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22/04/22

相続・税金・年金

標準的な年金額22万円をもらえる人の年収はいくらか

標準的な年金額22万円をもらえる人の年収はいくらか

将来の年金額に不安を抱える人はたくさんいます。日本年金機構の発表によると、「標準的な年金額」は約22万円だというのですが、そもそもこの標準的な年金額とは、どんな金額なのでしょうか。また、標準的な年金額をもらえる人の年収はいくらなのでしょうか。自分の年金額を確認する方法、年金を増やす3つの方法と合わせて、ご紹介します。

「標準的な年金額」はどんな金額?

2022年度(令和4年度)の年金額は2021年度より0.4%の引き下げになります。2021年度の年金額も、2020年度に比べて0.1%引き下げられています。年金額は、2年連続の引き下げとなりました。

日本年金機構のウェブサイトには、国民年金の満額と、厚生年金の金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)が記載されています。

●2022年度の年金額

日本年金機構のウェブサイトより

国民年金の月額(満額)は6万4816円。この満額は、国民年金保険料を40年間(480か月)納めた場合に受け取れる金額です。

一方、厚生年金の月額は21万9593円となっています。厚生年金の金額は、一般に加入期間の平均年収が高いほど、加入期間が長いほど多くなります。下の注意書きには、「※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。」とあります。

つまり、簡単にいうと、この「21万9593円」という金額は、
・夫の厚生年金の月額(40年間会社員・ボーナスを含む収入が月43.9万円)
・夫の国民年金の月額(満額)
・妻の国民年金の月額(満額)
の合計なのです。

国民年金の満額は6万4816円ですから、21万9593円の年金額は、
・夫の厚生年金:8万9961円
・夫の国民年金:6万4816円
・妻の国民年金:6万4816円
となります。

またここから、夫が8万9961円の「標準的な厚生年金」を受け取るためには、40年間の平均年収(ボーナス含む)が43.9万円×12=526.8万円必要だとわかります。

日本人の平均年収は433万円(国税庁「民間給与実態統計調査」令和2年分)。526.8万円とは100万円近い開きがあります。しかも、20代・30代など、給与がまだ少ないときも含めた平均年収を高めるには、40代・50代では600万円、700万円などと、より多く稼ぐ必要があるのです。標準的な年金額を達成するのは、意外と大変だと思われるかもしれません。

自分の年金額を確認しよう

しかし、「標準的な年金額に届かない」と残念がる必要はありません。標準的な年金額はあくまでひとつの目安です。特に今は専業主婦世帯より共働き世帯のほうがずっと多い時代です。夫婦ともに厚生年金を受け取れるならば、夫婦合計で年金額が22万円以上になるケースも多いでしょう。

ですから、まずは自分の年金額を確認しましょう。
50歳以上の方であれば、毎年誕生日ごろに届く「ねんきん定期便」に、今のまま60歳まで加入した場合の年金見込額が記載されます。給与が少なくなったり、仕事を辞めたりしなければ、おおよそこの年金額が受け取れます。

一方、50歳未満の方のねんきん定期便には、現時点で年金を受け取った場合の金額しか記載されていないので、自分の年金額がわかりません。特に20代・30代など、加入期間が短い場合は金額が少なくて驚くかもしれません。

そこで活用したいのが「ねんきんネット」です。ねんきんネットでは、これからの働き方や収入を元に年金額のシミュレーションができます。しかも、誕生日を待たずとも、スマホやパソコンでいつでも確認できるので便利です。
ねんきんネットは、ねんきん定期便に記載のあるアクセスキーを利用すると、利用登録が簡単です。マイナンバーカードを持っているなら、マイナポータルからねんきんネットを確認することもできます。

もちろん、50歳以上の方であってもねんきんネットは役立ちます。この機会に登録しておくことをおすすめします。

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年金・老後資金を増やすためにできる3つのこと

年金額を見て「これでは足りない」「もっと増やしたい」と思った方は、年金額を増やすことを検討しましょう。ここでは、年金や老後資金を増やすための方法を3つ、ご紹介します。

●年金・老後資金を増やす方法1:長く働く

上でも紹介したとおり、厚生年金の年金額は、一般的に年収が多いほど、加入期間が長いほど増えます。国民年金に加入できるのは原則60歳までですが、厚生年金には70歳まで加入できます。つまり、60歳以降も長く働き続けることで、将来の厚生年金を増やすことができるのです。今は希望すれば65歳まで働けますし、今後は70歳まで働く環境も整うと考えられます。給与を得ながら厚生年金も増やせるので、お金の不安を減らせます。また、社会とのつながりや仕事のやりがいを得ることで、健康にもいい影響を与えるでしょう。

●年金・老後資金を増やす方法2:年金の繰下げ受給をする

年金は原則65歳から受け取ります。しかし、これを66歳以降に遅らせる「繰下げ受給」をすることもできます。繰下げ受給では、1か月遅らせるごとに年金額が0.7%ずつ増え、最大で75歳まで繰り下げることでもらえる年金額が84%増やせます。

・繰下げ受給による増減率

(株)Money&You作成

たとえば、月14万円、年168万円の年金を受け取れる方が75歳まで年金を繰下げ受給すると、受け取れる年金額は84%増えて月約25.8万円、年約309.1万円に増加します。

この場合、75歳までは年金がもらえないので、その間の生活費が必要にはなりますが、受け取る金額を増やすとても効果的な方法です。あらかじめ「いつまで繰り下げる」と決める必要もないので、できる範囲で繰り下げるのも有効です。
繰下げ受給は、老齢厚生年金と老齢基礎年金のどちらか、あるいは両方とも繰り下げることができますので、状況に合わせて選択しましょう。

なお、上の表にもあるとおり、年金を60歳から64歳の間で受け取る「繰上げ受給」も選択できます。しかし、繰上げ受給は繰下げ受給とは逆に、1か月早めるごとに年金額が0.4%ずつ減っていくため個人的にはおすすめしません。また、繰上げ受給は、老齢厚生年金と老齢基礎年金は必ずセットで繰り上げする必要があります。




●年金・老後資金を増やす方法3:iDeCoやつみたてNISAを活用する

年金の制度が今後変更になり、将来もらえる金額が減る可能性もあります。それに備えるためには、iDeCoやつみたてNISAが役に立ちます。

iDeCoは自分で出した掛金を自分で運用して60歳以降に受け取る制度。掛金を出すとき・運用中・受け取るときの3つのタイミングで税金を減らしながら、堅実に老後資金を用意できます。
またつみたてNISAは、年間40万円までの投資で得られた利益が最長20年にわたって非課税になる制度です。金融庁の基準を満たした、長期・積立・分散投資ができる投資信託に投資することで、コツコツお金を増やしていきます。

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まとめ

標準的な年金額の話から、自分の年金額の確認方法、さらには年金や老後資金を増やす方法までご紹介しました。年金の不安は尽きないものですが、不安に思っているだけでは問題は解決しません。まずは自分の年金額をチェックして、少ない・足りないと感じたらそれを増やすための手立てを取って、問題を解決していきましょう。

高山 一恵 ファイナンシャルプランナー

(株)Money&You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍100冊、累計180万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue

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