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23/04/20

資産運用・経済

月1万円投資を20歳から50年間続けるといくらお金は増えるのか

月1万円投資を20歳から50年間続けるといくらお金は増えるのか

資産づくりの目的ナンバー1は、「老後の備え」。金融広報中央委員会の調べを見ても、20代~70代で金融資産を持っている人が金融資産を保有する目的は、「病気や不時の災害への備え」を抜いて、「老後の生活資金」がトップです(複数回答)。この傾向は全世代を通じて、また、独身でも家族がいても同様です。

老後資金をつくるなら、長期的な視点に立つことが大切です。
お金を毎月1万円ずつ積み立てれば、1年で12万円、10年で120万円になります。
ただし、これは金利がつかない場合。もし積立投資で運用すれば、もっと増やすことが可能です。とはいえ1%や3%ではそんなに増やせない、と思っていませんか。

確かに、1万円の1%は100円、3%は300円と少額です。しかし長期の運用となれば話は別。時間を味方につけることでしっかり増やすことも可能です。
そこで今回は、20~70歳まで積立投資をしたらいくら増やせるか、50年後の元利合計金額をシミュレーションします。

投資ではなく、貯蓄のシミュレーション:年利0.001%なら

まず、投資で増やす効果を貯蓄と比べられるよう、50年間貯蓄をした場合のシミュレーションをしてみましょう。

●積立預金のシミュレーション:毎月1万円・年利0.001%で50年積立貯蓄すると

筆者作成

普通預金の金利は、大手都市銀行では0.001%。毎月1万円の積み立てを50年続けると、元金だけで600万円になります。コツコツ続けると大きな資金になりますね。金利は0.001%ですから50年で1205円。元利合計で600万1205円です。

ただし、金利には税金がかかります。税金は20.315%(2023年4月時点)。金利は半年ごとに口座に振り込まれますが、金額は税金を差し引いた残りです。すると、手元に残るのは600万965円になる計算です。
50年も続けて、利息の手取りが1000円未満というのは、ちょっとさみしいですね。あまりにも小さい値なので、グラフにしても見えません。

積立投資シミュレーション1:年利1%の積立投資なら約780万円

同じ毎月1万円でも、年利1%で積立投資をしていくと、50年後には約780万円にすることができます。

●積立投資シミュレーション:毎月1万円・年利1%で50年積立投資すると

筆者作成

ほんの1%ですが、50年かけて積立投資すれば約778万円に。180万円近く増やせることがわかります。1%の運用益を目指すなら、ローリスクの投資信託が手ごろです。0.001%の預貯金と比べるとその差は歴然。ローリスクの投資をするだけでも、リターンは決して小さくないと言えますね。

ただし、この金額は税引前。税金を差し引くと約737万円です。税金を払うべきなのはわかっていても、実際に40万円ものお金が減ってしまうのはつらいものがあります。
実は、この税金を払わなくてよい方法があります。それが、NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)です。せっかく投資をするなら、NISAの制度を利用しない手はありません。

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積立投資シミュレーション2:年利3%の積立投資なら約1385万円

では次に、年利3%で積立投資した場合を見てみましょう。毎月1万円でも50年間積立投資をした場合には、約1385万円になります。

●積立投資シミュレーション:毎月1万円・年利3%で50年積立投資すると

筆者作成

シミュレーションでは、50年の積立投資によって、元金600万円が2倍以上に増やせています。元金が2倍になるような投資を1年でやろうと思えば超ハイリスクの運用になります。しかし、積立投資で50年間という長い時間をかけることで、年利3%のミドルリスクの運用で倍増を達成することも可能になります。

積立投資で安定した運用をするには、インデックス型の投資信託が手堅い選択です。国内外の株式や債券などにまとめて投資する、バランスのよいポートフォリオの金融商品を選ぶとよいでしょう。

この場合も、NISAの活用がおススメです。NISA制度を利用しなければ20.315%の税金がかかるので、実質手元に残るのは1153万円。それでも元金からは大きく増えていますが、NISA制度を利用した場合との違いは232万円です。
これだけあれば、旅行、自動車、あるいは住宅ローンの繰上返済など、使いみちがいろいろ考えられそうです。

積立投資シミュレーション3:年利5%の積立投資なら約2633万円

さらに、年利5%の積立投資のシミュレーションを見てみましょう。50年後にはなんと約2633万円です。積立投資によって元金の4倍以上に増えているのですから、長期運用の強みを感じますね。

●積立投資シミュレーション:毎月1万円・年利5%で50年積立投資すると

筆者作成

実際に5%の年利を目指して積立投資すると、グラフのようななめらかな右肩上がりにはならないことが多いでしょう。金融市場は国内外のさまざまな社会情勢の変化などの影響をうけ、利益を出すこともあれば、損失をこうむることもあり、資産増のペースが停滞することもあります。

しかし、長期的な視点に立てば谷があれば山があり、経済全体は成長していきますので、積立投資を続けていれば、結果的には利益を出すことができるでしょう。
積立投資で50年間運用するのですから、短期的な値動きに一喜一憂せず、どっしり構えて運用することが利益を出すコツです。

そして、やはりNISAの活用がポイントです。NISAを利用せずに税金を差し引かれてしまうと、手元に残るのは約1886万円。その差はなんと747万円もの金額になります。運用で増えた金額が大きい分、差し引かれる税金も高額です。
頭ではわかっていても…、と思うほどの金額ですね。

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長期の積立投資ならつみたてNISAがおトク

このように、投資で利益が出たら、20.315%の税金がかかります。銀行口座の預金金利が入金されると、摘要欄に「受取利息(税引)」などと記載される場合がありますが、これは利息から税金を差し引いて入金しましたよ、という意味です。
つまり、金利の税金はあらかじめ差し引かれているわけです。

同様のことが、投資でも行われます。税引き後の金額が年利3%や5%になっていれば、受取れる金額は上記のシミュレーションどおりになりますが、税引き前であればその分差し引かれ、手取りが少なくなってしまいます。

そこで利用したいのがNISAの制度。NISAを利用して投資をすれば、運用益は非課税なので税金がかかりません。さきほどのシミュレーションで見てきた、税金を差し引かれる前の金額を受け取れる制度なのです。

NISAには、一般NISAとつみたてNISAがありますが、投資初心者にはつみたてNISAがおススメです。なぜなら、つみたてNISAを利用できる金融商品は、少額からの長期積立投資に適している投資信託が中心だからです。

具体的には、手数料が安く抑えられ、分配金の受け取りが毎月ではないような投資信託です。手数料は、投資信託を購入する時や、保有している間かかるコストですから、安い方が有利です。また、分配金が毎月あるような投資信託だと、利益が出なかった月には元本を削って分配金を出すので、長い目で見ると決しておトクではないのです。

そして、投資先は国内外の株式や債券など、複数に分散することでリスクを抑えています。このような条件は、すべて金融庁が定める基準をクリアしているので、ひとつひとつチェックしなくていいことが大きなメリットと言えるでしょう。
つみたてNISAを利用できる投資信託を選んでおけば、比較的安心して投資ができるというわけです。

2024年からNISAの非課税枠がひろがる

そんなつみたてNISAにも、デメリットがあります。1年間に投資できる金額は40万円まで、非課税の期間は最長20年間、というしばりがあるのです。
そして、20年を超えた資金は非課税のNISA口座から課税口座に移り、その後は税金が差し引かれてしまいます。

ところが、2024年からNISA制度がリニューアルします。投資金額は、つみたてNISA同様の投資ができる「つみたて投資枠」で年間120万円まで可能になり、非課税期間は無期限化します。つまり、50年間でも60年間でも、非課税で運用できるということです。

また、つみたてNISAではいったん資金を引き出すと、引き出した投資枠はもう使えなくなってしまうのですが、2024年からのNISAでは非課税枠が復活します。それは、非課税の総枠が1800万円に設定されているからです。

投資額は1年間で120万円までですが、総額1800万円までの範囲であれば非課税資金を保有し続けられます。長い年月の間には、イレギュラーな事態のためにお金を引き出すこともあるでしょう。そんなときでも、挽回できるようになっているのはありがたいですね。

なお、新しいNISAになる前にNISAで投資した分は、この1800万円とは別枠で、現行の非課税期間で非課税保有ができます。

まとめ

毎月の積立投資の金額は1万円でも、長期の運用で利益をしっかり出すことが可能です。
今回の積立投資のシミュレーションのように、長く積立投資をするのであれば、スタートは早い方が有利。積立投資、さっそく始めてみてはいかがでしょうか。

タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)

36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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