20/04/05
貧乏を招く投資信託10のワナ
資産運用の入門編として人気の投資信託ですが、儲けるどころか、なぜか損ばかりする人がいます。それは、知らず知らずにやっている貧乏になる習慣のせいかもしれません。投資信託で陥りがちな「貧乏になる投資信託」の習慣を10個ご紹介します。
貧乏になる投資信託10のワナ①:販売手数料の高い投資信託を買ってしまう
投資信託を買うときには、販売手数料がかかる場合があります。この販売手数料をあまり意識しない人は貧乏になるかもしれません。
販売手数料は、投資信託の購入時に「購入金額の○%」という具合に引かれます。ですから、たとえば販売手数料が3%かかる投資信託を10万円分買った際には、いきなり最初に3000円引かれて、9万7000円からの運用スタートとなります。
つまり、販売手数料は確実に資産が減るコストなのです。
貧乏になる投資信託10のワナ②:ネットで投資信託を買えば販売手数料が無料なのに金融機関の窓口で買っている
投資信託の販売手数料は、投資信託を購入する金融機関によっても違う場合があります。つまり、全く同じ投資信託でも販売手数料がかかる場合とかからない場合があるということです。販売手数料がかからない投資信託を「ノーロード」といいます。
ノーロードの投資信託は一般に、店舗を構える銀行や証券会社よりも、ネット証券に多くあります。購入の際には必ず意識しましょう。
貧乏神と手を切るには、無駄なコストを払わないこと。投資信託はなるべくネット証券で買うことをお勧めします。
貧乏になる投資信託10のワナ③:信託報酬が高い投資信託を買う
信託報酬とは、投資信託を保有している間にかかる手数料のこと。保有しているだけで毎日引き落とされるので、運用成績が振るわなければ、気がついたら資産が減って貧乏になってしまう……なんてこともありえます。
投資信託を選ぶ際、この信託報酬は最も意識すべきコストです。一般的には、市場との連動を目指すインデックス型より、市場を超えることを目指すアクティブ型の方が高く設定されています。また、後で紹介する「テーマ型」「毎月分配型」などの商品も、信託報酬が高い傾向にあります。
同じカテゴリーの投資信託でどちらにすべきか悩んだら、信託報酬額で決めると良いでしょう。
貧乏になる投資信託10のワナ④:過去の騰落率だけを見て投資信託を選んでいる
投資信託のデータには「騰落率」が記載されています。これは、過去の一定期間でどれだけ増えたか(減ったか)を示す割合です。騰落率が高いほどこれまで利益を出してきたことを表します。投資信託の検索サイトなどでは、騰落率の高い順に並び替えできるものもありますから、ついチェックする方もいるのではないかと思います。
しかし、過去の騰落率はあくまで過去のもの。これから先のパフォーマンスを保証するものではありません。過信は禁物です。
貧乏になる投資信託10のワナ⑤:金融機関の「人気ランキング」の投資信託を買う
投資信託を買おうと金融機関の窓口に行ったら「人気ランキング」にある投資信託を勧められ、つい買ってしまった……。この行動は貧乏へまっしぐらです。
なぜなら、金融機関の「人気ランキング」とは、顧客がその投資信託を評価して買いたいと思った商品を反映しているのではなく、「金融機関」にとって手数料が高く儲けとなる「売りたい商品」を積極的に売った結果だからです。「人気があるなら大丈夫」、ではなく、自分の性質に合った投資信託を選ぶようにしましょう。
貧乏になる投資信託10のワナ⑥:急激に純資産総額が減少しているファンドを買う
純資産総額とは、投資信託に組み入れられている資産の合計金額のことです。この純資産総額がどんどん減っている場合、十分なポートフォリオを組めないなど運用に支障をきたす恐れがあります。そうなると、運用が途中で終了(繰り上げ償還)してしまうことも。
長期保有で買ったはずなのに途中で断たれるために複利効果が得られないばかりか、仮に償還日にかけて購入時より基準価額が下落していた場合、損失が確定してしまいます。自ら貧乏に手を差し出すことはありません。
貧乏になる投資信託10のワナ⑦:毎月分配型の投資信託を大事に保有し続ける
保有しているだけで、分配金を毎月もらえる毎月分配型の投資信託。これは福の神の投資信託だわ、と喜んでいたら、実は大きく元本が減っていて貧乏神だった、ということはよくあります。
実は、毎月分配金を出せる投資信託は運用成績も良い、というわけではありません。元本を取り崩して無理やり配当していることも多いのです。この場合、純資産総額は減ってしまいますので、複利効果が受けにくくなってしまいます。
さらに毎月分配型には販売手数料と信託報酬が高い商品が多いのです。コストは確実に資産を減らしてしまいます。
貧乏になる投資信託10のワナ⑧:テーマ型の投資信託を買う
新しもの好きのAさん。営業マンに勧められ、話題の「AI(人工知能)」をテーマにした投資信託を購入しました。ところが、半年は利益が出たもの、その後投資信託の基準価額が大きく下落し、資産も大幅に減少してしまいました。
ロボット、AI、バイオなど旬なテーマを扱う投資信託は貧乏になりがち。なぜなら、テーマ型は手数料が高い割に、好成績を出し続けるのが難しいからです。株式市場において旬なテーマはまさに今が「旬」であって、投資家の関心はすぐに新しいテーマに移ります。すると、古くなったテーマは忘れ去られるのが宿命なのです。株価下落とともに投資信託の運用成績も悪化します。
貧乏になる投資信託10のワナ⑨:通貨選択型など仕組みが複雑な投資信託
通貨選択型や先物・オプションを使った複雑な投資信託は「なんだか難しそうだけど、儲かりそう! 」と思ってしまいがちです。
ところが、複雑な仕組みの投資信託は、手数料が高めに設定されていますし、同時に高いリスクも取っています。そのうえ、その値動きも理解し難いものです。
貧乏に陥らないためにも、仕組みが理解できないハイリスクなものは手を出さないことが賢明でしょう。
貧乏になる投資信託10のワナ⑩:ファンドラップに預ける
ファンドラップとは、ある程度のまとまったお金を証券会社や信託銀行に預けて、投資のプロに資産運用をお任せできるサービスです。
「資産運用はよくわからないし、プロにお任せなら大丈夫だろう」と安心しているようならば危険。お金が減っているかもしれません。
ファンドラップは、プロに丸投げできるメリットはありますが、そのためのコストが高すぎるのが問題です。年3%程度のコストがかかるということは、年3%以上の利益をあげる運用しないと預けた資産は目減りすることになります。今の時代で3%以上の利回りを得るのはそう簡単ではありません。金融機関にとっては手数料が高く儲かる商品であっても顧客にとっては損となる可能性があるのです。
まとめ
お金を増やすためにせっかく買った投資信託なのに、貧乏になる習慣のために損をしてしまうなんてナンセンス。
もしこれまでお伝えした10個の習慣の中で当てはまるものがあれば、さっそく見直して、効率的にお金を稼げる資産運用を目指しましょう。
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岡田 禎子 「投資は面白い」がモットーなFP日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャル・プランナー(CFP)
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴しさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう、執筆とセミナーなどで活動中。
TVドラマ「インベスターZ」の脚本協力なども行なっています。
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