21/02/01
日本に富裕層はどれくらいいる? 実は増え続けているお金持ち
どうやったらお金持ちになれるのだろう。お金持ちだったら人生自由きままに楽しく暮らせて、欲しい物も簡単に手に入る…と考える人も多いはずです。そんなお金持ちについて、野村総合研究所が2019年における金融資産保有額の世帯数と資産規模を各種統計などから推計し、富裕層のマインドを調査しました。この調査結果をもとに日本のお金持ちの実態を見ていきましょう。
いくら持っていれば富裕層の仲間入り?
資産といえば、現預金や株式、豪邸や別荘のような不動産、金地金などさまざまです。
野村総合研究所の調査では、世帯として保有する金融資産(預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険、年金保険など)の合計額から負債を差し引いた「純金融資産保有額」をもとに、5つの階層に分類しました。
・マス層(3000万円未満)
・アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満)
・準富裕層(5000万円以上1億円未満)
・富裕層(1億円以上5億円未満)
・超富裕層(5億円以上)
この5つの階層を世帯数でみると、ちょうどピラミッド型になっています。
●純金融資産保有額別の世帯数と資産規模(2019)
野村総合研究所の資料より
富裕層は124万世帯、超富裕層は8.7万世帯で、合わせると132.7万世帯でした。この富裕層と超富裕層の占める割合は、全体の約2.5%です。金融資産だけで1億円以上となると、そう簡単にどこにでもいるわけではないようです。
年を追って増えている富裕層の数と資産額
日本の全世帯のうちの一握りともいえる富裕層や超富裕層ですが、前回2017年調査にくらべて合計世帯数は126.7万世帯から6万世帯増加しています。富裕層と超富裕層の世帯数は、2013年以降、安倍政権(当時)の経済政策(アベノミクス)が始まってから増加を続けています。
これは世帯数だけではなく、純金融資産保有額についても増加が続いています。2017年から2019年にかけて、富裕層は9.3%、超富裕層は15.6%も保有額が増加し、両者の保有合計額は299兆円から333兆円に増加しています。純金融資産保有額についても世帯数と同じように2013年以降増加傾向にあります。
●純金融資産保有額別の金融資産と世帯数の推移
野村総合研究所の資料より
富裕層や超富裕層の世帯数や保有額が増えている要因とは
2013年の前年の2012年12月に発足した第2次安倍政権では、成長重視の経済政策が行われるだろうという期待感から株価が上昇しました。それに加え2013年4月から始まった異次元緩和、2016年1月に決まったマイナス金利も大きく影響して、景気が拡大しました。
富裕層や超富裕層の世帯数や資産額増えた要因は、アベノミクスによってもたらされた株式などの資産価値上昇によって、保有している資産が増えたことや、金融資産の運用によって富裕層から超富裕層へランクが上がったためだと考えらえています。つまり、金融資産における投資を行っていたかどうかが、資産を増やせたかどうかのカギを握っていたことになります。
ただし、この資産の増加もコロナの影響で多くの経済指標も悪化していることから、今後は富裕層や超富裕層の世帯数や金融資産の保有額に影響が出てくるかもしれません。
コロナ禍で変わる富裕層の考え方
また野村総合研究所では、2020年10~11月にかけて全国の企業オーナー経営者を対象に「MRI富裕層アンケート」を実施しています。同アンケートで個人資産の管理・運用の考え方をたずねたところ、もっとも多い回答は「個人資産のことよりも、所有する事業や法人の先行きが、以前よりも心配になった」というものでした。
●コロナ禍での個人資産の管理・運用の考え方の変化
野村総合研究所の資料より
また、個人資産の管理・運用については、シンプルでわかりやすい内容のものを好むようになったことや、積極的に情報収集や勉強するようになったことが挙げられています。その一方で、不透明な状況が続くことから、相場が急変したときにアドバイスしてもらえる信頼できる専門家の必要性を感じる声も多くなっています。金融資産には相場の影響を受けるものも多く、自分だけで資産管理・運用をする難しさを感じる割合も目立ちました。
生活面では、今まで以上に健康や体力増進に関する意識が強まったという回答が最も多く寄せられました。自宅で過ごす時間が増えたため、家族との会話やコミュニケーションが多くなったり、本を読む時間が増えたりしています。
オーナー経営者は金融資産を1億円以上保有していたとしても、その資産はいずれ何らかの形で承継せざるを得ません。突如として現れたコロナウイルスのために、今までの日常も変わってしまいました。いつコロナに感染するのかわからないリスクも抱えています。ですから、資産を増やす、守るという観点から見ると、自分で管理・運用するほかに、家族や信頼のおけるアドバイザーの存在は今まで以上に重要になってきそうです。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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