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20/10/01

資産運用・経済

「ナンピン買いはダメ」で「ドルコスト平均法はOK」なのはなぜ?

ナンピン買いもドルコスト平均法も、株価が下落した時に対象銘柄を買い増すというのは同じですが、なぜ初心者には「ナンピン買いはダメ」「ドルコスト平均法はおすすめ」といわれることが多いのでしょうか?
その理由について、ナンピン買いとドルコスト平均法の解説もしつつ、お伝えします。

価格が下落したときに買い増すナンピン買い

買った株が予想に反して値下がりしてしまった、一体どうすればいいの? そんな時の対処法として「ナンピン買い」があります。

ナンピン買いとは、株価が買った値段より下がってしまった場合、その株を買い増しして平均単価を引き下げる方法です。
例えば、A株を1000円で100株購入したのちに、株価が800円まで値下がりしたとします。そこで、さらに100株を買い増ししたとすれば、A株の平均購入単価は(1000+800)÷2=900円となります。つまり、900円で200株購入したのと同じです。この場合、その後株価が900円に回復すれば、損はゼロになります。

このように、ナンピン買いをすると保有株の平均単価を下げることが出来ますが、買い増しした後も株価が下がるようであれば、ナンピン買いは“失敗”です。なぜなら、損失がさらに膨らんでしまうからです。
買い増しすることで、100株保有の時は、たとえば株価が10円値下がりしても1000円の損失で済んだのに対し、保有株数が100株→200株と増えたことで、2倍の2000円となるからです。つまり、ナンピン買いをすることでリスクも2倍となってしまうのです。

価格に関わらず一定額ずつ買うドルコスト平均法

同じように、平均単価を下げる投資法に「ドルコスト平均法」があります。
こちらは、株価に関わらず積立で一定の金額で株を買い続け、平均単価を下げる方法です(なお、株式のほか、投資信託や外貨などでも用いられます)。

例えば、3ヶ月の間に1000円→800円→1100円と値動きした銘柄を、るいとう(毎月一定の金額で株式を買い続けていく仕組み)を使って毎月1万円ずつ買ったとします。このとき各月に買える株数は、10株、12.5株、9株となります。

このときの平均購入価格は3万円÷(10株+12.5株+9株)≒952.3円。1株あたり952.3円で買ったことになります。もし、10株ずつ購入していたら、2万9000円÷30株≒966.6円ですから、ドルコスト平均法のほうが1株あたりの平均購入価格が下がるのです。

ただ、こちらも株価の下落局面が続く場合は、平均単価は下がるものの、株価も下がるために、損失も広がってしまいます。

このように、ナンピン買いであっても、ドルコスト平均法であっても、株価の下落が続いた場合では損失が広がるリスクがあるのは同じです。

ただ、ナンピン買いは価格が下落したときに買うのに対し、ドルコスト平均法は今の価格が高くても安くても一定額ずつ定期的に買うという点が異なります。

初心者向けなのはドルコスト平均法

ナンピン買いが有効な手段となるのは、「長期投資目的で、株価が下がれば買い増しをする」と決めている場合です。

例えば買った銘柄が、何らかの理由で株価が大きく下がったとします。その株の将来性に期待して長期で持つ意思がある場合は、「今は割安」と判断して、追加購入をします。こうして、平均単価を下げつつ保有株数を増やしていく訳です。保有株数が増えることで、その後株価が回復した時には利益もその分だけ大きくなります。〇〇ショックなどで暴落した場合は、さらにその効果を発揮します。
しかし、初心者の場合はさらに株価が下がるのではないかという恐怖で買いボタンを押せないなど、そのタイミングを計ることや購入すること自体が難しいのです。ですから、ナンピン買いは中上級者向けの投資法といえます。

一方、ドルコスト平均法の積立であれば、最初に毎月決まった日にちに設定していれば機械的に購入してくれます。株価が下がっても様々な感情に左右されず、安い値段で買い増すことが出来ます。ですから、初心者向けの投資法といえるのです。

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まとめ

ナンピン買いは成功すれば大きな利益を見込める大変有効な方法ですが、初心者の場合は、タイミングを見極めるのが難しかったり、「株価が戻れば取り戻せる」など甘い希望的な観測で買ってしまったり、恐怖心などに左右されてしまったりするため、あまりお勧めできません。一方、ドルコスト平均法を使った場合は、ナンピン買いより利益幅は小さくなるものの、売買タイミングを見計らうことも感情に左右されることもなく、誰でも簡単に取引することが出来るのです。「ナンピン買いはダメ」「ドルコスト平均法はおすすめ」などと言われるのは、このためでしょう。

「下手なナンピンはすかんぴん」(下手なナンピン買いをすると損が膨らむだけ)という相場格言があるように、ナンピン買いは難しい投資法です。
初心者の場合は、ナンピン買いで失敗をするリスクを取るよりは、ドルコスト平均法を使ってコツコツと投資する方に軍配が上がりそうです。

岡田 禎子 「投資は面白い」がモットーなFP日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)

証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴しさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう、執筆とセミナーなどで活動中。
TVドラマ「インベスターZ」の脚本協力なども行なっています。

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