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23/05/03

相続・税金・年金

国民年金を月6万円もらえていない人は意外と多い

国民年金を月6万円もらえていない人は意外と多い

老後の生活を支える国民年金。2023年度は満額で月6.6万円ほどもらえます。実際のところ、年金で生活している人はどのくらいもらえているのでしょうか。今回は、国民年金を満額もらえている人の割合や、もらえる年金を増やすための対策について解説します。

国民年金の平均月額は5.6万円

厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、令和3年度末時点での老齢年金受給者数はおよそ3,342万人。もらえている国民年金(老齢基礎年金)の平均月額は約5.6万円です。性別ごとの内訳は、男性が5.9万円、女性が5.4万円となっており、男性のほうが5千円ほど多くもらえていることがわかります。

●年金月額階級別の老齢年金受給者数(国民年金)

厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成

このうち、国民年金を6万円以上もらえていない人は1,655万人ほどです。割合にすると全体の49.5%と約半数にのぼります。国民年金を満額もらえていない人は意外と多いことがわかります。

年金を増やすためにできる対策は?

では、将来もらえる年金を増やすために、今のうちからできる対策にはどのようなことがあるのでしょうか。

先ほどの調査では、国民年金の平均月額と満額の差は1万円程度です。1カ月で比べると1万円程度の差であっても、年換算すると12万円、10年間では120万円にもなります。国民年金保険料を納めているうちから将来を見据えた準備をすることで、もらえる年金額に差が出てくるでしょう。

●年金を増やす方法1:未納をなくす

国民年金は厚生年金とは異なり、保険料を納めれば収入に関係なく満額をもらえます。将来もらえる年金額は、保険料を納めた期間が長ければ長いほど増えていきます。そのため、年金額を増やすには、今のうちから保険料をしっかり納めることをおすすめします。

もし、何らかの理由で保険料を納めていない期間がある場合は、納付期限から2年以内であればさかのぼって納められます。また、国民年金保険料の免除や猶予を受けた期間は、納付期限から10年以内であれば納めることができます。しかし、2年(10年)を過ぎると、時効により納められなくなるため注意が必要です。

自分が納めた保険料がわからないときには、毎年誕生月に送付される「ねんきん定期便」で保険料の納付額や年金加入期間を確認できます。また、「ねんきんネット」であれは自宅にいながら最新の年金記録を確認できて便利です。

●年金を増やす方法2:任意加入制度を利用する

任意加入制度を利用するのも有効な手段の1つです。任意加入制度とは、60歳までに年金の受給資格を満たしていない人や、保険料の納付期間が40年に満たず年金を満額もらえない人のために設けられています。

任意加入をすると、60歳以降でも保険料の納付ができるため、年金の増額につながります。任意加入するための条件は以下の通りです。

〈任意加入する条件〉
1. 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
2. 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
3. 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
4. 厚生年金保険、共済組合等に加入していない方

日本年金機構ウェブサイトより

任意加入の手続きをする際は、市区役所・町村役場の窓口や、年金事務所で手続きが必要です。

2023年度(令和5年度)の国民年金保険料は1カ月あたり16,520円です。つまり、1年間でおよそ20万円かかります。それに対して、国民年金保険料の納付期間が1年増えると、年金額はおよそ年2万円増えます。

●年金を増やす方法3:長く働く

職業が会社員などで老齢厚生年金をもらえる人であれば、「経過的加算」で年金を増やすこともできます。「経過的加算」は、今の年金制度が始まった1986年(昭和61年)4月から始まりました。65歳までにもらえる定額部分と、65歳以降にもらえる老齢基礎年金の差額を埋めるために、65歳以上の老齢厚生年金に加算されます。

〈経過的加算のイメージ〉

日本年金機構「老齢年金ガイド令和5年版」より

経過的加算額には、厚生年金の加入月数が480カ月(40年)を上限に反映されます。将来もらえる年金を増やすことを考えれば、会社員の人はできるだけ長く働くことも1つの選択肢でしょう。

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まとめ

国民年金を満額もらえている人の割合や、将来もらえる年金を増やすための方法について紹介しました。
40年分の国民年金保険料の総額は、国民年金を満額で10年もらった場合の金額と同じくらいです。いいかえれば、将来年金を10年ほどもらえば、納めた保険料の元は取れるのです。

「人生100年時代」といわれる今、ゆとりあるセカンドライフを過ごすためにも、今のうちから将来に向けて年金を増やす対策をとってはいかがでしょうか。

たにぐち まりえ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

新卒で大手銀行に入社し、個人営業に13年間従事。資産運用や相続対策、アパートローンなど、幅広い業務を経験。プライベートでは1児の母。出産を機にキャリアと育児の両立に悩み、自分らしく生きるためにコーチングを学ぶ。現在は金融系記事の執筆や、FP×コーチングで女性の人生を豊かにするための活動を行っている。

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