20/01/08
2020年度も火災保険料値上がり…必要な補償を賢く手に入れるポイント5選
近年、全国で多発する大規模な自然災害や、建物の老朽化が原因とみられる水濡れ損害の増加等により、保険金の支払いが増加傾向にあります。それに伴い、2019年10月に複数の損害保険会社が保険料の改定を行いました。実質的な値上げになりましたので、少なからず家計に影響を受けている家庭があるかもしれません。
そこで、これから新たに火災保険契約を行う方や、2020年中に現在の契約が更改を迎える方が必要な補償を賢く手に入れるために押さえておきたい5つのポイントをお伝えします。
火災だけでなくさまざまなトラブルを補償してくれる火災保険
その前に、火災保険とは、そもそもどんなものなのかを見ていきましょう。
火災保険は火災だけではなく、下記のような災害や事故によって建物や家財に生じた損害を広く補償してくれる保険です。なお、地震による損害については火災保険では補償がありませんので、別途特約で付加する必要があります(地震保険単独の加入はできません)
・火災保険の主な補償
火災保険の対象は、居住している建物そのものにかける「建物」と、家具や家電製品などの「家財」があります。火災保険は建物と家財両方にかけることもできますし、建物のみ、家財のみにかけることもできます。
火災保険の保険料は参考純率に合わせて値上がりする
火災保険料はどのように設定されているのでしょうか。
2019年10月に損害保険料率算出機構が参考純率(支払われる保険料のうち、保険金に当てられる部分の割合)を平均4.9%引き上げると発表しました。損害保険各社はこの参考純率に自社の付加保険料率を独自に算出して加算し、保険料率を設定します。
一般に、保険料率は建物の所在地(都道府県)や構造(建物の造りや耐火性能等)、築年数等により異なります。よって、一律に「○○円値上げ」ということにはなりません。とはいえ、参考純率の数値と大幅には変わらないため、保険料もおおよそ5%程度値上がりすることになると考えられます。
必要な補償を賢く手に入れる5つのポイント
火災保険の保険料が値上がりするからといって、保険料を安くしようとするあまり、必要な補償を省いてしまうと、もしものときに十分な補償が受けられなくなってしまいます。それを防ぎつつ、保険料を上手に節約するためのポイントを5つ紹介します。
●必要な補償を賢く手に入れる5つのポイント①:契約期間や支払い方法による割引を活用する
保険期間が2~10年で保険料の払込方法を年払い、分割払いまたは一括払いにした場合、保険料が割引になる場合があります。通常、保険期間10年の契約が最も割引率が高くなります。
また、オール電化住宅割引、ホームセキュリティー割引、建物+家財の契約セット割引等がある会社もあります。地震保険にも割引制度がありますので、あわせてチェックするのをお忘れなく。
●必要な補償を賢く手に入れる5つのポイント②:免責金額を設定する
免責金額とは、事故が発生した場合に支払われる損害保険金のうち、契約者が自己負担する金額のことです。設定することにより保険料を抑えることができますが、免責金額を高く設定すると、もしものときの自己負担額が大きくなるので、注意が必要です。免責金額「なし」を選ぶことも可能です。
●必要な補償を賢く手に入れる5つのポイント③:建物だけでなく、家財にも補償をつける
災害や事故の時には建物だけでなく、家財も損害を受けます。火災時の焼失や損壊はもちろん、過去の大規模地震発生時には、部屋の中のタンスや冷蔵庫等の大型家具が倒壊する被害が続出しています。これらの家財にも補償を付けておけば、壊れていなくても査定により補償対象となる場合があります(各保険会社の査定判断によります)。ですので、ここは削らず補償をつけるべきでしょう。
万が一被害に遭った時には、現場の写真を撮り、日付・時刻・原因等を記録として残しておくと、保険金の請求手続き時に役立ちます。
●必要な補償を賢く手に入れる5つのポイント④:地震保険は加入がベター。ハザードマップ等で水災補償の必要性を確認
地震大国である日本に居住するうえで、地震保険は必要な保険です。しかしながら2018年末時点の世帯加入率(全国)は32.2%に留まっています。
地震保険は、地震の揺れにより発生した倒壊などの損害だけでなく、以下のような損害も補償します。火災保険のみの契約では、地震により発生した火災は給付対象外となります。
・地震保険の主な補償
また水災補償は、大雨が原因の土砂崩れや落石、融雪洪水・高潮・河川の氾濫等による損害を補償します。契約者が付加を選択できますが、保険加入時や見直し時には、市区町村のハザードマップを見るなどして、過去の自然災害の状況、傾斜地ではないかなどをチェックし、水災補償の必要性の有無を確認しておきましょう。
マンションの2階以上に居住している場合でも、建物が山の斜面に面していたり、それらが近くにあったりする場合には水災補償を付けておくことをおすすめします。
●必要な補償を賢く手に入れる5つのポイント⑤:個人賠償責任特約を活用する
個人賠償責任特約は、本人または家族が日常生活において他人にケガを負わせたり、他人の物を壊したりして法律上の損害賠償責任を負った場合に備える特約です。例えば神奈川県のように、自転車保険などへの加入が義務となっている場合、自宅の火災保険契約にこの特約が付いていると、別途自転車保険への加入が不要になります。
他にも、水まわりのトラブル対応や、玄関の鍵を紛失した時の応急サービス、電話相談サービスなど、無料で付いているサービスがありますので、上手に活用すれば出費を減らせます。
まとめ
2018年夏に起きた西日本豪雨。自宅が棟ごと濁流に飲み込まれてしまった女性が、テレビカメラを前に呆然と話していた姿が忘れられません。「まさか自分の家が流されるなんて、思ってもみなかった」と。
地球温暖化の影響により、自然災害の発生頻度が年々高まっています。今後、南海トラフ地震をはじめとする大地震の発生も気がかりです。新しくても古くても大切なマイホーム。しっかり長く守るために、補償内容をきちんと把握しましょう。そうすることで、必要な補償を受けつつ、保険料も抑えることができるでしょう。
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小河由紀子 「発達障害がある子」を育てる親御さんを元気にするFP
神奈川県出身。結婚・出産後に産婦人科で医療事務に従事。一念発起してCFP®と日商簿記2級の資格を取得。お金の勉強と数字の楽しさに目覚める。その後保険代理店勤務などを経て、2018年に独立系FPのためのプラットフォーム会社に所属。翌2019年に「FPオフィスOgawa」を開業。顧客がお金に振り回されず、自らコントロールする力を身に着けてもらえるよう、分かりやすい言葉で現実的なアドバイスを行っている。FP Cafe登録パートナー
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