21/12/26
年金いくらもらえる? 将来もらえる年金がわかる早見表
2000万円必要って本当?
2019年6月に、金融庁は「老後資金は公的年金だけでは約2000万円足りない」と指摘する報告書を発表。これは、「老後2000万円不足問題」などと呼ばれ大きな話題になりました。
総務省「家計調査報告(2019)」をもとにすると、仮に65歳から90歳まで26年生きるとした場合、老後資金は高齢夫婦無職世帯で毎月3.3万円、高齢単身無職世帯で毎月2.7万円不足することに。これに病気や介護のお金を1人500万円見込むと、夫婦で約2000万円、単身で約1300万円が必要になる計算です。
著書「はじめてのお金の基本」より
定年後は収入が減りますが、同時に支出も減ります。家計調査(2019年)によると、70歳以上の生活費は現役世代(50~59歳)の生活費の68.1%。老後の生活費は、おおよそ今の生活費の70%程度と想定しておきましょう。
老後資金には自助努力が必要
上の金額で注意したいのは住居費です。データには持ち家で住居費が少ない人が多数含まれるため金額が低くなっています。
賃貸住まいなら家賃がかかりますし、住宅ローンが残っていれば支払いが続きます。
そして、老後にレジャーを満喫したい、ゆとりある老後を送りたい場合は、これら生活費とは別にお金の用意が必要です。
著書「はじめてのお金の基本」より
さらに今後、少子化の影響で、もらえる年金の額が減ったり、医療費の負担が増えたりする可能性を考えると、老後資金2000万円程度は、やはり自助努力で用意する必要があるといえます。
年金制度が崩壊するって本当?
日本の年金制度は、現役世代が納めた保険料を現在の受給者の年金にあてる「賦課(ふか)方式」で成り立っています。少子高齢化によって「年金制度が崩壊する」といわれることもよくありますが、年金制度は今後も継続できるように運営されています。
私たちが納めた保険料は、受給者に年金として支払われるだけでなく、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用を行っています。また、支払われる年金には税金も投入されています。そのため、年金がもらえないということはありません。ただ、高齢者を支える現役世代の人数が減っている影響で今後、受け取れる金額が減る可能性はあります。
国の年金制度のことを公的年金といいます。公的年金には、原則20歳から60歳になるまでの40年間、誰もが加入する「国民年金」と、会社員や公務員として働く人が加入する「厚生年金」の2つがあります。
公的年金以外の年金を私的年金といいます。私的年金は、働き方によって加入できる制度が異なります。
現役世代でも年金が受け取れる!?
年金というと、老後に受け取る年金をイメージする人が多いでしょう。
国民年金に加入していれば老後に老齢基礎年金、厚生年金に加入していれば老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金が受け取れます。
しかし、公的年金を受け取ることができるのは、老後を迎えたときだけではありません。現役世代でも、障害を負ったときには障害年金、亡くなった場合には遺族が遺族年金を受け取ることができます。障害年金にも遺族年金にも、老齢年金と同様に、基礎年金と厚生年金の2種類があります。
年金を受け取るためには、申請が必要です。年金請求書に加え、申請に必要な書類を揃えて、年金事務所に提出します。
老齢年金の請求は受給者本人が行います。障害年金の請求は障害になった本人のほか、家族が行うこともできます。そして遺族年金は、遺族が申請します。
老齢年金は一定額以上(65歳未満は年108万円超・65歳以上は年158万円超)の場合に課税対象となり、所得税や住民税などの税金・社会保険料がかかります。それに対して、障害年金・遺族年金は非課税で受け取れます。
年金がいくらもらえるかチェックしよう
国民年金の受給額は、20歳から60歳になるまでの40年間(480か月)のうち、何か月分の保険料を払ったかで決まります。すべて支払っていれば、65歳時点で年78万900円(2021年度)を受け取れます。しかし未納分があると年金額が減少します。
厚生年金の受給額は、保険料を支払った月数のほか、加入期間中の平均の給与や賞与の金額なども踏まえて計算されます。基本的には長い期間加入し、給与や賞与が高いほど、もらえる年金額は多くなります。
この計算は複雑なので、下の早見表で年金額をチェックしてみましょう。
著書「はじめてのお金の基本」より
より正確に年金額を知りたい場合は、ねんきん定期便を確認しましょう。ねんきん定期便は年1回誕生月に届く書類(ハガキ)です。今まで納めた保険料の累計額や年金加入期間、年金額などが記されています。
50歳未満の方の年金額は、現段階で受給を開始した場合の金額が書かれているため、少なく見える点に注意が必要です。将来もらえる年金額が知りたい場合は、ねんきんネットで簡単に試算できます。
50歳以上の方の年金額は、65歳受給時の受取見込額となっているので、将来のおおよその年金額を知ることが可能です。
『はじめてのお金の基本』 頼藤太希/高山一恵 著
はじめてお金の本を読む人にも理解できるよう、家計管理の基本、節税の知識、ライフイベントにかかるお金、保険の知識、資産運用の知識に至るまで、幅広いお金の知識をオールカラー、豊富な図版やマンガで解説
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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