23/12/21
新NISA「投資しすぎ」は禁物。理想の投資額はどう決める?
2024年1月から始まる新NISAを機に、投資を始めようと考えている方は少なくないでしょう。しかし、家計が苦しくなるほど無理な金額を投資するのはおすすめできません。ではどのくらいの額を投資にまわせばよいのでしょうか?
今回は「理想の投資額」の決め方を4つのステップに分けて紹介します。ご自身やご家庭の状況に見合った投資額を知るための参考にしてみてください。
STEP1:まずは緊急予備資金を貯めよう
投資の基本は余裕資金で始めることです。余裕資金とは当面使う予定のないお金のことをいいます。言い換えると、生活資金やすでに使い道が決まっているお金は、投資で準備するのに向いていません。
投資を始める前に貯めておくべき金額の目安は、生活費の3~6ヵ月分といわれています。これは災害や病気・けが、失業など不測の事態が起こった際に必要になるお金を想定しています。このような生活上のリスクに備えるためのお金を「緊急予備資金」といいます。
緊急予備資金は、すぐに引き出せて元本割れの心配がない普通預金や定期預金で貯めることをおすすめします。投資信託や株式のように常に値動きする金融商品は、緊急予備資金の準備には適していません。いざお金が必要になったときに、損失が出た状態で現金化せざるをえない可能性があるためです。
日本人は欧米人に比べて、投資より貯蓄にまわすお金が多いと言われています。すでに3か月分の生活費が貯蓄できている方はSTEP2に進みましょう。もしそのお金が貯まっていないのであれば、まずは3か月分の生活費を貯めるところから始めることをおすすめします。
また、使い道が決まっているお金も投資にまわすことは得策ではありません。たとえば「1年後に結婚資金として使うお金」や「3年後の住宅購入の頭金のために貯めているお金」などです。このようなお金を投資にまわすと、必要なタイミングで元本割れしている可能性があるためです。近い将来必要なお金があるなら、緊急予備資金とは別に、預金など元本割れの心配がない方法で準備しましょう。
STEP2: 3か月分の生活費が貯まったら、月数千円程度から始めよう
3か月分の生活費が貯まったら、月数千円などの少額から積立投資を始めてみましょう。少額だと意味がないと思う方もいるかもしれませんが、投資は長く続けるほど複利の効果が大きくなり、お金を増やしやすくなります。複利の効果とは、投資で得た利益を再び投資にまわすことで利益が利益を生み、資産が膨らんでいく効果のことです。
また、本格的に投資を始める前に投資に慣れておくという意味でも、少額でもよいので早めに投資を始めることは効果的です。初めから大きな金額で投資するのは怖いという方にもおすすめですよ。
新NISAでは、月数百円~数千円から投資信託の積立が可能です。ポイント投資ができる金融機関もあるので、お得に投資を始めたい方はこのような金融機関で口座開設するのも一案ですよ。
新NISAは一括投資もできますが、リスクを抑えながら投資するには長期の積立が適してきます。
STEP3: 6か月分の生活費が貯まったら本格的に投資をスタート!
6か月分の生活費が準備できたら、いよいよ本格的に投資を始めるタイミングです。まずは、ご自身のライフプランを立てて、将来必要なお金を知るところから始めましょう。そのうえで、それに必要な積立金額(=理想の投資額)を決めることが大切です。
新NISAではいつでも解約して現金化できますが、その便利さの反面、予定外のタイミングで解約してしまいお金が貯まりにくいといったデメリットもあります。投資の目的や目標金額をしっかり決めておくことで、計画的に効率よく積み立てられるでしょう。
将来必要なお金を知るためには、家計の収支と資産・負債の現状をもとに、将来のライフイベントに沿った収支をシミュレーションすることが必要です。全国銀行協会や日本FP協会のウェブサイトで簡易的に将来の収支がシミュレーションできるので、まずはこちらを活用してみるとよいでしょう。より詳しくシミュレーションしたい方は、ファイナンシャルプランナーなどのお金の専門家に相談するのも一案です。
STEP4:定期的に投資額を見直そう
家計の状況は、ご自身やご家族の収入、家族構成や年齢、ライフスタイルなどによって変化します。それにより一度決めた投資額(積立金額)が適切でなくなることもあるため、ライフイベントの節目などで金額を見直すことが大切です。
新NISAではいつでも積立金額を変更できるので、たとえば転職、住宅購入、結婚・出産、子供の進学などのタイミングで将来の収支をシミュレーションしたうえで、必要な投資額を再設定しましょう。
自分の状況や目的に合った「理想の投資額」を決めよう
「理想の投資額」は家計の状況やライフスタイル、希望するライフプランなど人によって異なります。6か月分の生活費が準備できて本格的に投資を始める際は、将来の収支をシミュレーションしたうえで必要な投資額を決めましょう。
また、6か月分の生活費が貯まっていない方はSTEP1、2でお伝えしたように、貯蓄額を増やしつつ少額での投資から始めることをおすすめします。今回紹介した4つのSTEPを参考に、ご自身の状況や目的に合った「理想の投資額」を決めて、計画的に新NISAでの投資を始めませんか。
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鈴木靖子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
銀行の財務企画や金融機関向けコンサルティングサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わるなか、その経験を個人の生活にも活かしたいという思いからFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。
HP:https://yacco-labo.com
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