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23/02/11

資産運用・経済

投資信託の選び方完全ガイド プロ厳選5本はコレだ

投資信託の選び方完全ガイド プロ厳選5本はコレだ

銀行に預けていてもほとんどお金が増えないからと、投資をしようと考えている人も多いでしょう。投資信託は、堅実にお金を増やせる投資先としておすすめですが、投資信託ならどれでもいい、というわけではありません。
そこで今回は「投資信託の選び方完全ガイド」として、投資信託の基本から投資信託選びのポイント、そして厳選した投資信託5本を紹介します。

そもそも投資信託にはどんなものがある?

投資信託は、投資家が出したお金をまとめて、資産運用のプロ(ファンドマネージャー)が代わりに運用してくれる商品です。日本で販売されている投資信託は、約6000本もあります。各投資信託はお金を集めてから投資先を決めるのではなくて、あらかじめどんなものに投資するかを明示しています。

投資信託の種類は、大きく「投資先の国」「投資先の資産」で分けることができます。

●投資信託の種類

(株)Money&You作成

各投資信託が何に投資するかは、投資信託によって違います。国内株式だけに投資する投資信託もあれば、外国株式だけに投資する投資信託もあります。また、外国株式とひとくちにいっても、先進国・新興国・全世界株・日本を除く全世界株…などと、いろいろなものがあります。

また、複数の資産や複数の地域にまたがって投資する投資信託に、バランス型・ターゲットイヤー型・リスクコントロール型と呼ばれるものがあります。なかでもバランス型は、1本で国内外の株・債券・不動産などという具合に、幅広い資産・地域に分散投資できる便利な投資信託です。

投資信託のリスクとリターン

投資信託に限らず、投資にはリスクがあります。投資におけるリスクとは「危険性」ではなく「得られるリターンのブレ幅」のことです。リスクが高いということは、大きな値上がりが期待できる一方で大きく値下がりする可能性もあるという意味。リスクが低いということは、大きな値下がりの可能性は少ないもののそこまで値上がりもしないことを表します。

リスクとリターンはトレードオフの関係(比例の関係)にあります。

●投資信託のリスクとリターンの関係

著書「はじめてのNISA&iDeCo」(成美堂出版)より

投資信託のリスクとリターンは、投資先の国・資産により異なります。図のように国内→外国(先進国より新興国)、債券→不動産→株式の順にリスク・リターンが高くなります。なお、バランス型のリスク・リターンは投資先の国・資産のリスク・リターンを平均した程度のリスク・リターンです。

ですから、投資信託を見るときには、「何に投資しているか」「どこに投資しているか」の2つのポイントを確認することが大切です。

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投資信託選びのポイントを整理しておこう

投資信託の分類がわかったところで、具体的に投資信託を選ぶためのポイントをQ&A形式で解説していきます。

●投資信託選びのQ&Aその1:信託報酬の違う投資信託、どちらを選ぶ?

たとえば、「成績好調で信託報酬3%」の投資信託Aと、「成績安定で信託報酬0.7%」の投資信託Bがあったとします。これらにそれぞれ100万円ずつ投資したとき、投資信託Aでは年5%、投資信託Bでは年3%の利回りが得られたとしましょう。では、どちらの投資信託のほうが得でしょうか。

この場合、20年後の資産総額は次のようになります。

【信託報酬の違いによる差】

(株)Money&You作成

20年間の運用成果は、利回り3%ながら信託報酬の低い投資信託Bのほうが9万円も多くなります。つまり、信託報酬の低い投資信託の方が長期的に安定した運用成果が出せるというわけです。

投資信託には、買うときに「購入時手数料」、持っている間に「信託報酬」、売るときに「信託財産留保額」という手数料がかかります。このうち、もっとも注意すべきは信託報酬。信託報酬は持っている間ずっとかかるため、わずかな差であっても大きな違いがでます。

運用成績の良し悪しは、投資してみなければわかりませんが、信託報酬は必ず支払う必要がある手数料です。そして信託報酬は、安いものを自分で選ぶことができます。ですから、信託報酬が安いものを選びましょう。

●投資信託選びのQ&Aその2:バランスファンドの「4資産」「8資産」どちらがいい?

バランス型の投資信託には、国内外の株式と債券に25%ずつ均等に投資する「4資産均等型」や、国内・先進国・新興国の株式と債券、国内・国外の不動産(リート)の合計8つの資産に投資する「8資産均等型」などがあります。
一見、4資産よりも8資産のほうが分散されているので低リスクだと思われがちですが、リスクが低いのは債券の比率が高く、新興国を含まず、海外資産の比率が低い「4資産均等型」です。

どちらがいいかを決めるには、自分のリスク許容度を知る必要があります。
リスク許容度は、「自分が損にどのくらい耐えられるか」の度合いです。

【リスク許容度のイメージ】

著書「はじめてのNISA&iDeCo」(成美堂出版)より

リスク許容度は、「収入が多い」「資産が多い」「年齢が低い」「投資経験がある」ほど高くなります。ただ、客観的事実から「リスク許容度が高い」と思われる人でも、リスクに対する考え方が慎重ならば、リスク許容度は低くなります。

リスク許容度が低いのであればリスクの低い4資産均等型、そこそこのリスク許容度ならば8資産均等型を選ぶという具合に、商品選びに生かします。さらに積極的にリスクが取れるのであれば全世界株・米国株に投資する投資信託を選ぶのも一案です。リスク許容度は、高ければいいというものではなく、自分がどうなのかを知ることが大切です。

なお、私たちの年金保険料を運用している世界最大の機関投資家、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は国内・海外の株式と投資信託に25%ずつ投資する「4資産均等型」を基本としています。その結果、2001年度からの累積収益額が約98兆円(2022年度第3四半期時点)、収益率が年3.38%という運用ができています。
もちろん、GPIFであっても常に右肩上がりでお金が増え続けているわけではありません。しかし、このように分散投資をすることで、堅実に資産を増やせることを示す何よりの好例だといえます。




●投資信託選びのQ&Aその3:ターゲットイヤー型とバランス型、どちらがいい?

ターゲットイヤー型は、あらかじめ目標とする年を決めて、その期限が近づくにつれて組み入れる資産の比率を変更していく投資信託のことです。たとえば「若いうちは株式中心」「年を追うごとに債券にシフト」という具合に、運用商品が変わっていきます。
確かに、年齢を重ねるとリスク許容度は低くなると考えられるので、自動的にリスクの下がるターゲットイヤー型の商品は一見良さそうです。

しかし、ターゲットイヤー型は取れるリスクを年齢だけで判断してしまいます。必ずしもその人にあった投資になるとは限りません。それに、信託報酬が0.8%~1.2%程度と比較的高く設定されているのも問題です。したがって、バランス型に軍配があがります。

●投資信託選びのQ&Aその4:バランス型の資産配分比率「固定型」と「変動型(リスクコントロール型)、どちらを選ぶ?

バランス型の投資信託のうち、固定型は前述の「4資産均等型」「8資産均等型」のように、配分比率を固定して運用する商品です。運用の結果、設定した配分比率からかけ離れた場合は、自動的に配分比率が調整(リバランス)されます。
対するリスクコントロール型は、市場の変動に合わせて、機動的に資産配分を変更する投資信託です。普段は株と債券にバランスよく投資し、株価が下落基調になったときには債券を多めにする…といった運用を行います。

リスクコントロール型も、値下がりのリスクが回避できる可能性があるのはいいのですが、値上がりしているときにはインデックス型・バランス型ほどの値上がりは見込めないのが現実。また、値下がりによる損失も必ず回避できるとは限りません。
リスクコントロール型として知られる「投資のソムリエ」も、2022年12月30日時点の年率リターン(設定来)は年率1.2%ですが、信託報酬は年1.54%ですから、実質マイナスになっている状況です。したがって、バランス型は固定型を選びましょう。

●投資信託選びのQ&Aその5:インデックス型とアクティブ型、どちらを選ぶ?

投資信託には、運用方法の違いによって大きく「インデックス型」と「アクティブ型」の2種類があります。インデックス型はTOPIXやS&P500といった、市場の値動きを示す指標と連動することを目指す投資信託。アクティブ型はTOPIXやS&P500といった指標よりも高い成果や、「年10%」などと絶対収益を得ることを目指して運用される投資信託です。

こう紹介すると、「アクティブ型のほうが儲かりそう」と思われるかもしれません。しかし、アクティブ型は投資信託を持っているときにかかる信託報酬がインデックス型に比べて高いため、運用成績が指標よりも相当大きく上回らない限り、インデックス型には勝てません。

投資信託は、長期で運用成績をコツコツ上げることを目指す商品です。にもかかわらず、S&Pダウジョーンズ社が公表している「SPIVA日本スコアカード」によると、アクティブ型の投資信託を10年運用した時点で、日本の大型株ファンドの約87%、米国株式ファンドの約97%がインデックス型に勝てていません。

【インデックス型に勝てなかったアクティブ型の割合】

S&Pダウジョーンズ社「SPIVA日本スコアカード」2022年中期版より

運用期間が長期になればなるほど、インデックス型に勝てるアクティブ型は少なくなっています。その上、アクティブ型はコストが高いのも難点です。もちろん、アクティブ型の中にも大きなリターンをあげる商品があるかもしれませんが、それを探すよりはインデックス型を選んでおくのが無難です。

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【結論】投資信託はどれを選べばいい?

これらを踏まえて、どんな投資信託を選べばいいのかを、3つのポイントにまとめました。

●投資信託選びのポイント1:信託報酬が0.1〜0.3%程度の投資信託を選ぶ

投資信託は、信託報酬がなるべく安いものを選びましょう。インデックス型・バランス型の信託報酬の目安としては0.1%~0.3%程度。これ以上高い投資信託を選ぶ必要はありません。

●投資信託選びのポイント2:リスク許容度に合わせて投資先を選ぶ

上でも触れましたが、リスク許容度が低いのであれば4資産均等型、そこそこのリスク許容度ならば8資産均等型のバランス型ファンドを選びます。さらに積極的にリスクが取れるのであれば、全世界株・米国株に投資する投資信託に投資することで、世界経済の成長の恩恵を得られます。具体的には以下のような、広く市場全体の動きをとらえる指標に連動する投資信託に、コツコツと長期間にわたって分散投資します。

【全世界株式型インデックスファンド】
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(FTSE Global All Cap):世界48カ国の大中小型株9500銘柄で構成
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI):世界47カ国の大中型株3000銘柄で構成

【米国株式型インデックスファンド】
CRSP USトータル・マーケット・インデックス(CRSP US Total Market):米国の大中小型株4000銘柄で構成
S&P500:NY・ナスダック両証券取引所からTOP500を選抜

●投資信託選びのポイント3:純資産総額が50億円以上の投資信託を選ぶ

純資産総額は、投資信託が組み入れている株式や債券などの資産の合計金額(時価総額)。投資信託の規模、大きさを示す金額です。インデックス型・バランス型の場合、純資産総額は最低でも50億円以上あるのが望ましいところです。

純資産総額が少ないと、
・投資信託が目指す分散投資がしにくく、運用実績に影響が出てくるリスク
・投資先の株などの資産を購入するときの売買手数料にボリュームディスカウントが効きにくくなるため、信託報酬が増えるリスク
・純資産総額があまりにも低いままだと、途中で運用を中止する「繰上償還」が行われてしまうリスク
が生じます。ですから、純資産総額が50億円以上の投資信託を選びましょう。

以上のポイントを踏まえて、筆者が選んだ投資信託を5本紹介します。なお、以下のデータは2023年2月8日時点のものです。

●投資信託①:ニッセイ・インデックス・バランスファンド(4資産均等型)

【リスクを抑えたい人向け】【つみたてNISAで購入可能】
純資産総額:270.67 億円
基準価額:14,307 円
信託報酬(税込):年0.154%
3年トータルリターン(年率):5.42%
5年トータルリターン(年率):4.23%

国内外の株式と債券に25%ずつ均等に投資する「4資産均等型」のバランス型投資信託です。株式と債券の比率が50%ずつで、国内と海外の比率も50%となるため、比較的リスクを抑えた運用ができます。取り扱う金融機関も多く、どこでも買いやすいのがメリットです。

●投資信託②:eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)

【やや強気にリスクをとりたい人向け】【つみたてNISA・iDeCoで購入可能】
純資産総額:1776.23億円
基準価額:13,471 円
信託報酬(税込):年0.154%
3年トータルリターン(年率):4.47%
5年トータルリターン(年率):4.42%

国内・先進国・新興国の株式と債券、国内・国外の不動産(リート)の合計8つの資産に均等に投資する「8資産均等型」のバランス型投資信託。「ニッセイ・インデックス・バランスファンド(4資産均等型)」より債券の比率が少なく、不動産や新興国の資産などが入っているため、ややリスクは高めです。

●投資信託③:eMAXIS Slimバランス 全世界株式(オール・カントリー)

【積極的にリスクをとりたい人向け】【つみたてNISA・iDeCoで購入可能】
純資産総額:8902.42億円
基準価額:17,068 円
信託報酬(税込):年0.05775%
3年トータルリターン(年率):12.23%
5年トータルリターン(年率):-

MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスとの連動を目指す、全世界株に投資する投資信託です。世界株式市場のカバー率は85%。とても安い信託報酬で、世界中の株式に分散投資できます。なお、「eMAXIS Slim」のシリーズには純資産総額が増えるごとに実質的な信託報酬率が下がる「受益者還元型信託報酬」という仕組みがあります。

●投資信託④:SBI・全世界株式インデックス・ファンド

【積極的にリスクをとりたい人向け】【つみたてNISA・iDeCoで購入可能】
純資産総額:900.87 億円
基準価額:16,240 円
信託報酬(税込):年0.1102%
3年トータルリターン(年率):12.10%
5年トータルリターン(年率):9.10%

米国の株式・米国以外の先進国株式・新興国株式に投資するETFに投資することで、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスとの連動を目指す投資信託です。日本を含む先進国25カ国・新興国22カ国、約9500銘柄に低コストで投資可能。気軽に世界経済の成長の力を借りられます。

●投資信託⑤:SBI・V・全米株式インデックス・ファンド

【積極的にリスクをとりたい人向け】【つみたてNISAで購入可能】
純資産総額:1348.48億円
基準価額:11,290円
信託報酬(税込):年0.0938%
3年トータルリターン(年率):-
5年トータルリターン(年率):-

米国の資産運用会社、バンガード社のETF(上場投資信託)を通じて、CRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動する成果を目指すインデックス型の投資信託です。米国株式市場カバー率はほぼ100%。これ1本で米国の大中小型株約4000銘柄に低コストで投資できます。2021年に設定された新しい投資信託ですが、純資産総額は堅調に増加しています。

まとめ

投資信託の基本から投資信託選びのポイント、そして厳選した投資信託5本を紹介してきました。これからお金を増やすためにも、ぜひ商品選び・投資行動に役立ててくださいね。

今回の内容は動画で紹介しています。ぜひご覧ください。


※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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