23/04/04
インフレ時代のマネーの常識5選
日本では近年物価が下がっていくデフレが続いていました。しかし、食料や資源を輸入に依存している日本は、2022年に入ると一転して物の値段やサービスの価格が値上がりするインフレが起こるようになりました。デフレ時代からインフレ時代に変わると、資産運用の常識も変わります。この記事では、インフレ時代のお金の常識について解説します。
インフレ時代のお金の常識1:生活費が上がる
インフレとは、物の値段が継続的に上がり続けることです。インフレ時には、物やサービスの価格が上がるので、以前と同じ生活をすれば生活に必要なコストが上がります。物価の上昇に見合う賃金の上昇があればよいのですが、そうでない場合には生活が苦しくなってしまいます。
コロナで行動を制限していた反動で、一部で需要の回復が見られるようになりました。需要が高まると、物の値段は値上がりします。もちろん、値上がりした後で買うと不利なので、さらに需要が増加するという現象も見られます。
インフレ時代のお金の常識2:現金の価値が下がる
物の値段が上がるということは、現金の価値が下がることと同じです。たとえば、今まで100円で買えていたものが1年後に120円になれば、1年後に100円で買うことはできなくなります。このことは、別の見方をすればお金が目減りしたことになります。
タンス預金のように現金で持っていると、お金が手元にある安心感はありますが、物の値段が上がっても利息はゼロ。物の値段ほどお金が増えないので、実質的な価値が目減りすることになります
インフレ時代のお金の常識3:預貯金の預けっぱなしはNG
近いうちに使う予定があるお金は別として、多額の預貯金を金融機関に預けたままにしておくのは、インフレ時代にはNGです。日本では、金融機関にお金を預けても、金利がほぼゼロに等しい状態だからです。つまり、現金と同じように預貯金の金利の上昇率はインフレ時の物価の上昇率に劣ってしまいます。預貯金は「値動きのリスクがないから安心」といえません。目減りのリスクを抱えていることを知りましょう。
インフレ時代のお金の常識4:借金が有利になる
物やサービスを購入する場合に、借りる金利よりインフレ率が高ければ、借金して購入するほうがお得ということになります。
住宅ローンを組んで住宅を購入した場合を考えてみましょう。インフレ時には総じて不動産も値上がりすることが多く、住宅が高く売却できれば、ローンを返済してもおつりがくる可能性があります。また、固定金利型で住宅ローンを組んだ場合には、物価が上昇しても支払い総額が変わらないため、お金を借りる人の負担が実質的に軽くなります。
一方、変動金利型の住宅ローンを組んでいる場合は、インフレ時にはローンの金利が上昇しやすいので、金利部分の返済額が大きくなる可能性があります。
インフレ時代のお金の常識5:物価の上昇に負けない「インフレに強い資産」がある
現金や預貯金は、物価の上昇分だけ資産を失うことになるとお話ししました。実は金融商品には、インフレに強い資産とインフレに弱い資産があります。
●インフレに強い資産…株式、投資信託、外貨、不動産、金など
●インフレに弱い資産…現金、預貯金、保険、債券など
インフレとデフレには、経済の膨張と収縮という真逆の関係があります。したがって、インフレ時とデフレ時では、資産の運用方法も変わります。
たとえば、株式を発行する企業は物価上昇に合わせて自社製品の値上げをするなどして収益を増やすことが株価上昇につながります。投資信託も、株式などインフレに強い資産を組み入れていればインフレに強い資産になります。外貨も、外国のインフレ率が日本より高ければインフレに強い資産といえるでしょう。さらに、金や不動産などは現物資産(物)ですので、インフレによって値上がりします。
インフレを理解して、投資戦略を考えよう
インフレに強い資産は、インフレに弱い資産に比べて値動きがあるものが多く、投資のタイミングに迷うことがあるでしょう。ただ、タイミングを狙うような投資は、失敗するリスクも相応にあります。予測がむずかしい世の中の動きのなかで投資に成功するには、分散投資でリスクを抑えながらコツコツと長期に投資を継続していくことが大切です。
これからインフレ対策に投資を始めようという方は、投資の利益にかかる税金が非課税になるNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)を利用するのがおすすめ。とくに、2024年からの新NISAでは、期間の制限がなく、一生涯非課税で投資の利益が受け取れます。株式やETF(上場投資信託)、投資信託などが購入でき、成長投資枠とつみたて投資枠の両方で資産形成ができます。
インフレになるとどんな影響が出るのか正しく理解しておけば、投資戦略に活かすこともできます。物価の上昇よりお金が増やせる投資先を利用して、あなたの資産を増やしていきましょう。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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