要です。
特に注意したいのは、固定支出(固定費)です。固定支出の内容は老後生活を迎える前にあらかじめ確認しておき、いらないものは見直しておきましょう。固定支出の契約の変更手続きは手順が多いものが多く、年を重ねるほどに負担が大きくなります。興味のあるサブスクリプション契約も気軽にしてしまうと、将来解約できないまま、ずるずると続けてしまうことになるかもしれません。
定年後が貧しくなる5つのこと③いきなり「投資デビュー」する
昨今はNISAやiDeCoなど、投資熱が高まってきており、定年退職後、投資デビューを考える方は少なくないようです。ただ、これまで投資経験がないのに退職後にいきなり投資デビューするのはやめましょう。
投資にはリスクがあり、本来利益の分配を受けるには時間がかかります。投資には、10年以上手をつけずにおいておける“ゆとり資金”を使うことがセオリーですが、実際に退職後にまとまったゆとり資金を確保できる方は少ないためです。
オトクなNISAもあくまで制度であり、利益が出なければオトクを享受できません。
「銀行で勧められたから」「みんなやってるから」といった理由だけで始める前に、まずはご自身が投資に充てられる資金はいくらなのか、家計をふりかえって慎重に判断しましょう。
定年後が貧しくなる5つのこと④:退職金を住宅ローンの一括返済で使い切る
住宅ローンが残っている場合、「退職金で一括返済しよう」と考える方も多いでしょう。たしかに、毎月のローン返済から解放されると、きっとこれから楽になるのでしょう。
しかし、生活が楽になるかどうかは別問題です。退職金は本来、会社から支給される後払いの給与であり、老後生活資金です。すべて返済に充ててしまうと、手元に現金が残らず、老後生活資金が不足する可能性があります。
定年退職後も住宅ローン返済が残っているなら、引き続き働くことを検討しましょう。
高い目標を掲げる必要はありません。例えば月10万円の住宅ローン返済が残っているのなら、まずは月10万円安定して稼げることを目標に、仕事を探してみましょう。
定年後が貧しくなる5つのこと⑤:人付き合いを減らす
意外かもしれませんが、「お金を使いたくないから」と人付き合いを控えることも、老後の貧しさにつながる落とし穴のひとつです。
定年退職後に職場というコミュニティから離れてしまうと人付き合いが減ります。さらに人付き合いを控えてしまうと、孤独を感じ、孤立してしまいやすくなります。
老後、お金について不安を抱える方は多く、孤立し、気軽に相談できる相手がいない、という環境下では、昨今被害が急速に増加しているSNS投資詐欺といった消費者トラブルにもまきこまれやすくなります。
人と会う機会を増やすと、心にハリがでたり、健康面やメンタル面にもよい影響を与える可能性があります。老後生活において増加する支出項目として医療費がありますが、人付き合いを減らすことで医療費も早くに必要になってしまうかもしれません。
「お金を使わずに人とつながる方法」は意外とたくさんあります。地域に興味あるボランティア活動やサークルなどはないでしょうか。できる限り人付き合いを維持することを考えてみましょう。
まずは現在地を確認しよう
老後の安心は、地道な積み重ねによってつくることができます。今回ご紹介した「やってはいけない5つのこと」は一見老後の最良の手段のように思えるものも多いですが、実は老後生活の支出の見通しを左右する重大な事柄でもあります。
「自分には関係ない」と思わずに、これをきっかけに一度、お金まわりを棚卸しして、ご自身の現在地を確認してみませんか?「見通しのある選択」ができるようになって、老後生活がもっといいものになるかもしれません。
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内田英子 CFP,消費生活アドバイザー,住宅ローンアドバイザー
証券・保険業界出身の独立系ファイナンシャルプランナー。
住宅購入や定年退職をきっかけに保険や資産形成を見直す“家計の分岐点”に注目し、将来にわたって安心できる資金計画を中立・公正な立場からサポート。
制度や統計に基づいた分析と、自身の実体験をもとに、現実に寄り添うアドバイスを大切にしています。

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