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20/07/06

資産運用・経済

ネット証券の勢いがある今、あえて店舗型の証券会社を開設する意味はあるのか

株や投資信託の取引を行う場合、ネット証券の方が手数料は明らかに安い訳ですが、店舗型の証券会社は今でもあります。投資をするときに、店舗型の証券会社を選ぶメリットはどこにあるのでしょうか。
今回は、ネット証券の勢いが増している証券業界で、敢えて店舗型の証券会社を開設する意味はあるのか、考えてみました。

対面証券とネット証券の違い

株や投資信託の取引を始めたい場合、証券口座を開設する必要がありますが、証券会社には、「対面証券」と「ネット証券」の2つの種類があります。

実際の店舗を構えているのが「対面証券」です。
駅前の一等地に店を構え、顧客相談窓口を設けています。
野村証券、SMBC日興証券、大和証券・・・など駅前の看板には老舗の大手証券会社がひしめいています。

一方でネット証券は実店舗を持たず、スマホやパソコンなどで取引を行います。こちらはSBI証券や、楽天証券などが有名ですね。

個人投資家として取引する場合、まず大きく違うのが手数料です。ネット証券の方が対面証券に比べて圧倒的に取引にかかる手数料が安くなっています。

しかしながら、最も大きな違いは、「営業担当者がつくか、つかないか」、という点になります。

対面証券のメリット・デメリット

一対一で営業担当者がつくのが対面証券です。
膝を突き合わせて、営業マンのアドバイスを直接受けることが出来るのが最大のメリットとなります。

初心者が資産運用を始める場合、まずは何から手をつけて良いのか、戸惑ってしまうことも多いはず。
しかし、担当の営業マンがつくことで、口座を開設する手続きから、金融商品の選択、売買の注文など、投資の相談から手続きに至るまで、対面や電話で相談することができ、細やかに対応をしてくれます。

例えば株式ならば、今イチ押しの銘柄や、予算内で買える株など、金融のプロならではの様々な情報やアドバイスがもらえます。
株式投資は情報の早さが命ですが、営業マンを通じてリアルタイムな情報を手に入れることが出来るのは、忙しい人にとっては、自分で情報収集する手間が省けるため大変有益です。 利益が出やすいと言われるIPO株(新規公開株)などもネット証券よりは手に入りやすくなります。

また、証券会社では、株式以外にも、債券・投資信託・保険などの金融商品を取り扱っていますので、年齢や職業、収入などあなたに最適な金融商品を包括的に提案してくれます。

例えば、「夏までに本気でダイエットしたい! 」と思った場合、闇雲に運動や食事制限をするよりも、ダイエット専用のジムに入って、プロのコーチに適切にアドバイスしてもらう方が効率的で楽ですよね。

食事指導や、サプリなどもダイエット(資産運用)に必要なものは全て用意されており、至れり尽くせりの中、後は自分が窓口へ行ってサインして運動(投資)するだけでいい。

ただし、デメリットとして、楽な分、払う手数料はどうしても高くなります。ジムを運営するには、人件費や家賃などコストがかかるからです。

また、担当者の当たり外れもありますし、相手もノルマのある営業マンなので、意に沿わないオプションコースやサプリ(金融商品)を勧められたり、資産家のお客と同様のサポートや情報提供は期待できなかったりするかもしれません。

一方でネット証券の場合は、投資情報の収集から銘柄選択、注文の操作まで、パソコンやスマートフォンなどを使って、全て自分で行う必要があります。

自分でダイエット・コントロールができる自信があれば、ネット証券で十分な取引が出来るため、ジム(対面証券)に入る必要は全くないのと同じです。

最終的な投資判断は自分で行うことには変わりありませんが、高い手数料を払ってでもお任せしたい人は対面証券、自分でやりたい人はネット証券、というように、両者の特性をよく理解し、どちらの証券会社が自分に合っているか、よく見極めることが肝要です。

証券会社との主な取引、実際の使われ方は?

証券投資に関する全国調査(平成30年12月18日調査結果概要:日本証券業協会)の「証券会社との主な取引方法」によると、若い人はネット証券、ある程度資産のある年配の人は対面証券を主に使っているのが分かります。しかしながら、年々対面からネット証券へと移行しているのも見逃せません。

(出典:平成30年12月18日調査結果概要:日本証券業協会)

ネット証券が選ばれる理由は、手数料が安いこともありますが、より現代の生活に溶け込んでいる点でしょう。
スマホ第一とした画面作りや、ポイントやネット銀行からスイープ出来る、動画や記事、オンラインセミナーなど、対面に劣らない情報が充実して来ています。
こういったことを考えてみれば、ネット証券を選ぶのが合理的ですが、ある程度まとまった資産のある年収の高い人、年配の人はコンサルを含めて対面証券サービスを求めている人が多いようです。 

対面とネットのハイブリッドモデルが日本で浸透するか注目

これまで、大手証券は対面、ネットは専用証券と大きく住み分けされて来ましたが、野村証券が信託報酬ゼロ%のネット専用のファンドを出すなど、流れが変わって来ています。

さらに米国では、大手金融機関がビジネスモデルを進化させて、対面とネット取引の融合を促進しています。やはり手数料を払っても相談出来る担当者がいるのは魅力的と考える人が一定数存在しており、例えば株価急落の場面でもアドバイザーに相談することで冷静な行動をとることができるなど、リターンの押し上げ効果が見られるという調査結果も報告されています。

今後、そのようなハイブリッドモデルが日本でも浸透するかどうか、注目しておくのも面白いのかもしれません。

岡田 禎子 「投資は面白い」がモットーなFP日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)

証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴しさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう、執筆とセミナーなどで活動中。
TVドラマ「インベスターZ」の脚本協力なども行なっています。

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