23/10/12
定年後貯蓄ゼロの人がやるべき4つの生存戦略
将来の老後資金のことを考え、コツコツと貯蓄する人もいれば、お金の使い方や経済状況によってはまったく貯蓄ができない人もいます。年金だけでは生活費が足りないといわれる今、定年退職の段階で貯蓄がゼロの人はどうすればいいのでしょうか?そこで今回は、定年時に貯蓄ゼロの人が、老後を生きていくためにやっておくべきことを4つご紹介します。
65歳以上の5人に1人が貯蓄ゼロ!?
定年時に貯蓄ゼロの人はどれくらいいるのでしょうか?
金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査(2022年)」によると、60代で金融資産を保有していない人の割合は20.8%でした。つまり、60代の約5人に1人は貯蓄がゼロということです。
60代まで貯蓄できなかった理由はいろいろあると思います。しかし、定年退職が60歳なら年金がもらえる65歳までは無収入になります。また、定年退職が65歳だとしても、年金だけで生活してくのは厳しいかもしれません。そこで定年時に貯蓄がゼロの人は、生活費を確保するためにできることをやっていく必要があります。では、生活費を確保するためにどんなことができるのでしょうか?
定年時に貯蓄ゼロの人がやるべきこと①:長く働く
定年退職で退職金をもらっても、住宅ローンの返済や家のリフォームなど大きな出費で消える家庭も少なくありません。また経済状況によっては、残りの人生を退職金のみでやりくりしていくのは難しい場合もあります。特に定年時に貯蓄がゼロの家庭は、年金収入だけでは生活費が不足するかもしれません。
そこでおすすめなのが、働いて収入を得ることです。2021年(令和3年)4月から、改正高年齢雇用安定法により、企業は努力義務ですが70歳まで仕事を続けられる体制を整えることになりました。また、厚生年金は70歳まで加入でき、働くことでもらえる年金を増やすことができます。
60歳や65歳の定年以降も働き続ける環境はできているのです。定年時に貯蓄ゼロの家庭は、できるだけ長く働くとよいでしょう。
定年時に貯蓄ゼロの人がやるべきこと②:生活費を見直す
定年を迎えるまでの長い期間、さまざまなライフイベントがあり貯蓄しにくいときがあったかもしれません。また、貯蓄はしたいと考えてはいたけれど、なかなか貯めることができなかった人もいるのではないでしょうか?
お金を貯められない家計なら、生活費を見直しましょう。子どもが独立しているのに、大きな保障の保険に加入していませんか?あるいは、あまり使っていないサブスクにお金を払い続けていませんか?家計をよく確認してみると、無駄な出費が見つかるかもしれません。無駄な出費を止めて、そのお金を貯蓄に回しましょう。
定年時に貯蓄ゼロの人がやるべきこと③:繰り下げ受給をする
定年時にまったく貯蓄がない人は、年金だけでは生活費が足りなくなるかもしれません。そんなときは年金を繰り下げ受給すれば、年金額を増やすことができます。繰り下げ受給とは、老齢年金の受給開始年齢を66歳~75歳に繰り下げて受給する方法です。1ヶ月につき0.7%年金が増額します。
ただし、繰り下げ受給には注意点があります。それは、退職後も厚生年金に加入しながら年金をもらう場合(これを在職老齢年金といいます)、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が48万円を超えると、在職老齢年金の一部または全額が支給停止になってしまうのです。そのため在職老齢年金を繰り下げ受給しても、支給停止になる分は増額されないので、繰り下げ受給の効果はなくなってしまいます。
そこで退職後も厚生年金に加入して働くときは、老齢基礎年金のみを繰り下げ受給することをおすすめします。老齢基礎年金は在職老齢年金による支給停止はないので、繰り下げ受給にすれば増額した老齢基礎年金をもらえます。
また、夫婦のうちどちらかの年金を繰り下げ受給にして、もう1人は65歳から年金をもらえば、繰り下げ期間の生活費を確保できます。あるいはパートやアルバイトなど厚生年金に加入せずに働けば、在職老齢年金による支給停止はないので、生活費の確保は可能です。夫婦で働き方と年金のもらい方について話し合ってみてはいかがでしょうか。
定年時に貯蓄ゼロの人がやるべきこと④:健康維持に努める
医療費は大きな出費になることがあり、病気やケガの度合いによっては、生活費を圧迫することがあります。もし定年時に貯蓄がゼロであれば、いざというときに医療費が工面できず、十分は治療が受けられなくなる可能性があります。
そこで、無駄に医療費がかからないよう生活習慣を見直すことも重要です。健康でいられれば医療費はかかりません。また、健康を維持できれば病気やケガによる大きな出費のリスクを減らすことができます。
常にバランスの取れた食事、質のいい睡眠、適度な運動を心がけ、健康維持に勤めましょう。
まとめ
定年時に貯蓄がゼロの人は、年金をもらえるようになっても、生活費が足りなくなる可能性があります。定年退職後もお金に困らぬよう生きていくには、長く働き収入を得ることが重要です。その他、生活費の見直しや老齢基礎年金の繰り下げ受給で手元に残るお金を増やして生活費を確保する方法もあります。また、いつまでも健康でいられるよう生活習慣を見直して、医療費を減らしていきましょう。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
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