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22/07/06

相続・税金・年金

70代と80代で年金額は月1万7000円違う! 年齢別の平均受取額はいくらか

70代と80代で年金額は月1万7000円違う! 年齢別の平均受取額はいくらか

国民年金・厚生年金、いくらもらえるのでしょうか。気になっている方も多いでしょう。そこで今回は、厚生労働省のデータをもとに、年齢別の平均年金月額をご紹介。年金額を上乗せできる主な制度と合わせて、解説します。

年齢別の国民年金・厚生年金の受取額を比較!

国が運営する公的年金には、国民年金と厚生年金の2種類があります。どちらも、条件を満たせば原則として65歳から生涯にわたって受け取ることができます。この年金の受給額は、年齢ごとに異なります。

●年齢別の老齢年金の受給者数と平均年金月額

厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より

国民年金の平均年金月額を見ると、年齢はあまり関係がなさそうです。データ上、国民年金の平均年金月額がもっとも多いのは65歳で5万7919円です。

ただ、国民年金は年齢が高くなるほど、平均年金月額が高くなるわけではありません。5歳ごとの国民年金の金額を見ると、65〜69歳は5万7502円、70〜74歳は5万7010円、75〜79歳は5万5880円とわずかに減少しているものの、80〜84歳は5万6916円と増加。全体的にみれば、80歳以上になっても年金額は同じくらいといえます。
国民年金は、40年加入していれば満額受け取ることができます。ただし、満額はみな同じですので、それほど差がつかないというわけです。

それに対して厚生年金は、総じて年齢が上がるほどに受け取れる金額が増えています。上の表から5歳ごとの平均年金月額を抜き出すと、

・65〜69歳:14万3609円
・70〜74歳:14万5705円
・75〜79歳:15万569円
・80〜84歳:15万9529円
・85〜89歳:16万2705円

となり、年齢が上がるほど金額が増えることがわかります。70〜74歳と85〜89歳では、月1万7000円もの差があります。
さらに、70歳(14万3775円)と89歳(16万3514円)を比較すると、2万円近い差があるのです。このように差がつくのは、年金制度の改正で支給額が引き下げられているからです。

加えて、年金の支給開始年齢も、60歳から65歳へと段階的に引き上げられています。1961年4月2日以降生まれの男性と1966年4月2日以降生まれの女性については、どちらも原則として65歳から年金の支給が開始されます。

今後も年金の支給開始年齢の引き上げが続く可能性は十分にあるでしょう。日本は将来的に高齢者の割合が増え、若年層の割合が減るといわれています。そのため、将来も年金の支給開始年齢が引き上げられれば、受取額が減るかもしれません。

年金の繰り上げ受給をすると受取額がさらに減る

なお、年金は60歳〜64歳の間に受け取ることもできます。これを繰り上げ受給といいます。繰り上げ受給では、1か月繰り上げるごとに0.4%(1962年4月1日以前に生まれた人は0.5%)受取額が減るので注意してください。特に60歳になった時点から受け取った場合、24%も受取額が減ります。
実際、上の表で見ても、60歳から64歳までの平均年金月額は厚生年金で7万5922円、国民年金で4万2306円と、65歳以降よりずっと少なくなっています。

2022年度の老齢基礎年金の満額は77万7800円ですが、仮に60歳から受給して24%減額になれば、受給額が59万1128円に減ります。当然、老後に資産を多く残せていなかった場合、70代や80代を迎えた際に生活が苦しくなる可能性があるので注意が必要です。年金の繰り上げ受給をすれば、受給額が大幅に減るため、制度を利用する場合慎重に検討すべきです。

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年金の上乗せをして将来に備える

将来的に年金の受取額が減ることを考えた場合、定年を迎えるまでにもらえる年金額を増やすための対策をしなければなりません。将来の受取額を増やすためには、次のような方法があります。

●iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)

iDeCoは自分で出したお金を自分で運用し、60歳以降に受け取る制度です。iDeCoを利用すれば、毎月積み立てたお金が全額所得控除の対象になるため、所得税と住民税の節税が可能になります。

たとえば、40歳の年収500万円(所得税率・住民税率とも10%)の会社員が毎月2万円(年24万円)を65歳まで積み立てたケースで考えてみましょう。この場合、年間の節税額は4万8000円、25年間の節税額は120万円にもなります。

また、この間年利3%の運用ができたとすると、元本の600万円(年24万円×25年)が約292万円増えて、約892万円になる計算です。本来、投資では運用益に20.315%の税金がかかりますが、iDeCoならば運用益が非課税に。運用時の節税額(年利3%のケース)は約58万円です。

なお、運用期間が長くなるほど節税額が増えるため、年齢が若いうちからはじめるのがおすすめです。仮に上と同じ条件で30歳から毎月2万円を積み立てた場合、積立時は168万円、運用時は約128万円も節税できます。40歳から積み立てをはじめた場合と比較すると、合計で約118万円も節税額が変わります。少額でもよいので、なるべく早く将来に備えましょう。

●つみたてNISA

つみたてNISAとは、年間40万円まで指定された投資信託を購入した場合に、最長20年間分配金や譲渡益が非課税になる制度です。
一般的に投資では、利益額の20.315%の税金を支払う必要がありますが、つみたてNISAを利用すれば税金が一切かかりません。

また、毎月1000円程度の少額(大手ネット証券なら100円)からはじめられるため、生活費にも負担がかかりにくいでしょう。毎月積み立てるだけなので、一般の投資のように買い時を考える必要がなく、気軽に将来に向けた資産運用が可能です。

●国民年金基金

国民年金基金とは、フリーランスや個人事業主といった国民年金第1号被保険者の方がお金を出して、国民年金の上乗せ部分にあたる年金を用意する制度です。フリーランスや個人事業主には厚生年金がないため、将来の受給額が少ないのが不安な方も多いでしょう。しかし国民年金基金を利用すれば、以下のようなメリットがあります。

・掛金が全額社会保険料控除になる
・一生涯受給できるので、長生きしても安心
・掛金や受給開始年齢などのプランが選べる
・掛金額が一定かつ受け取り年金額が決まっているので安心
・保証期間中に亡くなっても残された家族に一時金が支給される

国民年金基金の掛金は全額社会保険料控除となるため、所得税や住民税を軽減できます。したがって、税金を安くしながら、将来に向けた蓄えができるのです。また、一生涯受給できるので、安心して生活できます。掛金のプランも自由に選択でき、途中で掛金の変更も可能です。ライフプランや収入状況に合わせて、負担なく支払いができるでしょう。

ただし、一度国民年金基金に加入すると、家計の収支が厳しくなったとしても途中で脱退できません。どうしても支払いが難しい場合は、2年間の支払い猶予や掛金の減額はできますが、なるべく無理のない金額を設定しておきましょう。

●付加年金

国民年金基金と同様、国民年金第1号被保険者の方が、国民年金保険料に毎月400円を上乗せすることで、受け取れる年金額が「付加保険料の納付月数分×200円分」上乗せされる制度です。たとえば、付加年金に20年間加入した場合の総支払額は400円×20年で9万6000円です。そして、毎年上乗せされる受給額は200円×20年で4万8000円。つまり、付加年金を支払えば、2年で元が取れる計算です。

ただし、付加年金に加入できるのは、20歳〜60歳以上の自営業・フリーランス・学生や任意加入被保険者(65歳以上の人を除く)です。したがって、国民年金第2号被保険者である会社員や公務員、第2号被保険者に扶養されている家族は利用できません。また、67歳未満で亡くなると、元が取れないため、支払った保険料分損をします。
国民年金基金と付加年金は併用できないので、どちらかを選ぶ必要があります。

●年金の繰り下げ受給

上で紹介した繰り上げ受給とは逆に、年金の受給開始を66歳以降にすることを繰り下げ受給といいます。年金の繰り下げ受給では、1か月繰り下げるごとに0.7%受取額が増えます。

2022年度の老齢基礎年金は満額77万7800円です。70歳まで繰り下げた場合、受取額は42%増額できるため、110万4476円も受け取れます。さらに、75歳まで繰り下げると84%増額でき、143万1152円も受け取れます。このように、年金を繰り下げ受給すれば、受給額が大幅に増えます。60歳以降も資産に余裕がある方は、繰り下げ受給するのがおすすめです。

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まとめ

厚生年金は年齢が上がるほど、受取額が増える傾向にあります。70〜74歳と85〜89歳では、月1万7000円もの差があることをご紹介しました。また、厚生年金の受取額が最も多いのは89歳で、70歳と比べると、平均受給額は2万円近く違います。
年金の支給開始年齢はたびたび引き上げられており、将来的に受け取れる年金が減る可能性もあります。なるべく、早い時期に年金の上乗せをできる制度を活用し、老後資金の対策をしたほうがいいでしょう。

小栗健吾 現役のFXトレーダー及びWEBライター

地方の大学を卒業後、会社員を経て、WEBライターとして活動中。FXや仮想通貨の取引経験(FXは8年以上)があり、現役トレーダーの目線で記事を多数執筆している。また、現在はFXだけでなく、「キャッシング」「副業」「節税」などマネー系の記事も多く執筆している。

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