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20/06/14

資産運用・経済

つみたてNISA、もし20年後にまた暴落があったらどうすべきか

新型コロナウイルスの影響で世界同時株安が発生しました。2018年からつみたてNISAを続けてきた人は、おそらくほとんどの場合損失を抱えている状態もしくはトントンの状態でしょう。とはいえ、市場はたびたび暴落を経験し、そのたびに乗り越えてきました。ですから今度もきっと乗り越えるはずです。

でも、もしつみたてNISAの非課税運用期間が終わる20年後のタイミングで暴落が起きたら、どうしたらいいのでしょうか。
今回は、過去の相場を振り返って確認したうえで、20年後の暴落にどう対応したらいいのか、考えていきたいと思います。

過去に起きた世界的な「ショック」は経済成長とともに乗り越えてきた

まずは過去に起きた世界的な「ショック」を振り返ってみましょう。
以下はS&P500という、米国の大型株500社の株価で作る株価指数の推移です。つみたてNISAの非課税期間が20年なので、ここでは倍の約40年間で作成してみました。

●S&P500(1980年1月〜2020年4月・月次ベース)

(Investing.comのデータを元に作成)

たとえば、1987年10月19日にニューヨーク株式市場で発生した大暴落は「ブラックマンデー」と呼ばれます。社会の授業で習った「世界恐慌」(1929年)を大きく上回る下落率だったと記録されています……が、今から見ると、何だか大したことないように見えますね。

また、前回の大暴落、リーマンショックは、2008年9月に米国の大手投資銀行のひとつ、リーマン・ブラザーズが破綻したことで発生しました。100年に1度ともいわれた金融危機のインパクトは相当なものでした。しかし、そこから数年で回復して、以後はリーマンショック前よりも上昇しています。

なにより、1980年時点で100ポイント程度だったS&P500の値は、2020年時点で約3000ポイント程度まで増えています。これは何より、過去の相場を「経済成長」とともに乗り越えてきた証です。

そう考えると、今度のコロナショックによる不況は長引くかもしれませんが、経済成長とともにまた乗り越えられると考えられるでしょう。

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20年後の解約時に暴落があったら…課税口座に移して運用を続けよう

つみたてNISAの非課税投資期間は20年ですから、2018年にスタートした分は2037年まで非課税で運用できます。では、2037年に今回のような暴落があったらどうしますか。また、同様に2019年スタート分は2038年まで、2020年スタート分は2039年まで…という具合に、以後も順番に非課税期間が終了していきます。その間に暴落があったら、どうしますか。

先のグラフを見た方なら、もうお気づきだと思います。値下がりしたからといって、すぐに売ってしまうのはNGですね。むしろ、その後の値上がりを待っていたほうがいいでしょう。

つみたてNISAの口座にある資産は、20年経過後は課税口座に移るため、運用益非課税ではなくなります。しかし、運用自体は続けることができます。ですから、頃合いを見計らって、値を戻したところで売ればいいのです。

将来お金を引き出す際は「運用を続けながら」が肝

つみたてNISAの資産を一気に取り崩してしまうと、そのときの相場に影響されやすくなってしまいます。もし取り崩すのであれば、運用を続けながら取り崩すことをおすすめします。そうすることで、売却の平均単価もならすことができますし、何より資産が長持ちすると考えられます。

たとえば、1000万円を毎月10万円ずつ取り崩した場合と、年3%で運用を続けながら取り崩した場合では、受け取れる金額にどのくらいの違いがでるでしょうか。

1000万円を毎月10万円ずつ取り崩すと、8年4か月でゼロになってしまう計算です。
年3%で運用を続けながら取り崩す場合には、「資本回収係数」という数値を使います。資本回収係数は、金融資産を長期にわたって取り崩すときなどの試算に用いる係数です。

たとえば、つみたてNISAで貯めた1000万円を、10年間にわたって3%の1年複利で運用しながら取り崩したときに、毎年いくら受け取れるかを計算する場合には、次のようにします。

1000万円×0.11723=117万2300円

1カ月あたりにすると約9万8000円。3%で運用しながら取り崩すなら、おおよそ10年はもつことがわかります。

暴落時に大きく資産を減らさず、コツコツと増やすには

これからも株式市場が暴落したり、暴騰したりすることがあるでしょう。そうした不安を乗り越えてコツコツと増やすためにすべきことを3つにまとめました。

●その1:「ドルコスト平均法」を思い出し、感情を排して淡々と続ける

市場の値動きに一喜一憂せず、淡々と続けることが、市場の暴落に打ち勝つ最善策だといえます。長期間、積立投資を行うことで、ドルコスト平均法の効果と複利効果(利息が利息を生む効果)を受け取れます。

ドルコスト平均法は、定期的に一定額の金融商品(ここでは、投資信託)を購入しつづける投資法です。こうすることで、投資信託の価格(基準価額)が安いときにはたくさん買い、高いときには少ししか買わないことになるため、平均購入単価を下げることができるのです。

投資は感情との戦いとも言われます。感情を排して淡々と続けられるところが積立投資のメリットです。

●その2:株・債券・不動産・金など幅広く分散投資を実践

投資信託は1本で数十から数百の投資先に投資できる商品ですから、分散投資向きだといえます。国内外の株式、債券、不動産など複数の資産に国際分散投資を行いましょう。つみたてNISA外で金などといった他の資産にも一部でいいので投資をしておきましょう。

異なる値動きの資産を持つことで、リスクを低減しながら堅実なリターンを狙うことができます。

たとえば、今回のコロナでは、株式は国内も海外も全面安でしたが、米国債の債券価格は急上昇(金利は急低下)です。改めて、株式と債券を組み合わせることで、値下がりリスクを低減することが確認できました。

●その3:ポートフォリオ全体の無リスク資産とリスク資産のバランスをとる

リスク資産が多くなれば、上手くいった時に大きく増えますが、思惑に反した時には大きく減ることになってしまいます。ですから、つみたてNISA外の資産を含めた資産全体で、無リスク資産(現金・預金・個人向け国債)とリスク資産とのバランスを調整しましょう。

つみたてNISAは売却すると非課税枠が再利用できないため、つみたてNISA内でのリバランスが取りにくい商品です。よって、つみたてNISA外のリスク資産を調整(無リスク資産に変える)してバランスを取るようにしましょう。

今回のコロナ相場は、投資の冷え込みだけでなく、今後の勤労収入も減る可能性が高い状況です。そんな時に、現預金が給料の手取り6カ月分から1年分はあると、なんとか暮らしていけるだろうという安心材料にもなるかと思います。
無リスク資産の大切さが身にしみた良い経験です。

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まとめ

過去の相場の大幅な下落は、その時その時は深刻だったはずです。しかし、たびたび起こるその下落から立ち直ってきたのもまた事実。
つみたてNISAはそもそも20年投資できる仕組みですし、20年の非課税期間終了後も投資を続けることができます。
20年後に暴落があったとしても、本記事を参考に慌てず対応してもらえればと思います。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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