24/05/27
競馬で1000万円当たったら、税金は一体いくらかかるのか
新緑がまぶしい季節、競馬場でリフレッシュするのも面白いかもしれません。
広々とした馬場と、美しいサラブレッドを眺めていると気分はセレブ。買った馬券が当たれば、お金持ち気分がさらに増してきそうです。
とはいえ、当たったお金をすべて使ってしまうのはちょっと待ってください。なぜなら、税金を払わなくてはならないケースがあるからです。
今回は、競馬で1000万円当たったら、税金はいくらかかるか調べてみました。
競馬の返戻金は一時所得
JRA(日本中央競馬会)によると、競馬の返戻金は一時所得として課税対象になる場合があります。
計算方法は、以下のとおりです。
一時所得の金額=((返戻金の受取額)-(馬券の購入金額)-50万円)÷2
返戻金を受け取るために購入した馬券の購入金額は、言わば経費ですから、返戻金の受取額から差し引いて計算できます。ただし、一時所得の計算で気を付けなくてはならないのは、受取額から差し引ける馬券の購入費用は、「当たり馬券のみ」であることです。
はずれ馬券は差し引けませんので、注意しましょう。
計算の結果、一時所得がゼロ以下だったら税金はかかりません。
つまり、返戻金から馬券代を差し引いた、実質的な利益が50万円以下なら課税されないということです。
たとえば、返戻金が1000万円だとしても、そのための馬券を990万円も購入していたら税金はかかりません。
一時所得の金額=(1000万円-990万円-50万円)÷2=マイナス20万円
逆に、10万円の馬券が大当たりして、1000万円の返戻金を受け取ったとしたら、一時所得の金額は470万円になります。
一時所得の金額=(1000万円-10万円-50万円)÷2=470万円
所得税は、1年の1月1日から12月31日の所得に対してかかります。
その年の課税所得は、給与所得などと合計して計算し、所得額に応じた税率によって所得税の金額が決まります。仮に、1年間の所得がこの一時所得470万円だけだとしたら、税金はおよそ51万円になります。
競馬の返戻金が雑所得になる場合もあるが…
とはいえ、1000万円の返戻金を得るまでには、多くの経費がかかっている、と考える人もいるかもしれません。
1000万円もの大当たりになった馬券は10万円でも、はずれ馬券を500万円買っていたら、その分も差し引きたくなってしまいそうです。
また、所得は1年分を合計して計算します。当たり馬券もあるでしょうが1000万円もの大当たりは滅多にありません。それよりも、はずれ馬券の購入金額が増えるでしょう。
1000万円当たった時があっても、はずれ馬券が年間で1500万円あったらトータルではマイナスです。
それに、予想のために新聞や書籍の購入費、競馬場への交通費もかかっています。
しかし、はずれ馬券含めこのような支出まで経費とすることは、一時所得では不可とされています。
一時所得は、あくまで一時的な所得。経費は直接的なものだけが対象だからです。
逆に言えば、営利を目的とした継続的なものであれば、競馬の返戻金が雑所得になる場合もあります。
雑所得の計算は以下のとおりです。
業務に係る雑所得=総収入金額-必要経費
経費と認められる費用は一時所得より増えますが、業務として競馬をしていると認められるには、かなりハードルが高いと言えます。
年間数億円の馬券を購入するとか、競馬の予想ソフトを作成してほぼすべてのレースの馬券を購入するなど、一般的な楽しみ方とは別次元になってしまいます。裁判で争った事例もあるほどです。
つまり、競馬の返戻金は一時所得、と考えるのが現実的です。
他のギャンブルの税金はどうなる?
競馬以外にも、ギャンブルはいろいろあります。
たとえば、競輪・競艇・オートレースといった公営ギャンブルで得た利益は、競馬と同じく一時所得になります。
国税庁のウェブサイトにも、
公営競技(競馬、競輪、オートレース、ボートレース)の払戻金については、一時所得として確定申告が必要となる場合があります。
と記載されています。
また、ギャンブルではないですが、クイズの賞金や懸賞で当たった当選金なども公営ギャンブル同様一時所得の対象になります。
一方、宝くじやスポーツ振興くじ(toto、BIGなど)の当せん金や払戻金については、税金がかかりません。宝くじでは「当せん金付証票法」、スポーツ振興くじでは「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」で、所得税が課されないことが明記されています。
ただし、当せん金・払戻金を他の人にあげるときには贈与税、亡くなった方の当せん金・払戻金を相続するときには相続税がかかります。
競馬で当たったら確定申告を
競馬は楽しいものですが、大当たりするなどした場合には、一時所得として確定申告が必要になります。雑所得となる可能性は低いのが現状です。ほどよく楽しんで、一時所得があるようならば確定申告を忘れずにするようにしましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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