22/06/21
親族が亡くなったときにやってはいけない3つのお金のこと
親や兄弟など親族が亡くなった時、悲しみを感じる間もなく、葬儀や役所への届け出、相続手続き等々、様々な手続きに翻弄されるものです。しかし、中にはやるとお金で困ってしまう可能性があることも。今回は、親族が亡くなったときにやってはいけないお金のことを3つ、ご説明します。
親族が亡くなったときにやってはいけないこと1:金融機関に亡くなったことを連絡する
親族が亡くなったとき、その方の名義の口座がある銀行などの金融機関に亡くなったことをすぐに知らせる必要はありません。金融機関は、口座名義人が亡くなったことを知ると、相続トラブルを回避するため口座凍結します。葬儀費用等の振込等、諸手続きが落ち着いてから連絡をされても遅くありません。
地方の場合、地元新聞のお悔やみ欄に亡くなった方の情報が掲載されることもあり、その情報を見て口座凍結が行われる場合もあります。口座凍結されると困る場合には、あらかじめ葬儀会社に新聞社への情報提供を承諾しない旨を伝えておきましょう。
なお、2018年の民法改正で、口座凍結された口座からも預金の一部が払い戻せる制度が設けられています。払い戻せる金額は「相続開始時の預金の額×1/3×払い戻しを行う相続人の法定相続分」。1つの金融機関からの払い戻しは150万円が上限となっており、全額を引き出せるわけではありません。また、払い戻しをする方の本人確認資料の他、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本なども用意して提出する必要があるため、手間はかかります。しかし、当面の生活費や葬儀費用などでお金が必要なときには役立つでしょう。
親族が亡くなったときにやってはいけないこと2:発見された遺言書を開封する
遺品などから遺言書の原本が発見された時、それは自筆証書遺言となります。自筆証書遺言とは、遺言を遺す人が自筆で作成する遺言書のことです(財産目録はパソコンなどで作成しても可)。自筆証書遺言を開封する際には、家庭裁判所での検認手続き(遺言書の偽造や変造を防止する手続き)が必要です。その手続きを経ず、開封すると過料が課される可能性もあります。なお、公正証書遺言や、法務局で保管している自筆証書遺言の場合には、検認手続きは必要ありません。
親族が亡くなったときにやってはいけないこと3:預金をすぐに引き出す
親族が亡くなったときに、慌てて預金をすぐに引き出すのは避けましょう。相続は預貯金や不動産といった正の財産だけでなく、借金などの負の財産も対象です。
亡くなった方に借金などの負の財産が多い時には、相続放棄や限定承認(相続財産から負の財産を清算して、余った分を引き継ぐこと)も選択できます。しかし、預金をすぐに引き出してしまうと、相続財産を単純承認したとみなされてしまいます。したがって、亡くなった方の財産状況を確認した上で、預金の引き出しをするか否か、法定相続人の間で話し合ってから行うことが賢明です。
なお、上で紹介した預金の払い戻しを行う場合も同様で、払い戻しをすると相続財産を単純承認したとみなされるため、独断で行うのは賢明ではありません。亡くなった方の財産状況を確認して、法定相続人間で話し合ってから行うようにしましょう。
やるべきこと・やってはいけないことは他にもある
もしも、亡くなった親族が確定申告の対象者であった場合、準確定申告が必要になります。準確定申告の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内と早く、申告忘れの際には罰金が課される可能性もありますので、純確定申告が必要だとわかったら忘れずに早めに手続きしましょう。
また、亡くなった方の携帯電話は使わないからと言って、すぐに解約するのは避けましょう。訃報の知らせを人づてに聞き、携帯電話で連絡を取りたいと考える方が存在する可能性もあるからです。亡くなったからといってすぐに携帯電話を解約するのではなく、解約するまでの期間にはゆとりをもっておくようにしましょう。
まとめ
親族が亡くなると、誰でも冷静にはいられないかもしれません。「まだ健在な時から、親族の死を考えるなんて縁起でもない」という声も聞こえてきそうですが、いざという時に慌てないように家族間で話し合いの機会をもっておくことは、とても大切です。冷静さを欠いて慌てて行動し、判断を誤ることのないようにしましょう。
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キムラミキ 株式会社ラフデッサン 代表取締役
AFP・社会福祉士・宅地建物取引士。外資系生命保険会社、マンションディベロッパーの営業を経て独立。現在は、就労移行支援事業所Fine米子オフィス(うつや発達障がいのある方の就労サポート施設)の運営に携わり、経済的自立をしたいと考える方のサポーターとして活動中。得意分野はライフプラン、キャリアプラン、生命保険、不動産。BSS山陰放送ラジオパーソナリティ歴10年以上の顔も持つ。
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