24/09/23
女性の年金額「未婚・死別・離婚」でいくら違う?
女性は一般に、男性よりも年金が少なくなります。特に、独身の女性は、老後の生活が不安になるのではないでしょうか?
今回は、配偶者がいない理由別に、単身女性の年金額がどうなっているのかを解説します。
女性は同じ独身でも理由によって年金額が違う
老後にもらえる年金額は、現役時代の働き方や給与額によって異なります。特に、男女の年金格差は大きくなっています。
厚生労働省の「令和4年年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)」によると、男性の年金額の平均は192.6万円(月額16.1万円)、女性の年金額の平均は120.7万円(月額10.1万円)と、女性の方が月額6万円も少なくなっています。
夫婦で暮らしている場合には、2人分の年金で生活できるため、多少は安心感があります。しかし、独身の女性は、年金だけで生活できるのか不安になるでしょう。今独身の女性に限らず、将来一人になる可能性は誰にでもあるので、他人事ではありません。
配偶者なしの女性の場合、独身になった理由によって、次のように年金額が変わってきます。
<配偶者なしの女性の年金額>
厚生労働省「令和4年年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)」より筆者作成
未婚、死別の場合の年金額は女性全体の平均よりも上回っており、特に死別の場合にはかなり多めです。これに対し、離婚の場合の年金額は、女性全体の平均よりもかなり低くなっています。
それほど大きな差はありませんが、一人暮らしの女性に限ると、次のようになります。
<配偶者なし・一人暮らしの女性の年金額>
厚生労働省「令和4年年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)」より筆者作成
婚姻歴の有無で年金額が変わる理由
未婚の女性は厚生年金に加入して働いている期間が長く、年金額も多めになっているものと思われます。一方、婚姻歴のある女性は、婚姻期間中夫の扶養内というケースが多く、年金が少なくなる傾向があります。
ただし、結婚した後、夫と死別するか離婚するかでは、年金額が大きく変わってきます。死別の場合、自分の年金に上乗せして、夫の遺族厚生年金をもらえるケースが多いからです。ちなみに、離婚した場合には、離婚後に元夫が亡くなっても、遺族厚生年金はもらせません。
遺族厚生年金としては、亡くなった人の老齢厚生年金の約4分の3がもらえます。配偶者と死別した場合には、生活に困らないような保障制度が用意されているのです。
なお、遺族厚生年金は近い将来見直しが行われ、60歳未満の子供がいない人については原則5年の有期給付となる見込みです(現行制度では30歳以上の女性は無期給付)。夫と死別した女性の年金額も、今後は少なくなる可能性があります。
離婚の場合には年金分割で年金を増やせる
離婚する場合、婚姻期間中夫の扶養内だった人は、そのままでは年金額が非常に少なくなります。離婚の際に年金分割をすれば、年金額を増やせるケースがあります。
年金分割とは、婚姻期間中の夫婦の厚生年金保険料納付記録を合わせ、2分の1ずつに分割できる制度です。厚生年金加入期間が短い女性も、夫の厚生年金を分けてもらえば、将来受け取れる年金額を増やせます。
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和4年度)」によると、第2号改定者(年金が少ない方)の年金分割前の平均年金月額は5万5,215円、年金分割後の平均年金月額は8万7,949円となっています。年金分割により、平均で月約3.3万円年金が増えていることがわかります。
年金分割の手続きは離婚後2年以内にする必要があります。対象となる人は、離婚するときに手続きをとっておきましょう。
老後一人暮らしの可能性も考慮して備えよう
女性が老後に一人暮らしをする場合、経済面の不安が大きくなってしまいます。独身の人は、早い段階から資金準備を始めておくのがおすすめです。
現在夫がいる人も、老後一人になる可能性はあります。将来もらえる年金額がどれくらいなのかを確認し、もし一人になっても大丈夫なよう備えておきましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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