20/06/13
ひとり親家庭がもらえる手当・助成・支援・割引まとめ
母子世帯の推計数123.8万世帯、父子世帯の推計数22.3万世帯(厚生労働省「平成28年全国ひとり親世帯等調査」より)。最近はひとり親の家庭が多くなっています。
ひとり親家庭は、収入が少ないうえ、日ごろの家事分担も一手に引き受けることになり、精神的な負担も重くなりがち。昨今では、コロナ禍もありシビアさはひとかたならぬものがあります。そこで、ひとり親でも受けられる手当・減免・割引などの制度についてまとめました。
ひとり親家庭で活用したい各種手当
ひとり親家庭で、子育てをするためにはある程度の収入が必要になります。しかし、子供がまだ小さいと、フルタイムで働くことが難しいこともあるでしょう。そうなると、将来のことを考えて頭が痛くなることがあるかもしれません。しかし、こんなときこそ、自治体などのさまざまな助成金や手当などの支援策を活用するようにしましょう。代表的なものを紹介します。
●児童手当
児童手当は、ひとり親家庭に対する限定的なものではなく、0歳~15歳までの子供がいると受け取れる手当です。子供の人数や年齢によって月額の受け取る金額は異なります。
具体的な受給金額は、0歳〜3歳未満であれば1人あたり1万5000円です。3歳~小学校卒業までの第1子、第2子であれば1万円、第3子以降は1万5000円となります。そして、中学入学~卒業までは1万円です。
なお、一定以上の所得がある場合は1人当たり一律5000円です。
支給は年に3回です。6月(2月~5月分)、10月(6月~9月分)、2月(10月~1月分)にまとめて申請者の口座に振り込まれます。
申請は、現在お住まいの市区町村役場で「認定請求書」を提出し手続きをします。
また、手続き後は、毎年6月に「児童手当現況届」を提出することになります。
●児童扶養手当
児童扶養手当は、ひとり親家庭で18歳までの子供がいるときに受け取れます。児童手当と同じく、子供の人数や所得に応じて、受給できる金額は異なります。
子供が1人の場合、全額支給であれば4万3160円、一部支給であれば4万3150円~1万180円で金額が決まります。2人目の場合、全額支給であれば1万190円、一部支給であれば1万180円~5,100円、3人目以降の場合、全額支給であれば6,110円、一部支給であれば6,100円~3,060円が加算されます。申請者の所得により、受け取る金額が制限され一部支給や不支給となる場合があります。
支給は年に6回、奇数月に申請者の口座に振り込まれます。
申請は、現在お住まいの市区町村役場に「養育費に関する申告書」を提出し手続きをします。
手続き後は、毎年8月に「児童扶養手当現況届」を提出することになります。
●ひとり親世帯臨時特別給付金
ひとり親世帯臨時特別給付金は、低所得のひとり親世帯を支援する給付金です。
令和2年6月分の児童扶養手当の支給を受けた世帯や、遺族年金や障害年金などの公的年金を受給していることで令和2年6月分の児童扶養手当の支給が全額停止されている方は、1世帯あたり5万円+第2子以降1人につき3万円の基本給付金が受け取れます。
また、児童扶養手当の支給が全額または一部停止された世帯でも、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変するなどで収入が落ち込んで直近の収入が児童扶養手当の対象となる水準に下がった場合、基本給付金が受け取れます。さらに追加給付金も支給されることになりました。
基本給付金や追加給付金を受けるための手続きの詳細は、お住まいの市区町村役場でご確認ください。「ひとり親世帯臨時特別給付金」コールセンターも設置されています。
0120-400-903(受付時間:平日9時~18時)
●母子家庭の住宅手当
母子家庭の住宅手当は、ひとり親家庭で20歳未満の子供がいて、月額1万円以上の家賃を支払っているときに受け取れます。受給に際しての要件は市区町村によって異なりますが、申請者の所得や居住期間などの制限があります。
ただし、この制度は、全国共通の支援制度ではなく、市区町村独自のものになります。どのくらいの住宅手当が受け取れるかなど、お問い合わせや申請は、お住まいの市区町村に行ってください。
●ひとり親家庭の医療費助成制度
ひとり親家庭を対象に、世帯主や育てている子供が病気になり、病院で診察を受けた時に、通常3割負担している自己負担の一部を市区町村が助成してくれる制度です。助成の割合は、市区町村ごとに異なります。
助成を受ける要件には、申請者の所得による制限があったり、他の行政支援を受けていなかったりすることなどがあります。申請は、お住まいの市区町村役場にて行います。
●遺族年金
遺族年金は、夫婦のうち、夫もしくは妻と死別した場合に受け取れる年金です。受け取れる金額は、夫もしくは妻が、国民年金だけの加入なのか、厚生年金にも加入しているのかという種類や、加入期間などによって変わってきます。
また、夫や妻が亡くなったときの子供の人数、年齢などによって加算される金額も異なります。
給付額には、遺族年金は基礎部分の遺族基礎年金と上乗せ部分の遺族厚生年金があります。基礎部分は共通に受け取ることができ、年額78万1700円(2020年4月から)です。子供がいる場合、18歳になるまでの間は、第1子、第2子については22万4900円、第3子からは7万5000円ずつが加算されます。
申請は、お住まいの地域の社会保険事務所で行うことができます。
●児童育成手当
児童育成手当とは、18歳になるまでの子供を育てている母子家庭が受け取れます。子供1人につき、月額1万3500円が支給されます。
支給は年に3回、6月(2月~5月)、10月(6月~9月)、2月(10月~1月)にまとめて申請者の口座に振り込まれます。
申請は、現在お住いの市区町村になります。受給の要件には、申請者の所得制限などがあります。
シングル家庭で活用したい減免・割引手当
手当や助成は、収入を増やすためのものです。一方、減免や割引は生活に必要ですが負担となる費用を減らすための支援となります。どちらの制度もあわせて活用することで、身体や気持ちに余裕を感じることができるかもしれません。代表的なものを紹介します。
●寡婦控除(かふこうじょ)
寡婦控除とは、死別や離婚によってシングルマザーになった女性が受けられる所得控除です。寡婦控除は、年末調整や確定申告の際に所得から差し引く経費となるため、税金を安くする効果があります。
寡婦控除を受けるための要件を満たすことで、27万~35万円の控除を受けることができます。具体的な要件の確認や相談は、お住まいの地域の税務署でできます。
●国民健康保険の免除
前年よりも所得が大幅に減少した場合、病気やケガで生活が困難になってしまった場合などがあれば「国民健康保険料の軽減措置」を活用しましょう。ひとり親家庭に限らず、すべての人が対象となります。
もし、国民健康保険料を支払わないままだと、ケガや病気になっても病院に提出する健康保険証がありません。したがって万一、治療をすることになれば治療費を全額負担することになります。自治体によっては、申請者の所得ごとに、独自の減額や免除制度がある場合もあります。申請は、現在お住まいの市区町村役場の健康保険課でできます。
●国民年金の免除
国民健康保険の免除と同じく、失業などで所得がなくなったり、収入が少なくなったりした場合などは、年金を納めたくても納められないことがあります。そのような場合は「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」を活用しましょう。
もし、国民年金保険料を支払わないままであったら、後から請求されます。万一、放置し支払わないままであれば、将来年金を受け取るときに、減額されたり、受け取れなかったりということもあります。そうならないためにも、支払いが困難だと感じた場合の申請はお早めに。お住まいの市区町村役場の国民年金課、もしくは社会保険事務所でできます。
●電車やバスの割引制度
児童育成手当を受給している場合、電車やバス運賃の割引制度があります。自治体ごとに、割引制度の内容が異なりますが、一般的にJR通勤定期乗車券は、3割引と設定されたり、世帯の中の1人に対して、都営交通(都電・都バス・都営地下鉄など)の全区間に対して無料乗車券が発行されたりします。申請は、お住まいの市区町村役場でできます。
●粗大ごみの手数料に対する減免
粗大ごみを処理する際にかかる手数料が減額、免除される制度です。自治体ごとに、対象となる粗大ごみのサイズ、減免される回数などに違いがあります。減免を受ける要件は、児童扶養手当やひとり親家庭の医療費助成制度をうけている家庭などがあります。申請は、お住まいの市区町村役場でできます。
●上下水道料の割引
上水道料金・下水道料金の基本料金などが減額、免除される制度です。自治体ごとに、どのくらいの割合において減免されるか違いがあります。減免を受ける要件は、児童扶養手当を受けている家庭などになります。申請は、都道府県の水道局、お住いの地域を管轄するサービスステーションでできます。
シングルマザーの自立支援教育訓練給付金
シングルマザーが子供を育て生活をするためには、安定的な収入が必要になります。実際のところ、直近までは主婦で会社での就業経験が短いケースなどの場合、企業ニーズと差異が生まれることがあります。また、子供が小さいと、フルタイムでの就業が難しく、安定的な収入に結びつかない場合もあるでしょう。そのような、シングルマザーが自立をするため、支援する制度が「自立支援教育訓練給付金」です。
●自立支援教育訓練給付金
対象として認めた教育訓練を受講し、終了した場合に経費の60%(最大80万円)を受け取ることができる制度です。対象は20歳以下の子供を持つシングルマザーで、児童扶養手当を受けているか同じくらいの所得水準であること、またはシングルマザーの就業経験、就業スキルなどを考慮し、必要だと判断された場合です。
実際に対象となる講座は、雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座と、その他都道府県等の長が地域の実情に合わせて認定した講座です。具体的には、パソコンの操作、ウェブデザインなどのビジネススキル、英語などの語学スキル、歯科衛生士や保育士、栄養士などの医療や社会福祉業界で生かせる資格など幅広い選択肢から選ぶことができます。
また、資格取得までにそれなりの期間を必要とする介護福祉士、看護師などは、高等職業訓練促進給付金の制度も合わせることで、取得が可能になります。長期的なキャリア形成を立て、安定的な生活基盤を築くための制度になります。申請は、お住いの市区町村役場でできます。
まとめ
ひとり親世帯が多いということもあり、収入、支出の両面からさまざまの支援制度があります。実際に活用するためには、自ら動き情報収集をすることが大切になります。今までは所得制限で受給できなかった給付金も、コロナ禍で所得が減った場合などは対象となるケースもあります。悩みがあったとしても、一人で抱え込まず、いろんな行政の窓口に積極的に相談を持ち掛けてみましょう。
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舟本美子 ファイナンシャルプランナー
「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー
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