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21/05/28

相続・税金・年金

退職金より先にiDeCoを受け取ったほうがお得なこれだけの理由

老後の資金対策として、圧倒的な「節税メリット」で注目を集めるiDeCo(個人型確定拠出年金)。2022年度の制度改正により、すべての会社員がiDeCoに加入できるようになります。今後は大企業の会社員がiDeCoを最大限に活用し、老後の資金対策をするというケースが多くなっていくことが予想されます。

ここで注意しておきたいのが、iDeCoと退職金の関係です。特に退職金が比較的手厚い大企業の会社員は、iDeCoの節税メリットが受けられなくなる可能性があることはあまり知られていません。そうならないよう、今回はiDeCoと退職金の税金をわかりやすく解説していきます。

iDeCoで運用したお金を一時金で受け取る場合は、退職所得控除を適用

iDeCoは通算加入者等期間が10年以上あれば原則として60歳以降にそれまでに積立てて運用した資産を老齢給付金として受け取ることができます。iDeCoの受け取りは比較的自由度が高く、自分でどのように受け取るのかを選択することができます。

60歳以降の老齢給付金には、まとめて受け取る老齢一時金と、数年に分けて受け取る年金の2種類があります。これらは併用も可能なため、受け取り方は以下の3パターンになります。

①老齢一時金:一時金として一括で受け取る
②老齢年金:5年以上20年以下の有期年金として分割で受け取る
③併用:老齢一時金と老齢年金を併用する

このうちおすすめなのが①の「老齢一時金」で受け取る方法。というのも、iDeCoの資産を一時金で受け取る場合は、退職金と同等の扱いとなり、退職所得控除を適用できるためです。

一般的に退職金は、長年勤めあげた慰労の意味合いも強いため、退職所得控除という手厚い税制優遇ができることで知られています。税制メリットの仕組みは後述しますが、長い間会社に勤めていた方は、退職所得控除額が大きくなることにより、税金の支払いを少なく抑えることができますので、結果的に手取り額も多く受け取れるのです。iDeCoの資産も一時金で受け取れば、この退職所得控除を活用することができます。

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税制優遇の手厚い「退職所得控除」の仕組み

税制優遇の手厚い「退職所得控除」の仕組みを解説する前に、まず退職所得の計算方法を確認しておきましょう。

●退職所得の計算方法

(収入金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額
退職所得金額×所得税率=所得税額

ざっくりといえば、退職所得控除額からはみ出た収入金額の半分が課税対象となるということです。逆に言えば、退職所得控除額内で収まれば全額が非課税ということになります。

では、次に退職所得控除はどのように計算されるのでしょう。

●退職所得控除額の計算方法

勤続年数(=A)
20年以下:40万円✕A(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超:800万円+70万円✕(Aー20年)

退職所得控除の額は、20年以下と20年超では計算式が異なります。また、勤続年数が長い方ほど非課税金額が大きくなります。iDeCoの場合は加入年数を使用します。
なお、iDeCoと勤続年数が重複している期間がある場合には、この重複期間は控除され、iDeCoの加入年数と会社の勤務期間の長い方を採用して控除額を計算します。

iDeCoを20年掛けた人(勤続30年)の退職所得控除の額は1500万円!

実際の例で解説していきます。iDeCoを20年掛けた人の例で考えて見ましょう。

●iDeCoを20年掛けたAさん(勤続30年)の例

Aさんの会社の勤続年数は30年、iDeCoの加入期間は20年なので、退職控除を計算する時に勤続年数を50年で計算できるかというとそうではありません。勤続年数に重複期間がある場合、その期間を控除して計算しなければならないからです。
ここでは、iDeCoを20年掛けていますが、勤続は30年ですので、長い方でのみ控除額を計算します。この場合、勤続30年の方だけで計算し、退職所得控除の額の計算は800+70万円×(30-20)で1500万円となります。

つまり、会社からの退職金とiDeCoの老齢一時金(運用益も含め)が1500万円以内ならば全額非課税となります。この退職所得控除の枠内で収まるならばすべて一時金でもらうのが税金的には一番おトクです。

しかしながら、会社からの退職金が多くもらえるケースでは、ご注意いただきたい落とし穴もあるのです。

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退職金が多い場合は、非課税メリットが十分に享受できないことも

そのご注意いただきたい落とし穴とは、「退職金が多い方だとその利点をうまく使えず多額の税金を払う可能性がある」という点です。

iDeCoの資産を老齢一時金として受け取った場合は、退職所得として会社からの退職金と同じ扱いとなることは前述しました。このとき、iDeCoの老齢一時金と会社から支給される退職金は、同じ控除枠を利用します。
つまり、仮に会社から退職金がたくさん出て、すでにその枠を使い切ってしまったという場合、iDeCo分については退職所得控除が全く使えないという状況になってしまうのです。

たとえば、先ほどのAさんが、65歳の定年時に退職金1500万円とiDeCoの老齢一時金700万円を同時に受け取るとします。

●Aさんが定年時に退職金とiDeCoの老齢一時金を同時に受け取る場合

上記のように、65歳定年時に退職金1500万円とiDeCoの年金資産700万円を一時金で受け取る場合、退職一時金の金額は2200万円となります。しかし、退職所得控除は1500万円になります。つまり、65歳の定年時に退職金とiDeCoを同時に一時金で受け取る場合、700万円が課税対象となってしまうのです。

退職所得の金額は、(2200万円-1500万円)×1/2=350万円。つまり、350万円分に対して税金が掛かることになります。仮に税率20%の人ならば、税額は70万円です。これを支払うとなると、かなり大きな税負担となってしまいます。

このように、よく考えずに受け取り方を選んでしまった結果、思わぬ税負担が生じるケースがあるのです。受取額が想定していたよりも大幅に減ってしまったという事態は避けたいところです。

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会社から多額の退職金が出る場合の回避策はある?

会社員で会社から多額の退職金が出るなど、退職時の収入が多い方はどうすればいいのでしょうか。
iDeCoを老齢一時金でなく老齢年金で分割して、数年で受け取るという方法も選択肢のひとつにはなります。ですが、それでもやはり税制メリットのある退職所得控除を最大限に活用したいという方向けの裏技が実はあるのです。
それは、退職金などとiDeCoの老齢一時金を受け取る時期をあえてずらすという方法。これは退職金の「5年ルール」といわれるものです。

これは、退職金を一括で受け取る場合、最後に受け取ったiDeCoの老齢一時金から5年以上経過していれば、以前使った退職所得控除と今回受ける退職所得控除はそれぞれ全期間で控除額の計算を認めます、というありがたい制度なのです。このルールを知っておけば、控除枠を最大限活用することが可能になります。

例えば60歳でiDeCoを受け取り、会社の退職金は65歳で受け取れば、両方の制度で退職金控除が利用できます。

●退職金5年ルールの活用イメージ

上記のケースの場合、60歳でiDeCoを一時金で受け取ったのち、「5年」経過してから65歳で退職金を受け取っています。この場合は、前述の退職金の5年ルールが適用となりますので、退職金とiDeCoの両方で退職所得控除を使って受け取ることが可能となります。

まず、60歳時にiDeCoを受け取る場合、退職所得控除は加入年数20年で計算し800万円となりますので、年金資産700万円を一時金で受け取っても税金はかかりません。
また、5年経過後の65歳時には、iDeCoの積立期間20年間を控除することなく、勤続年数30年が再度、退職所得控除の計算で使えますので、退職所得控除は1500万円となります。そのため、退職金1500万円を一時金で全額受け取ってもこちらも税金はかからず、すべて非課税で受け取れる計算となります。

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「退職金の5年ルール」を活用するならiDeCoを先に受け取ろう!

iDeCoの受け取りは60歳から70歳まで任意に決めることができます。では、iDeCoの受け取りを後にずらすとどうなるのでしょうか?

実はiDeCoを後から受け取る場合には、「退職金の5年ルール」は利用できず、前年以前14年内に他の退職金がある場合、退職所得控除の重複分が減額されてしまいます。
つまり、たとえば65歳に退職一時金を受け取り5年後の70歳にiDeCoを受け取った場合、iDeCoに加入していた10年は勤務期間に重複するのでiDeCoの退職所得控除は無くなってしまいます。

また、70歳までiDeCoを受け取らなかった場合、拠出期間10年と運用期間10年を合わせて20年となりますが、退職所得控除の計算上利用できる勤続年数は10年(拠出期間のみ)となるのでこちらも注意が必要です。

退職金よりもiDeCoを後で受け取る場合には、最後に受け取った退職一時金等から15年以降ならば再度退職金控除を使えますが、こちらのパターン(退職金が先でiDeCoが後)だと15年空ける必要がありますので、やはり退職金よりもiDeCoを先に受け取るのが鉄則だと覚えておきましょう。

とはいえ、会社の退職金の支給時期は会社の退職金規定等で決まっていて、自分たちでどうこうできる問題ではないケースも多々あります。
もし、退職金がiDeCo受け取りから5年よりも早くに支給されてしまうことが予想される場合は、iDeCoは年金で受け取るか、退職所得控除に収まる金額を一時金で受け取って残りは年金で受け取るなど併用することも可能ですので、他の受け取り方法を選択するのが良いでしょう。

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まとめ

今回、iDeCoの特徴をふまえて、有利なパターンをご紹介させていただきましたが、実際に、税制上、どんな受け取り方が有利かは、個々の条件によって変わるので注意が必要です。特に多くの退職金がもらえる予定となっている人は税金のしくみをしっかり押さえて賢く受け取って頂きたいと思います。

KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士

長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。

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