16/10/03
【投資女子への道】第3話「好きな会社の成績表を読めるようになろう」
OLの神崎美穂(37)と山口玲奈(33)は、株式投資をやってみようと「初めての株式投資ツアー」に参加しました。2人は同じ会社の仲良し先輩・後輩です。
ただいま、ガイドと一緒にマクドナルドでランチ中…。
自分なりの株価のイメージ(=理論価格)をしっかり掴もう
美穂「好きな企業を調べて自分なりの株価のイメージ(=理論価格)を持つことが大切だというのは分かりましたが、もう少し具体的に教えて下さい」
ガイド「株式投資では、企業の持つ経営方針、業績、成長性など『将来性』が一番大切だといわれています。まずは、業績面から見てみましょう。ここに資生堂の平成28年12月期の中間決算の決算短信があります。対象期間の企業の『売上高』、本業の儲けを示す『営業利益』、本業以外の損益を加えた『経常利益』、最終的な利益を示す『純利益』、そして一株あたりの純利益(EPS)などが載っています(図参照:青い枠内)」
美穂「数字がずらっと。企業の成績表みたいなものなんですね〜」
ガイド「そうです。決算短信は3ヶ月ごとに公表されていますので、企業の生の情報なんです。これを、過去3〜5年程度のそれぞれの項目の推移をチェックします。同時に今期の会社予想のチェックも忘れずに。(図参照:赤い枠内)
過去の業績が安定的に成長していて、今期予想も伸びていれば、その企業の将来の成長イメージが描きやすくなります」
美穂「過去はどんな人だったのか分かれば安心だし、将来像もイメージしやすいってことですね!」
玲奈「先輩、それじゃ、結婚相手を探してるみたいにきこえますよ」
一同笑い。
ガイド「さらに決算説明会資料を使って、今後の経営方針や、注力事業、株主還元方法なども参考にしたり、実際の店舗で同社の商品が売れているのを肌で感じたりしながら、『会社の計画より、売上・利益はもっと伸びるのでは!』、と自分なりの株価のイメージ(=理論価格)を掴んでいきます」
PERを株価判断のモノサシに使おう
ガイド「もう一つ、株価が割高か割安かを判断する『PER』をご紹介しますね」
美穂・玲奈「ピー・イー・アール?!」
ガイド「PERは『Price Earnings Ratio』の略称で、株価を一株あたりの利益で割って算出します。いま現在資生堂の株価は2664.5円ですから、2664.5円÷75.15円でPER35.46倍です」
美穂「それってどうなのですか」
ガイド「同業他社と比べてみます。資生堂は他社に比べて割高な印象ですが、人気があるとも言えますね。PERが高いということは、企業の将来の『収益拡大力=成長性』に大きな期待が持たれていると言えます。ただあまりに高いPERは買われ過ぎのサインで株価が下がる可能性が高いので避けたほうが賢明でしょう」
玲奈「じゃあ、逆にPERが低いものって、割安でお得なんですか?」
ガイド「低PER株は、割安ではありますが、割安のまま放置されている可能性もありますので、お得だとは一概には言えないので注意が必要です。業種にもよりますが、PERの適正水準は14〜16倍だといわれています。
このように、PERを使って、その株が全体や同業他社に比べて割高か割安か、を客観的に判断することができます」
美穂・玲奈「なるほど〜。PERはあくまでも参考なんですね。」
ガイド「その通りです。一番大切なのは、自分なりの株価のイメージ(=理論価格)を持って割高か割安かを判断することです。では、実際の取引を行ってみましょう。その前に、場所を変えて、ケーキでも食べながらはいかがですか?」
(続く)
*本記事で紹介する個別の銘柄・企業名については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。購入する場合は自己責任でお願い致します。
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・第1話「初めての株式投資ツアー」へようこそ
・第2話「自分の大好きな会社を調べてみよう」
・第3話「好きな会社の成績表を読めるようになろう」
・第4話「好きな会社の株を実際に買ってみよう」
・第5話「実際に株を買うと、見る世界が変わる」
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岡田 禎子 「投資は面白い」がモットーなFP日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴しさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう、執筆とセミナーなどで活動中。
TVドラマ「インベスターZ」の脚本協力なども行なっています。
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