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24/08/05

相続・税金・年金

遺族年金は非課税だが、「扶養判定」と「介護保険負担限度額認定」には注意

遺族年金は非課税だが、「扶養判定」と「介護保険負担限度額認定」には注意

亡くなった人によって生活を支えられていた家族に支給される「遺族年金」。みなさんは、遺族年金が所得税や住民税がかからない「非課税所得」であることを知っていましたか。私たちのくらしを支えるさまざまな公的な制度では、担税力(税金を負担する力)をもとに給付対象の有無や、その段階が判定されるケースも多いため、非課税所得の恩恵は案外大きいものです。しかし、中には遺族年金も「収入」に含めて判定するケースがあります。

本当に遺族年金には税金がかからないの?

今回のテーマを見ていくにあたって、「国民年金法」および「厚生年金保険法」、それぞれの法律における「公課の禁止」に関する条文を確認しておきましょう。公課の禁止とは、「税金をかけてはいけない」という意味です。年金には、老齢年金、障害年金、遺族年金の3つがありますが、課税所得となる老齢年金のほうが、実は例外的に規定されているのです。

●国民年金法第25条

租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢基礎年金及び付加年金については、この限りでない。

●厚生年金保険法第41条第2項

租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢厚生年金については、この限りでない。

老齢厚生年金の受給権がある遺族配偶者は要チェック

遺族年金は、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類。受け取れる遺族年金の種類や年金額は、亡くなった人の年金の加入履歴や遺族の状況によります。これらのほかに、国民年金や厚生年金保険が独自に給付・加算するものがありますが、税金がかからない「非課税所得」であることはどれも同じです。

しかしながら、厚生年金保険の被保険者、もしくは被保険者だった人が亡くなった場合に、要件を満たした遺族に対して支給される遺族厚生年金については、税金の取り扱いに注意しなければなりません。

遺族厚生年金の年金額は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分(加入期間が300月に満たない場合には300月とみなす)の4分の3です。もしも遺族配偶者に老齢厚生年金の受給権がある場合には、「①死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「②死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生(退職共済)年金の額の2分の1の額を合算した額」を比較し、高い方の額が遺族厚生年金の額になります。

そして、遺族配偶者の老齢厚生年金の額に相当する部分については支給が停止されることから、この老齢厚生年金との差額部分だけしか、非課税所得の対象にはならないのです。

<遺族厚生年金の支給例(遺族配偶者に老齢厚生年金の受給権あり)>

筆者作成

遺族年金が判定要件に含まれるケース(1):被用者保険における被扶養者認定

会社員や公務員は、公的な医療保険制度として被保険者保険に加入しています。そして、被用者保険では、被保険者が主として生計を維持していることが認められる3親等内の親族(後期高齢者医療制度に加入の原則75歳以上を除く)も、「被扶養者」として保険給付の対象になることは、みなさんもご存知のことでしょう。

<被扶養者として認められる範囲>

日本年金機構の資料より作成

●被扶養者として認定されるかは年間の収入で決まる

被扶養者の認定は、1977年(昭和52年)4月6日付の厚生省(現厚生労働省)保険局長通達「収入がある者についての被扶養者の認定について」で定められている内容をベースに、被保険者が加入する健康保険や共済組合が、総合的に勘案して行うこととされています。

【被保険者と同一世帯に属している場合の要件】

認定対象者の年間収入が130万円(60歳以上または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障がいがある人は180万円)未満で、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満である。
※被扶養者の年収が、被保険者の2分の1以上であっても、130万円未満で被保険者の年収を上回らない場合には、総合的に勘案の上、被扶養者として認められることも。

【被保険者と同一世帯に属していない場合の要件】

認定対象者の年間収入が130万円(60歳以上または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障がいがある人は180万円)未満で、かつ、その額が被保険者からの仕送り額より少ない。

●被扶養者認定の収入には何が含まれるのか?

判定対象である「年間収入130万円(もしくは180万円)」には、次のような収入が含まれて計算が行われます。

【被扶養者の収入の範囲】

①給与収入
 給料・賞与・手当・報酬等(通勤交通費も含む)
②年金収入
 老齢年金、非課税扱いの障害年金・遺族年金・恩給等、企業年金・個人年金等
③事業収入・不動産収入
 農業・漁業・商業・工業等の収入、保険外交等自由業に基づく収入、土地・家屋・駐車場等の賃貸収入
 ※認定基準で定められた必要経費を控除できる。
④利子・配当収入
 預貯金・有価証券利子、株式配当金等
⑤健康保険の手当金
 傷病手当金・出産手当金
⑥雇用保険の給付金
 失業給付の基本手当、傷病手当、育児休業給付金等
⑦雑収入
 原稿料・印税・講演料等
⑧被保険者以外からの仕送り
 生計費・養育費等
⑨その他継続性が認められる収入

上の②にあるとおり、遺族年金も含めて計算されます。
重要なポイントは、毎月もしくは毎月でなくても毎年継続的に得られるような収入は、すべてその対象に含まれるということです。給付の目的や課税・非課税に関係なく、「今後1年間の収入見込額」をもって判定が行われます。逆に、退職金や不動産売買等から発生する利益のように、継続的性格を持っていない収入については、被用者保険の被扶養者かどうかを決める収入判定には含まれません。

「保険」である医療保険制度において、被保険者の家族の病気やけがに際し支給される「家族療養費」は、被保険者の経済的負担を軽減させ、生活の安定を図ることが目的です。健康保険法でも、家族療養費は被扶養者に支給されるのではなく、「被保険者」に支給されることが明記されています。つまり、法律上はあくまで、被扶養者は被保険者に属する関係であり、保険料の拠出を広く求めることは制度の趣旨を考えても必然と言えるでしょう。

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遺族年金が判定要件に含まれるケース(2):介護保険における「特定入所者介護サービス費」の申請

さらに、介護保険では、「介護保険負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)」の対象・区分の判定において、障害年金や遺族年金の非課税所得も年金収入として含むことは、あまり知られていません。

●1~3割の自己負担で利用できる介護保険サービス

40歳以上の人が加入する公的な介護保険制度。保険者である市区町村から「要介護認定」を受けると(40歳~64歳は加齢に伴う疾病に起因する場合のみ)、1~3割の自己負担で介護保険サービスを利用することができます。

【介護保険で利用できる主なサービス】

・介護サービスの利用にかかる相談、ケアプランの作成
・自宅で受けられる家事援助等のサービス
・施設などに出かけて日帰りで行うサービス
・施設などで生活(宿泊)しながら、長期間又は短期間受けられるサービス
・訪問、通い、宿泊を組み合わせて受けられるサービス
・福祉用具の利用にかかるサービス

厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」より

●「特定入所者介護サービス費」は福祉的な性格を持った補足給付

今回注目する「特定入所者介護サービス費」は、介護保険制度における補足給付です。介護保険施設の利用にかかる居住費や食費は、原則として全額自己負担となりますが、この補足給付によって、住民税非課税世帯で要件を満たす入居者はその負担が軽減されています。

下の表は、特定入所者介護サービス費の給付を受ける場合における、居住費および食費の1日あたり自己負担限度額を、段階別に示したものです。特定入所者介護サービス費の利用には、お住まいの市区町村から「介護保険負担限度額認定証」の交付を受けなければなりません。

<居住費・食費の1日あたり自己負担限度額(2024年8月より)>

筆者作成

以前は、利用者が世帯分離をしている場合でも、(世帯分離前の状況に関わらず)本人が住民税非課税であれば給付の対象とされていました。しかし、2015年8月からは、世帯分離がされていたとしても配偶者の所得が勘案されるようになったほか、預貯金等の資産額も勘案されています。2016年8月からさらに、障害年金や遺族年金といった非課税の年金収入額も勘案されるようになりましたが、これら3点が勘案されるようになった理由が同じであることは言うまでもありません。

介護保険の補足給付である特定入所者介護サービス費は、介護保険本来の給付とは異なり、福祉的かつ経過的な性格を持っています。したがって、在宅で生活する人や保険料を負担している人との間で、公平性を確保することが非常に重要です。そして、負担能力の実態に見合った段階判定が行われるよう、見直しが進められてきたことはやはり、制度の趣旨を考えると必然の流れだったと言えるでしょう

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遺族年金の動きからますます目が離せない

今回は、税金の世界では非課税所得として所得税や住民税がかからない遺族年金が、社会保険(被用者保険・介護保険)の判定では収入にカウントされる2つのケースを紹介しました。担税力(税金を負担する力)がないところには課税しないとする所得税の基本的な考え方に対して、社会保険では負担と給付の関係を無視することはできません。みなさんも今回の記事を通じて、それぞれの制度の趣旨等に沿って判定要件が定められていることを、きっと理解されたことでしょう。

最後に、政府税制調査会が2023年6月にとりまとめた中期答申「わが国税制の現状と課題」では、遺族年金を含む非課税所得に対する課税の強化が示されました。最新2024年度の税制改正には含まれなかったものの、遺族年金をめぐる今後の動きからますます目が離せません。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®)

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの財務や内部統制等の業務に従事。2022年10月に兵庫県神戸市で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。家計相談に加えて、公的年金や確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)を活用した資産形成に関するテーマを中心に、執筆・講演活動も展開。「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘している。CFP®(日本FP協会認定)の他、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー、企業年金管理士(確定拠出年金)、一種外務員資格等を保有。
X(旧Twitter)→https://twitter.com/lifehawker

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