26/04/02
やっぱり「ペット保険」がいらないこれだけの理由

以前は「猫を飼う」といえば、野良猫を保護するか、ペットショップで購入するのが一般的でした。しかし最近では、保護猫活動の団体から譲り受ける方も増え、犬や猫との出会い方は大きく変わってきています。いまやペットは単なる動物ではなく、家族であり、かけがえのない存在です。
一方で、ペットには人間のような公的な健康保険制度がありません。万が一のケガや病気に備えて「ペット保険」を検討する方も多いでしょう。今回は、最新のデータと4匹の猫と暮らす私の実体験から、ペット保険の必要性について考えてみましょう。
高額な治療費を補償するペット保険
ペット保険は、大切なペットが病気やケガをした際の入院・通院・手術費用をサポートしてくれる仕組みです。最近では、動物病院でもCT検査や内視鏡手術など、人間並みの高度な医療を受けられるようになりました。その一方で、治療費が高額化しているという側面もあります。
アニコム損保の「どうぶつ健保ふぁみりぃ」やアイペット損保の「うちの子」といったペット保険に加入していれば、治療費を抑えることができます。「ふぁみりぃ70%プラン」や、「うちの子70%」では、対応する動物病院の窓口で保険証を提示するだけで、人間の健康保険と同じように自己負担を「3割」に抑えることができます。
どちらの保険も新規加入は「7歳11カ月まで」が基本ですが、それ以降の高齢期でも、アニコム損保の「どうぶつ健保しにあ」のように終身で加入し続けられる選択肢もあります。
実際に手術や入院が必要な場合、どのくらいの費用がかかるのか主な例を見てみましょう。
【ペットのよくある高額治療例】
・猫:尿石症、腫瘍 約9万~13万円
・犬:腫瘍、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)約9万~25万円
・共通 骨折 30万円以上
このように、手術や長期入院が必要になると、一度に数十万円という大きな支出が発生します。ペット保険に加入していれば、こうした突発的な経済的ダメージを大幅に軽減できるのが大きな強みといえるでしょう。
最新データに見るペット保険の加入率
「ペットを家族として守りたい」という意識の高まりとともに、ペット保険の加入率は年々上昇しています。最新の「令和7年(2025年)全国犬猫飼育実態調査」(一般社団法人ペットフード協会)のデータを紐解いてみましょう。
●犬のペット保険加入率は「3頭に1頭」
犬の加入率は、2024年の36.4%から2025年の36.7%へと微増しています。いまや「3頭に1頭」がペット保険に加入している計算です。
犬は散歩やドッグランなど外出の機会が多く、環境の変化による病気や突発的なケガのリスクが比較的高い傾向にあります。こうした背景から、「万が一の備え」として保険を選択する飼い主さんが定着しているようです。
●猫のペット保険加入率は5頭に1頭から4頭に1頭へ。1年で急増?
一方、猫のペット保険加入率は、2024年が17.4%でしたが、2025年には23.3%へと5.9ポイント跳ね上がりました。現在では「4頭に1頭」が加入しています。
猫は室内飼いが中心で、一見するとケガのリスクは低く思えるかもしれません。しかし、高齢猫が避けて通れない「腎臓病」などの慢性疾患は、一度発症すると1~2年、あるいはそれ以上の長期にわたる通院や投薬が必要になります。「シニア期に増え続ける医療費に備えたい」という思いが、この急激な数字の伸びに表れているのかもしれません。
ペット保険の加入率が上昇している3つの理由
なぜ、これほどまでにペット保険への加入が増えているのでしょうか。そこには、現代のペットを取り巻く「3つの変化」が大きく関係しています。
●(1)動物医療の高度化と治療費の上昇
最近の動物病院は、CTやMRI検査、高度な外科手術など、人間の医療に近いレベルの治療が受けられるようになっています。技術の進化は、これまで助からなかった命を救えるようになった一方で、高い専門性と設備費が必要なため、治療費も高額化しました。「もしものとき、お金を理由に治療をあきらめたくない」という飼い主さんの強い想いが、保険加入を後押ししています。
●(2)ペットの高齢化による病気リスクの増加
ペットの平均寿命はこの十数年で大きく伸びました。「令和7年(2025年)全国犬猫飼育実態調査」(一般社団法人ペットフード協会)によれば、2010年は犬が13.87歳、猫が14.36歳でしたが、現在では犬が14.82歳、猫は16.0歳にまで達しています。
長生きできるようになった反面、シニア期特有の慢性疾患(犬の心臓病、猫の腎臓病や甲状腺疾患など)にかかる確率も高まりました。長期にわたる通院や投薬が必要になるケースが増え、医療費が家計に重くのしかかる現実があります。
●(3)「家族の一員」という意識の広がり
かつての「番犬」や「ネズミ捕り」といった役割を超え、いまや犬や猫は「家族の一員」としてかけがえのない存在になりました。SNSでペットとの日常を共有し、愛情や絆が可視化されることで、健康管理への意識も格段に高まっています。この「家族化」の流れが、もしもの備えとしてのペット保険を当たり前の選択肢に変えているといえるでしょう。
ペット保険では病気やケガの「予防」はできない
我が家には現在、3歳~6歳のメス猫が4匹います。以前、ペット保険の加入を検討したこともありますが、現時点ではどの子も加入していません。その理由は、大きく分けて2点あります。
●(1)徹底した「環境づくり」でケガを未然に防ぐ
猫のケガには「屋外」と「室内」の2つのリスクがあります。
外での喧嘩や交通事故を防ぐには「完全室内飼い」の徹底が不可欠です。一方、室内でも誤飲や火傷、転落などの危険は潜んでいますが、これらは飼い主のちょっとした配慮や見守りで防げるものがほとんど。日々の「目配り」こそが、最大の保険になると考えています。
●(2)「猫ファースト」な生活で病気を遠ざける
猫がかかりやすい泌尿器疾患や慢性腎不全などは、日々の生活習慣が大きく影響します。
・清潔な環境:こまめにトイレを掃除し、清潔を保つ
・水分と食事:水分をしっかり摂らせ、乳酸菌や口腔ケアを習慣化する
・ストレスフリー:徹底した温度管理を行うこと、また環境の変化に敏感な猫だけに、極力お留守番をさせない
「猫ファースト」でリラックスできる環境を整えることが一番ですが、年1~2回の「猫ドック」の受診や「ワクチン接種」も欠かしません。こうした「予防」にかかる費用はペット保険の対象外です。
実際、かつて我が家で暮らした猫たちは、20歳や16歳まで長生きしてくれましたが、大きな病気を発症したのはいずれも15歳を過ぎてからでした。それまでの約15年間、特別な治療費を払うことなく健やかに過ごせたのは、日々の予防の賜物だと実感しています。
保険に頼らず自分で積み立てるのも手
ペット保険は、不意の事故や急な病気に対する「安心」を買う手段として非常に有効です。特に、子猫期の誤飲トラブルやシニア期の重い慢性疾患など、いつ訪れるかわからない高額な出費をカバーしたいという方は、ぜひ加入を検討するといいでしょう。
最近のペット保険は、補償割合や手術・通院の組み合わせなど選択肢が豊富で、窓口精算ができるなど手続きもスムーズになりました。「予算に合わせたプランが選べる」「面倒な手間がない」という手軽さは、多くの飼い主さんにとって心強い支えとなっているはずです。
しかし、ここで一度立ち止まって考えてみてください。
ペット保険がカバーするのは、あくまで「病気やケガをした後」の治療費です。健康を維持するために最も大切な「予防」に関する費用は、そのほとんどが対象外となります。
動物医療が進化した今、私たちが向き合うべきは「病気になってからどう治すか」以上に、「いかに健やかに年を重ねさせてあげられるか」ではないでしょうか。日頃から環境を整え、予防に努めることで、病気の発症を遅らせたり進行を緩やかにしたりできれば、結果として猫自身の身体の負担も、そして家計の負担も抑えることができます。
もちろん、どれだけ予防を徹底しても、病気を完全に防ぐことはできません。そこで我が家が実践しているのが、1匹あたり月2000円の「猫貯金」です。
月2000円×12か月×15年=36万円
猫とご縁ができたときからコツコツと積み立てれば、15年後には1匹につき36万円というまとまった備えが手元にあります。これだけあれば、万が一の事態にも慌てず、その子にとって最善の選択をしてあげられます。
保険に加入して「もしも」を外に委ねるのも一つの方法ですが、日々の「予防」を主軸に置き、足りない分は自分で「別枠」として蓄えておく。猫が猫らしく生涯を全うするために、そんな「自立した備え」を選んでみるのもいいのではないでしょうか。
ペットを守る方法は保険だけではない
ペットには人間のような公的健康保険がないため、「万が一の病気やケガに備えて保険に入らなければ」と、どこか義務のように感じてしまうかもしれません。しかし、ペット保険に入ればそれだけで「全て安心」というわけではないことを、正しく理解しておくことが重要です。
大切なペットを守る方法は、一つではありません。
手厚い補償で不意の出費に備える「保険」という守り方。そして、日々の丁寧なケアで病気を遠ざけ、万が一の資金を自らの手で蓄えておく「自立」した守り方。
どちらを選ぶにせよ、一番大切なのは「お金を理由に、愛する家族の治療をあきらめない」という飼い主としての覚悟です。ペットが穏やかで幸せな生涯を全うできるよう、今の自分たちに最も適した「備え」を、愛情深く見極めましょう。
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舟本美子 ファイナンシャルプランナー
「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー
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