23/08/30
「お金の知識があるほど年収が高い」は本当か
みなさんはお金の知識があると自信をもっていうことができますか?学校でほとんどお金について学ぶ機会がなかった世代は、自分で勉強するか仕事の知識としてお金の知識を身につけるしか方法はありません。だから、「お金の知識がなくても仕方ない」と思われる方も多いかもしれません。しかし、「お金の知識があるほど年収が高い」といったらどうでしょうか。勉強したいと思われるのではないでしょうか。
今回は、アンケートの結果をもとにお金の知識と年収の間に比例の関係があるのかを紹介します。
そもそも金融リテラシーとは何?
お金の知識は「金融リテラシー」と表現されます。金融リテラシーとは、お金や経済に関する情報を理解し、そのうえで必要な金融商品やサービスを判断する力のことです。政府は、最低限身に付けるべき金融リテラシーとして「家計管理」」「生活設計」「金融と経済の基礎知識と、金融商品を選ぶスキル」「外部の知見の適切な活用」の4分野15項目をあげています。これらを身につけることで、計画立ててお金を準備したり、万が一の備えを用意したりできるようになり、経済的に自立してよりよい暮らしを送れるようになると紹介しています。
もっとも、金融リテラシーは、単に知識があるだけではなく、適切に判断し実行に移すことが大切です。現状を変えて暮らしをよりよくするには、行動するしかないことも押さえておきましょう。
三井住友信託銀行が2023年に実施した「金融リテラシー度とファイナンシャル ウェルビーイングに関する実態調査」によると、金融リテラシーがあるほど年収が高いという結果を紹介しています。
同調査では、家計と金融リテラシーに関するアンケートを行い、その結果から金融リテラシー度を「良好」「順調」「不足気味」の3段階に分類。各分類に当てはまる人の特徴をまとめたものです。実際にアンケート結果をみてみましょう。
金融リテラシーのある人ほど年収が高い
●金融リテラシー度と年収の関係
三井住友信託銀行の調査より
図は金融リテラシー度別の年収の割合です。もともと、回答者の約半数が年収300万円未満ではありますが、金融リテラシー度別の内訳をみると、金融リテラシー度が高い(良好)になるほど年収300円未満の割合が減少しており、年収も高い傾向にあります。
金融知識があることで、人生設計をふまえ収入を考えた働き方ができるのかもしれません。どんな人生を送りたいからこのような働き方をしていくら収入を得たい、金融知識があることでそのような職業選択ができるのでしょう。
金融リテラシーのある人ほど年間の資産形成額が多い
●金融リテラシー度と年間資産形成額の関係
三井住友信託銀行の調査より
図は金融リテラシー度別の年間資産形成額の割合です。こちらも、金融リテラシー度が高い(良好)になるほど年間資産形成額が増加しています。「差し引きゼロ」「50万円未満」の割合は「良好」では2割程度。年間の資産形成額が高い傾向にあります。しかし「不足気味」では「差し引きゼロ」「50万円未満」だけで実に8割にのぼります。金融リテラシーのある人は経済の知識があるため、老後や将来に向けた資産形成の必要性を感じ実行している人が多いのでしょう。
年収にかかわらず金融リテラシーの高い人は資産形成をしている
●年収区分別の金融リテラシー度と年間資産形成額の関係
三井住友信託銀行の調査より
年収と金融リテラシー度には比例の関係があるとお話ししましたが、もちろん中には年収が少なくても金融リテラシー度の高い人や、年収が多くても金融リテラシー度の低い人がいます。
図をみると、年収にかかわらず、金融リテラシー度が高い(良好)になるにつれて、年間資産形成額「差し引きゼロ」「50万円未満」の割合が減少しています。年収が多くても少なくても、お金や経済の知識があると資産形成の必要性を理解し実行している人が多くなるのでしょう。
身につけておきたいお金の知識
では、実際に金融リテラシー度を高めるためにどのようなお金の知識を身につけておけばよいのでしょうか?筆者が重視しているのは、次の3点です。
①金融の言葉を知る
たとえば、金利は今いくらで1年後いくらの利息が付くか、投資をすることで運用益がどのように得られるのか、お金を増やすにはどうすればいいのかを知ることが大切です。
②運用商品を知る
株式投資、投資信託、債券といった金融商品の基礎知識に加えて、NISAやiDeCoといったお得な制度についても知っておきたいところです。とくにNISAは、2024年から制度が新しくなり、使いやすくなることも押さえておきたいですね。少額でもいいのでまずは自分自身でなんらかの運用を始めてみると生きた勉強になるのでおススメです。
③社会保険制度を知る
資産運用や投資だけでなく、社会保険制度についても知っておきましょう。健康保険にはどのような保障があるのか、年金はいくらはらいいくらもらえる見込みなのか、またどのような時に給付されるかも知識として持っておきたいところです。
まとめ
金融リテラシーのある人は年収が高く、資産運用をしていることを紹介してきました。金融リテラシーは、経済的に自立してよりよい暮らしを送るために必要な知識です。お金を貯めたい、増やしたいと考えている人はお金の知識を身につけることから始めてみましょう。
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稲村 優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFP︎︎®︎)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー
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