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22/04/14

相続・税金・年金

年金を増やす受け取り方 3つのケース別戦略を解説

年金を増やす受け取り方 3つのケース別戦略を解説

誰もが気になる老後資金。どう貯めればいいのか、心配する人も少なくありません。老後資金の貯蓄は必須ですが、公的年金制度の活用と年金の受け取り方で、年金収入が変わることをご存じですか?年金収入には戦略的な考え方が必要です。そこで今回は、年金の受け取り方をアレンジしたとき、「共働き世帯」「専業主婦世帯」「自営業夫婦」の3つのケースではどのくらい受給額を増やせるか、その試算と見解をご紹介します。

2022年、年金制度はどう変わる?

2020年5月29日に年金制度改正法(年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律)が成立し、2022年に制度改正が実施されます。今年、年金制度はどのように変わるのでしょうか?ここで主な改正点をご紹介します。

●年金の受給開始時期の上限を75歳に引き上げ

これまでは年金の繰下げ受給を選択した場合、66歳から70歳までの間で受給を開始することになっていました。けれども2022年4月からは70歳の上限が75歳まで引き上げられます。繰下げ受給では1ヶ月につき0.7%、年金を増額することができます。もし年金を75歳まで繰り下げると、その増額率は84%になります。

●iDeCo(イデコ)の加入が60歳未満から65歳未満に変更

これまでiDeCoに加入できるのは、60歳未満の国民年金・厚生年金の加入者となっていました。けれども、2022年5月からは国民年金の任意加入者、厚生年金の被保険者であれば60歳~65歳未満の人でもiDeCoに加入できるようになります。

●iDeCoの受給開始時期の上限を75歳まで引き上げ

これまでiDeCoの老齢給付金は、60歳~70歳の間で受け取ることになっていました。これが2022年4月からは受給開始時期が60歳~75歳まで引き上げられます。なお、60歳(65歳)以降、掛金を出すことができなくなっても、資産を受け取るまでは非課税で運用ができます。

年金の受け取り方を変えると、年金収入はどのくらい増える?

老齢年金は、原則65歳から受給できるようになります。ただ、老齢年金だけでは生活費が足りなくなるかもしれないので、早いうちから貯蓄や運用で不足分の老後資金を準備しておいたほうがよいでしょう。その際、老後資金を賄う方法の1つとして、年金の繰下げ受給で年金額を増やすということも可能です。また、税制優遇が受けられるiDeCoや企業年金などを活用する方法も考えられます。特に繰下げ受給とiDeCoは多くの人が利用できるので、少しでも年金を多く受給するための戦略として活用するとよいかもしれません。

そこで、繰下げ受給やiDeCoを活用することで、実際に受け取れる年金がどれくらい増えるのか、「共働き世帯」「専業主婦世帯」「自営業夫婦」の3つのケース別に受け取り方をアレンジし、試算してみました。

【前提条件】
・老齢基礎年金は2022年度の満額、月額6万4816円、年額77万7800円とする。
・老齢厚生年金の受給額は、「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」の老齢年金受給権者状況の推移(男子)(女子)の65歳以上の平均年金月額を利用。
・男子:170,391円
・女子:109,205円
※上記はいずれも老齢基礎年金を含む。
・国民年金(厚生年金)の加入期間は40年とする。
・会社員の勤め先では企業年金を実施していないものとする。
・会社員は65歳で退職。
・税金、社会保険料、所得控除は考慮しない。
・夫婦は同じ年齢とする。

出典:
厚生労働省「令和4年度の新規裁定者(67歳以下の方)の年金額の例」より
厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より

●ケース1:共働き世帯の年金受給額

【年金を65歳で受給する場合】
夫:月額17万391円 年額204万4692円
妻:月額10万9205円 年額131万460円
合計:月額27万9596円 年額335万5152円

【年金の受け取り方をアレンジする場合】
○夫:
①50歳から65歳までの15年間、iDeCoに加入する。
掛金は月額2万3000円で、想定利回り(年率)3%で運用する。
2万3000円×12ヶ月×15年=414万円⇒運用後522万372円 
65歳から70歳までの5年間そのまま運用⇒運用後605万1842円
iDeCoの老齢給付金は、10年間(80歳まで)で年金として受け取る。
年額60万5184円 月額5万432円

②年金を70歳まで繰下げ受給 増額率42%
204万4692円×1.42=290万3463円(年額) 月額24万1955円

○妻:年金を70歳まで繰下げ受給 増額率42%
 131万460円×1.42=186万853円(年額) 月額15万5071円

○夫婦での受給額:
《65歳~70歳》年金0円
《70歳~80歳》月額44万7458円 年額536万9500円
《80歳~》月額39万7026円 年額476万4316円

この場合、夫婦で65歳まで働くので、老後資金は比較的確保しやすいでしょう。そこで、夫婦ともに年金を70歳で繰下げ受給します。65歳から70歳までは年金収入がゼロになるので、その間、生活費の確保が必要です。65歳以降も、働けるようであればなるべく働くのもひとつの方法です。
また、夫はiDeCoを上限年齢の65歳まで加入し、その後5年間運用を続けます。iDeCoの受け取り開始は75歳までですから、それまでは非課税運用が可能です。こうして年金やiDeCoの受け取り方をアレンジすることで、年間に受け取れる金額が65歳受取時よりも約141万円も増やせます。
ただし、65歳から70歳までは、それまでの貯蓄や退職金で生活費を補う準備をしたほうがよいでしょう。

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●ケース2:専業主婦世帯の年金受給額

【年金を65歳で受給する場合】
夫:月額17万391円 年額204万4692円
妻:月額6万4816円 年額77万7800円
合計:月額23万5207円 年額282万2492円

【年金の受け取り方をアレンジする場合】
○夫:
50歳から65歳までの15年間、iDeCoに加入する。
掛金は月額2万3000円で、想定利回り(年率)3%で運用する。
2万3000円×12ヶ月×15年=414万円⇒運用後522万372円
iDeCoの老齢給付金は、10年間(75歳まで)で年金として受け取る。
年額52万2037円 月額4万3503円

○妻:年金を75歳で繰下げ受給 増額率84%
  77万7800円×1.84=143万1152円 月額11万9263円

○夫婦での受給額:
《65歳~75歳》月額21万3894円 年額256万6729円
《75歳~》月額28万9654円 年額347万5844円

このケースでは夫しか働いていません。そのため、年金収入だけでは生活に少し不安が出てきそうです。そこで、夫はiDeCoの上限年齢の65歳まで加入して、65歳から75歳の収入を増やします。妻は繰下げ受給で、できるだけ受給額を増やしたいです。そこで、年金を75歳から繰下げ受給して、妻自身の年金を年額約65万円増やします。
ただし、65歳から75歳までの10年間は、貯蓄や退職金などで生活費を補うのがよさそうです。

●ケース3:自営業夫婦の年金受給額

【年金を65歳で受給する場合】
夫:月額6万4816円 年額77万7800円
妻:月額6万4816円 年額77万7800円
合計:月額12万9632円 年額155万5600円

【年金の受け取り方をアレンジする場合】
○夫:
45歳から60歳までの15年間、iDeCoに加入する。
掛金は月額6万8000円で、想定利回り(年率)3%で運用する。
6万8000円×12ヶ月×15年=1224万円⇒運用後1543万4143円
60歳から70歳までの10年間、そのまま運用⇒運用後2074万2198円
iDeCoの老齢給付金は、70歳から20年間(90歳まで)で年金として受け取る。
年額103万7110円 月額8万6426円

○妻:
45歳から65歳までつみたてNISAを行う。
積立額は月額3万円で、 想定利回り(年率)3%で運用する。
3万円×12ヶ月×20年=720万円⇒運用後984万9060円
積立金は、65歳から20年間で使っていく。
 年額49万2453円 月額4万1038円

○夫婦での受給額:
《65歳~70歳》月額17万670円 年額204万8053円
《70歳~85歳》月額25万7096円 年額308万5163円
《85歳~90歳》月額21万6058円 年額259万2710円

自営業夫婦の場合、老後に向けた対策を行わなければ、受け取れる年金額は1人年額約78万円のみです。これでは生活が成り立たないので、iDeCoやつみたてNISA、国民年金基金などの対策が必要です。

今回の試算では、夫は45歳から60歳までの15年間iDeCoに加入し、さらにそのまま据え置いて10年間非課税運用をします。また、妻は45歳から20年間、月3万円ずつつみたてNISAを行い3%運用することで、老後資金を増やしました。また、それぞれを受け取る期間と時期を考慮することで、夫婦あわせて約156万円しかなかった年金収入を200万円台~300万円台にアップできました。とはいえ、全体的に見ると配偶者が会社員の場合に比べて年金額は少ないため、早い時期からの貯蓄は必須といえるでしょう。

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まとめ

今回の試算でわかったことは、戦略的に繰下げ受給やiDeCo、つみたてNISAなどの公的年金制度を活用することで、受け取れる年金額を増やすことができるということです。その際、受給額だけにフォーカスするのではなく、受取開始時期もあわせて検討するようにしましょう。できれば、ご夫婦で年金の受け取り方を話し合う機会をつくって、安定した老後生活を送るための年金戦略を立てることをおすすめします。

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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