24/01/21
郵便貯金は「休眠預金」の対象外。払い戻し却下された人も再申請で返金される可能性
「ずいぶん前に作った郵便貯金口座。気づけば権利が消滅していた…。」こんな方はいませんか?これまでは郵政民営化前に作った郵便貯金の口座は、一定期間を過ぎると権利が消滅していました。しかし、2024年1月から権利消滅の基準が緩和されたことで、諦めていた郵便貯金の払い戻しが可能になるかもしれません。そこで今回は、郵便貯金の権利消滅に関する基準緩和について解説します。
郵便貯金は一定期間を過ぎると権利消滅となる
民間金融機関の預金は、10年以上取引がなければ休眠預金となります。休眠預金とは、2009年1月1日以降10年以上取引のない預金のこと。休眠預金となった預金のお金は、民間の公益活動のために用いられます。ただし、たとえ休眠預金になっても、手続きをすれば払い戻しができます。
ゆうちょ銀行の貯金(通常貯金)も同様に、満期日から10年以上経過すると、ATMやゆうちょダイレクトが利用できなくなる場合がありますが、窓口で手続きをすれば払い戻しが可能で、引き続き口座も利用できます。最後の取扱日または満期日が2009年(平成21年)1月1日以降の貯金は、他の金融機関の預金と同様、休眠預金となります。
しかし、2007年(平成19年)10月1日の郵政民営化前から持っている定額郵便貯金・定期郵便貯金・積立郵便貯金といった郵便貯金には、注意したいことがあります。これらの郵便貯金は、満期後20年を経過した後に催告書が送られ、それから2か月を経過しても払い戻し請求をしなければ権利が消滅してしまうのです。
<郵便貯金の権利が消滅するまで>
総務省「満期を経過した郵便貯金の払戻しに関するお知らせ」より
同様に、通常郵便貯金や通常貯蓄貯金も最後の取引から20年2か月が経過している場合、権利消滅となります。
郵政民営化前の郵便貯金には休眠預金についてのルールを定めた「休眠預金等活用法」ではなく、「旧郵便貯金法」が適用されるため、20年2か月を経過した後は権利が消滅し、払い戻しを受けられなくなってしまいます。
2024年から郵便貯金の払い戻し請求基準が緩和
事情があって払い戻しをすることができなかったのにもかかわらず、郵便貯金の権利が消滅してしまうのは納得いかないと考える人も少なくないのではないでしょうか。そこで国が動きました。
2023年9月に総務省は、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構に対し、郵政民営化前に預け入れられた貯金の払い戻し請求を見直すよう要請しました。その要請を受け、2024年1月4日以降、権利消滅となった郵便貯金(定期預金、定額預金)に対する払い戻し請求の基準が緩和されたのです。
払い戻し請求の新基準は以下の通りです。
◎払い戻しの請求者が正当な権利者であると確認したうえで、下記の真にやむを得ない事情があると認められる場合は、払い戻し請求に応じる。
・預金の存在を認識していなかった
・催告者の存在または内容を認識していなかった
・払い戻しの請求ができなかった
たとえば、親が子どもの郵便貯金を管理していて、子どもはその存在を知らなかった場合、家族の介護や看護などで払い戻し請求の手続きができなかった場合などが考えられます。
権利消滅した郵便貯金があり、真にやむを得ない理由がある場合は、郵便局の貯金窓口、もしくはゆうちょ銀行窓口で手続きをするとよいでしょう。
以前払い戻し請求が却下された人も再請求が可能に
郵便貯金の払い戻し請求をしたいが手元に通帳や貯金証書がない場合、これまでは過去10年以内の貯金でなければ郵便貯金の有無を調査してもらえませんでした。しかし2024年1月からは期間を限定せず、どの郵便貯金でも調査をしてもらえるようになっています。
「郵便貯金の口座があったはずだが通帳や証書がない」というときは、郵便局やゆうちょ銀行の窓口で問い合わせてみましょう。
また、これまでに権利消滅した郵便貯金の払い戻し請求を却下されたことがある場合も、2024年1月以降の新基準で再度、払い戻し請求ができるようになりました。該当する人は、再度窓口で手続きするとよいでしょう。
心当たりがあるなら必ず確認しよう
郵政民営化前に作った郵便貯金は、入出金などの取り引きがなく20年2ヵ月を経過すると貯金の権利が消滅していました。しかし2024年1月以降、権利消滅の基準が見直され、真にやむを得ない理由がある場合は払い戻し請求ができるようになりました。また、これまでに郵便貯金の払い戻し請求をしたが却下されたことがある場合でも、再度払い戻し請求が可能になります。
郵政民営化前に作った郵便貯金口座があるが、取り引きがなくそのまま放置したままの口座がある人は、払い戻し請求ができるかもしれません。該当する口座がある場合は、郵便局の貯金窓口かゆうちょ銀行で確認してみることをおすすめします。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
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