24/06/26
43年連続で減少…少子化で起こる「3つのお金の問題」
総務省が2024年5月4日に発表した子どもの数は、1401万人、43年連続の減少とのことでした(15歳未満人口、2024年4月1日時点)。
さらに 3歳ごとの年齢別にみると、12~14歳が317万人、9~11歳が305万人、6~8歳が288万人、3~5歳が257万人、0~2歳が235万人となっています。
つまり、年々少なくなる傾向が続いているということです。
少子化によって、さまざまな問題が起こると心配されていますが、お金に関してはどうでしょうか。今回は、少子化で起こる3つの問題を考えていきましょう。
少子化で起こるお金の問題1:経済規模が縮小する
社会の経済は、その担い手である労働力人口に左右されます。働く人が多ければ、それだけモノやサービスが生産され、売れるからです。
少子化によって人口が減り、労働力人口も減れば、日本の経済市場は縮小していくでしょう。
経済が縮小すると、投資先としての魅力も低下、産業の成長も鈍くなり、円安はますます進み・・・と、マイナスのスパイラルにはまってしまうかもしれません。
対策のひとつとしては、生産性の向上です。ひとりあたりの生産性が大きくなれば、働く人が少なくても経済規模の縮小には直結しないでしょう。日本の生産性はOECD38カ国中30位(日本生産性本部「労働生産性の国際比較2023」)と決して高くありませんが、生産性を高める余地があるととらえることもできます。
また、労働力人口を増やすことも考えられます。
労働力人口とは、15歳以上人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人口のこと。これは、すでに働いている人と、ハローワークで職探しをしている人の合計のことであり、生産年齢(15~64歳)人口とは異なることがポイントです。70歳まで働ける環境づくりや、パート・アルバイトのいわゆる「年収の壁」の解消なども、労働力人口の増加につながります。
少子化で起こるお金の問題2:人手不足が進む
働き方改革は、多くの職種で進んでいます。
その一方で、深刻な人手不足が問題になっています。そのため、働き方改革とは名ばかりで、実質的なブラック労働が常態化するリスクも取りざたされています。
しかしそれでは、従業員は働き続けることは難しくなり、結局は人手不足がさらに進んでしまうでしょう。そのような事態を避ける流れになれば、給与のアップだけではなく、多様な働き方が一層進むことになります。
働き方改革は、働く人から見るとライフワークバランスがとれて、雇う人から見れば人手不足が解消されることになるので、どちらにとってもメリットがあるはずです。
今後、少子化による人口減少は、確実に進んでいきます。
それを前提に、自分にとって望ましい働き方をしっかり考えておきたいですね。
少子化で起こるお金の問題3:年金などの社会保険が変わる
公的年金は社会保険制度のひとつ。つまり、「貯蓄」ではなく「保険」です。
そのため、現役世代が支払う保険料は、将来の自分が受け取るのではなく、その時の高齢者など年金受給者が受け取ります。
少子化によって現役世代の人口が少なくなり、集まる保険料が少なくなれば、高齢者世代の受け取る年金が少なる可能性があります。
金額が少なくなるだけではなく、受け取る年齢が後ろ倒しになることも考えられます。
老齢年金は、現在は65歳から受け取れますが、68歳や70歳にならないと受け取れないということもありえます。2024年は5年に1度の年金「財政検証」の年であり、年金の給付の見通しやさまざまなケースを想定した試算が行われます。
老齢年金の給付水準を維持するのであれば、現役世代の保険料負担が増えることにもなります。社会保障制度は、年金だけではなく、医療や介護、福祉にも及びます。
すでに、保険料の負担感は大きくなっていることを考えると、給付の見直しは避けられないかもしれません。
少子化対策の効果は?
少子化による経済への影響を見てきましたが、抜本的な改革はやはり子どもの数を増やすことにつきます。児童手当は所得制限が撤廃されましたし、育児休業等期間中には社会保険料が免除になります。自治体ごとには、子どもの医療費の無償化や、移住促進のため住宅を格安で提供しているところもあります。
企業では、朝型勤務を取り入れて、子どもがいる女性が早く帰りやすい環境を整えて、企業の出生率が大幅に上がった例もあります。子育てしやすい環境は、少しずつ整っているのかもしれません。
しかし、2023年の合計特殊出生率(15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)は1.20と過去最低。2024年に生まれる子どもの数は70万人を下回るのではという推計も出ています。
国、自治体、そして民間企業も進める少子化対策。
ぜひ効果を上げて、少子化のネガティブな影響は最小限にしてほしいものです。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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