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20/10/07

保険

所得補償保険、就業不能保険、収入保障保険はどう違う? 加入するメリット・デメリットは?

おひとりさまの女性から受けるマネー相談で多いのが「自分が働けなくなった時」についてです。万が一働けなくなったとき、貯金で生活をまかなえる人はほとんどいないので保険を検討します。
働けないことで減る収入を補てんする保険には所得補償保険・就業不能保険・収入保障保険があります。一見、どれも似ていますが、実はまったく別のものです。それぞれの特徴を知り自分に合った保険を選ぶヒントを紹介します。

そもそも働けなくなった時に保険は必要?

病気やケガで働けなくなると、公務員やサラリーマンなどの給与所得者は「傷病手当金」が受け取れます。傷病手当金は、最長で働けなくなって1年6ヶ月の間、給料(厳密には、標準報酬月額の平均)の2/3もらえるので、ある程度保障があるといえます。しかし、それで十分とはいえません。
いっぽうフリーランスや自営業に傷病手当金はないため、「働けない=収入なし」になってしまいます。ですから、保険は手厚くしておく必要があります。

働けなくなった時の保険を選ぶには、まず自分の健康保険がどのような制度なのか、勤務先の福利厚生はどのようになっているのか把握します。そのうえで、不足と思える部分があればどのような保険をいくら位の保障で準備するか検討していきます。

これを踏まえて、働けなくなった時の保険3種類の違いを確認していきましょう。

所得補償保険とは

所得保障保険は、病気やケガで働けなくなった時の所得を補償する保険です。主に損害保険会社が販売しています。勤務先の団体保険のラインナップにもよくあります。1年から数年で更新のため、保険料は就業不能保険・収入補償保険に比べて若い人は安く年齢が高いと高くなります。
保険金がでない期間(免責期間)が短く、保険金がすぐ支払われるため、働けなくなった時に傷病手当金がもらえない国民健康保険加入者(自営業やフリーランス)におすすめです。

保険期間は主に1年。保障額は加入時に自由に設定できますが、契約直前12か月所得の平均月間額の一定割合が上限となります。

たとえば、損保ジャパンの所得補償保険の場合、
・国民健康保険(例:個人事業主)85%以下
・健康保険(例:給与所得者)50%以下
・共済組合(例:公務員) 40%以下
となっています。

国民健康保険の場合は保障が多く必要であるため、上限が多めの割合になっているのです。

【メリット】
・支払対象外期間が7日間と短い。
・保険会社によっては保険金支払いがなければ「無事故給付金」として、保険料の一部が支払われる。
・1年更新なので若い人の保険料が安い。

【デメリット】
・保険金受取期間が短い。数ヵ月から5年程度。
・入院か自宅療養でまったく働けない時しか支払い対象にならない。
・年齢が高くなるにつれて保険料が高くなる。

就業不能保険とは

就業不能保険は、所得補償保険と同様病気やケガで働けなくなった時の保険で、生命保険会社が販売しています。保険期間が60歳までなど長期でかけられるところが異なります。保険料は収入補償保険や所得保障保険に比べて少し高いですが、働けない状態が続いていれば保険期間の間ずっと保険金が支払われます。

死亡時でなく働けなくなった時の保障がほしい、傷病手当金や障害年金はあってもそれだけでは不安という人におすすめです。

【メリット】
・保険期間、加入時の保険料のまま上がらない。
・仕事ができない状態が続けば、保険期間の間ずっと保険金を受け取ることができる。
・就業不能時に、1年6か月は保障を低めにして、その後の保障を手厚くする、という設計も可能。

【デメリット】
・入院か自宅療養でまったく働けない時のみ支払い対象のものが多い。
(例えば、歩けなくても自宅で軽作業やパソコンで仕事ができれば就業不能とみなされない)
・長引きやすいメンタル系入院は対象外の保険が多い。
・支払い対象外期間が長い(60日、180日などの日数経過後の働けない日数が保険金支払いの対象になる)

収入保障保険とは

所得補償保険・就業不能保険は、生きている方が働けなくなった場合の保険です。これに対し、収入保障保険は被保険者が死亡または高度障害になった時に保険金がでる保険です。遺族年金を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。被保険者が亡くなった場合に残された家族に天国から送金するイメージです。

保険金支払いが死亡や高度障害に限定されているため保険料は所得補償保険・就業不能保険に比べて安くなっています。自分の収入が家族に寄与している割合が多い人、主婦でも自分に何かあったら家族のサポート費用が必要な人などにおすすめです。

【メリット】
・寿命の延びているため保険料が安くなっている。
・保険会社によっては就業不能の特約を付けることができる。

【デメリット】
・死亡・高度障害に該当しない働けない状態でも保険金はでない。
・保険期間が同じなら保険料が就業不能保険より安め。

まとめ

大きく分けると自分が死亡した時に残された家族を守るのが収入保障保険、自分が死亡せず働けなくなった時に自分や家族のための収入を確保するのが所得保障保険と就業不能保険です。
ライフスタイルや働き方の変化により、働けなくなった時の保険のニーズも高まってきています。自分の健康保険や福利厚生をふまえ、必要な保険を選びましょう。

稲村 優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFP︎︎®︎)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ

大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー

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