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24/04/19

相続・税金・年金

もらえる年金額の最高は月いくらなのか

もらえる年金額の最高は月いくらなのか

みなさんは自分や配偶者が将来どれくらい年金をもらえるか知っていますか。もしかすると、最高額や平均額の方が気になっている人も多いかもしれません。そこで今回は、現役時代にどのような条件を満たすと年金額が最高になるのかを紹介しますが、その条件を満たせる人はきっと稀です。年金をもらい始めるまでにどのような選択をすれば年金額をもっと増やせるかも合わせて見ていきましょう。

厚生年金がもらえることが最高月額の大前提

公的年金は2階建ての構造です。保険料を納付した期間に応じて支給される1階部分の基礎年金に加えて、会社員や公務員などで厚生年金保険に加入していた人は、現役時代の賃金と厚生年金保険に加入していた期間に応じた2階部分の厚生年金が支給されることになります。

<厚生年金保険料と年金給付の関係>

筆者作成

年金額が最高になる条件には、次の2つがあります。

●最高月額になる条件①:16歳から70歳になるまで厚生年金保険に加入する

厚生年金保険に加入している会社等(適用事業所)において、常用的に使用されている70歳未満の人は、すべて厚生年金保険の加入者です。加入者の年齢に下限はありません。したがって、(義務教育が終了し)16歳になる年度から働いている人も、厚生年金保険の被保険者として「厚生年金保険料」を納める必要があります。

今回は、16歳から70歳になるまで54年間648月を、最長の厚生年金保険加入期間としましょう。しかしながら、基礎年金に反映されるのは、20歳から60歳に到達するまでの40年間480月分だけです。この480月をもって、2024年度の満額である月68,000円(1956年4月1日以前生まれは67,808円)の基礎年金を受け取ることができます。

●最高月額になる条件②:毎月の給与が63.5万円以上+150万円以上の賞与が年3回

厚生年金保険料のベースとなる標準報酬月額は、毎月63.5万円以上の給与をもらっている人に適用される「65万円(32等級)」が上限です。

<厚生年金保険料額表(2024年度)>

日本年金機構「厚生年金保険料率および協会けんぽ管掌の健康保険料率」より筆者作成

賞与にかかる保険料を計算する際も、支給1回あたり(同じ月に2回以上支給されたときは合算)の標準賞与額の上限は「150万円」。年3回までとされているため、標準賞与額の最大は年間450万円ということになります。

もらえる厚生年金の額(報酬比例部分)を計算する際のベースとなる「平均標準報酬額」は、標準報酬月額の合計額と標準賞与額の合計額を、2003年4月以降の加入期間で割ったものです。54年間648月がすべて2003年4月以降の期間で、この間著しい賃金水準の変動がないものと仮定すると、平均標準報酬額と、厚生年金の最高月額は次のとおり計算することができます。

<平均標準報酬額と厚生年金の額>

(1)標準報酬月額
 65万円×648月=4億2,120万円
(2)標準賞与額
 150万円×年3回×54年=2億4,300万円
(3)平均標準報酬額:
 (4億2,120万円+2億4,300万円)÷648月=102.5万円
④厚生年金の最高月額
 1,025,000円×(5.481÷1,000)×648月÷12=303,373円

したがって、基礎年金の満額68,000円を合わせた371,373円が、理論的には、もらえる年金の最高月額です。

最高月額ならではの事情で実際にもらえる年金は少なくなる

しかしながら、この約37万円という年金額には2つの落とし穴があるので、それぞれ見ていきましょう。

●年金額の落とし穴①:「在職老齢年金」で一定額以上は年金額がカットされる

老齢厚生年金と給与(賞与を含む)の合計額が月50万円(2024年度)を超えていると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となります。これが「在職老齢年金」と呼ばれるルールです。

16歳から70歳になるまでの54年間648月、賞与を含めた毎月の給与が102.5万円とする先ほどのケースは、給与だけで50万円のラインを超えています。したがって、65歳になって老齢年金の請求手続きをしても、支給されるのは基礎年金の68,000円だけです。なお、在職老齢年金で支給停止となった部分は、受給の開始を繰り下げても増額の対象にはなりません。

●年金額の落とし穴②:もらえる年金が多いほど税金や社会保険料がかかる

老齢年金の額が増えると、所得や年齢、家族構成、居住地によっても異なりますが、税金や社会保険料の負担額も大きくなる可能性があります。その他、医療・介護保険等の自己負担割合が高くなる点にも注意が必要です。

また、そもそも16歳からずっと標準報酬月額が最高の32等級で、賞与が年3回・合計450万円もらい続けられる人は考えにくいのが実情です。

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将来もらえる年金を増やす4つのポイント

これまで年金の最高月額について紹介してきましたが、みなさんが気になるのは、平均額の方かもしれません。2022年度における、厚生年金受給者の平均年金月額(基礎年金+厚生年金)は143,973円(男性:163,875円、女性:104,878円)で、「基礎年金のみ」受給権がある人の平均年金月額は53,201円でした。

<男女別・年金月額階級別の老齢年金(基礎年金+厚生年金)の受給者数(2022年度)>

厚生労働省年金局「厚生年金保険・国民年金事業の概況(2022年度)」より筆者作成

ここでは、年金をもらい始めるまでにどのような選択をすれば年金額をもっと増やせるかを、4つのポイントから紹介します。

●年金を増やすポイント①:厚生年金保険に加入する

これまで見てきたように、「収入が増えるほど」「長期間働くほど」将来の年金額が増えることは、厚生年金保険に加入する最大のメリットです。したがって、厚生年金保険に加入しながら働くことは、みなさんが想像している以上に、老後のくらしや万が一のリスクに対する賢明な備えとなります。

パートやアルバイトで働く人の中には、厚生年金保険への加入をためらっている人もいるかもしれません。かつては、正社員の4分の3以上勤務していないと加入できませんでしたが、2022年10月からは、勤め先の従業員数が101人以上で、その他の要件を満たしていれば加入できるようになりました。2024年10月からはさらに、この従業員要件が51人以上に緩和されるので、就労の意欲次第で年金額を増やせるチャンスを活かしていきましょう。

●年金を増やすポイント②:60歳以降も年金に加入する

国民年金保険料の未納期間や年金額の算定には含まれない合算対象期間(カラ期間)があるために、基礎年金が満額もらえないと思っている人もいるかもしれません。満額もらえない人は、60歳から65歳になるまでの間、国民年金に任意加入(任意加入被保険者)をすることができるので、できる限り満額に近づけましょう。

厚生年金保険の加入者は、国民年金の任意加入被保険者になることはできませんが、(20歳未満および)60歳以降の加入期間については、老齢基礎年金に相当する「経過的加算」が老齢厚生年金に上乗せして支給されます。この間、報酬比例部分の年金額が増える点でも、60歳以降も厚生年金保険に加入しながら働くことは、年金額を増やすためにはやはり欠かせない選択肢なのです。

●年金を増やすポイント③:上乗せ給付を活用する

月400円の付加保険料を納付している国民年金の第1号被保険者や任意加入被保険者には、「200円×付加保険料の納付月数」分の年金額が、基礎年金に上乗せされる形で将来支給されます。これが「付加年金」です。

40歳から60歳になるまで付加保険料を納める人の場合、20年間で納付する付加保険料の合計は96,000円(400円×240ヶ月)。付加年金額は年48,000円(200×240ヶ月)になるので、受給開始からわずか2年で元が取れる点でも、付加年金は非常にお得な制度と言ってよいでしょう。なお、私的年金の一つである「国民年金基金」との併用はできません。

●年金を増やすポイント④:年金の受け取り開始を遅らせる

老齢年金の受給は原則65歳からですが、66歳以後75歳までの間に受給の開始を繰り下げることができます。老齢基礎年金と老齢厚生年金、どちらか一方だけを繰り下げることも可能です。

1ヶ月繰り下げるごとに年金額は0.7%ずつ「増額」されるため、増額率は70歳まで繰り下げると42.0%(0.7%×60ヶ月)、75歳まで繰り下げると84.0%(0.7%×120ヶ月)になります。例えば、65歳から月20万円もらえる人は、75歳まで繰り下げることで月36.8万円になり、先ほど紹介した最高月額とほぼ同じ年金額を亡くなるまでもらうことができるのです。

実際には、繰り下げをしている間の収入や、手取り額、健康状態など、さまざまな留意点を踏まえた総合的な判断が必要ですが、繰り下げ受給の選択肢はみなさんのマネープランに、新たな視点をもたらすことでしょう。

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「ねんきんネット」や「公的年金シミュレーター」をフル活用しよう

今回は、最も長く厚生年金保険に加入し、最も高い給与や賞与で厚生年金保険に加入した場合の年金額について紹介しました。しかしながら、実際に私たちが将来もらう年金額は、現役時代はもちろんのこと、老齢期を含めた長い人生における、働き方や生き方によって人それぞれです。最大や平均の年金月額自体にあまり意味はありません。

「ねんきんネット」や「公的年金シミュレーター」を使うと、みなさんのこれまでの加入実績も踏まえながら、最後に紹介した「年金を増やす4つのポイント」で年金額がどれくらい変わるかを簡単に試算できます。年金の現状や見通しが分かれば、家計の見直し、iDeCoやNISAを活用した資産形成などに取り組む目的も、より明らかになるはずです。未来志向で効率よく老後資金の準備を進めるためにも、まずは自分自身の年金に関心を持つことから老後資金の準備を始めてみませんか。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®︎)、1級DCプランナー

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの決算や内部統制、DX等の業務に従事。2022年10月に兵庫県で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。NISAやiDeCoを活用した資産形成など、金融系に関する記事をオンラインメディアでも多数執筆。特に、現役世代が今日からできる老後資金対策に力を入れており、「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘中。
Twitter→https://twitter.com/lifehawker

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