19/12/27
養育費算定表改定で養育費が2万円アップ! 見方とケース別シミュレーション
養育費算定の基準として使われている裁判所の「養育費算定表」が、令和元年12月23日、16年ぶりに改訂されました。新しい養育費算定表に従うと、従来よりも養育費がアップするケースがあります。今回は、改訂後の養育費算定表で金額がどう変わるかをシミュレーションしてみます。
「養育費算定表」が変更になり養育費の金額が変わった!
子供がいる夫婦が離婚するときには、養育費の金額を決めなければなりません。離婚調停や離婚訴訟など、裁判所で養育費を決めるときの基準となっているのが「養育費算定表」です。養育費算定表は一般にも公表されているので、話し合いによる協議離婚の場合にも活用されてきました。
ところで、養育費算定表の金額は低すぎるということが近年ずっと言われ続けていました。母子家庭の貧困が社会問題になっていることもあり、今回16年ぶりに算定表が見直されることになったのです。
新しい養育費算定表は、12月23日より裁判所の ホームページ で公表されており、誰でも見ることができます。
養育費算定表の見方は?
養育費算定表は子供の年齢と人数から、次の9つの表に分かれています。
・表1 子1人表(子0~14歳)
・表2 子1人表(子15歳以上)
・表3 子2人表(第1子及び第2子0~14歳)
・表4 子2人表(第1子15歳以上、第2子0~14歳)
・表5 子2人表(第1子及び第2子15歳以上)
・表6 子3人表(第1子、第2子及び第3子0~14歳)
・表7 子3人表(第1子15歳以上、第2子及び第3子0~14歳)
・表8 子3人表(第1子及び第2子15歳以上、第3子0~14歳)
・表9 子3人表(第1子、第2子及び第3子15歳以上)
●養育費算定表のイメージ
それぞれの表では、縦軸が義務者(多くは父親)の年収となっており、横軸が権利者(多くは母親)の年収となっています。
養育費を決めるときには、各家庭に該当する表を選び、縦軸と横軸が交わったところの金額を確認します。養育費の金額は「0~1万円」「1~2万円」「2~4万円」「4~6万円」など、1~2万円ごとの区分で表示されています。
なお、養育費算定表で養育費を算定できるのは、子供が3人までの夫婦です。子供が4人以上いる場合や、複数いる子供が双方の親に別れて引き取られる場合には、算定表で養育費を算出することはできません。算定表に該当しないケースについては、弁護士に相談するなどしてください。
改訂版養育費算定表での養育費のシミュレーション
改訂版の算定表では、養育費の区分が1つ上がり、従来よりも1~2万円養育費が増加する人が多くなっています。
具体的にシミュレーションしてみましょう(※以下では夫も妻も給与所得者と仮定して算定しています)。
●ケース1 夫・年収500万円、妻・年収200万円、5歳の子供1人
旧算定表では養育費は2~4万円ですが、新算定表では4~6万円です。
●ケース2 夫・年収1000万円、妻・年収300万円、16歳と13歳の子供計2人
旧算定表では養育費は12~14万円ですが、新算定表では14~16万円です。
以下のように、従来と金額が変わらないケースもあります。ただし、金額が減るケースはありません。
●ケース3 夫・年収400万円、妻・年収200万円、1歳の子供1人
旧算定表でも新算定表でも、養育費は2~4万円です。
●ケース4 夫・年収500万円、妻・年収500万円、8歳と4歳の子供計2人
旧算定表でも新算定表でも、養育費は4~6万円です。
まとめ
改訂版の養育費算定表では養育費の金額が増えるケースがありますが、劇的に増えるわけではなく、金額が変わらないケースもあります。子供を安心して育てていくために、算定表の金額で十分とは言えない状況は変わりません。
協議離婚の場合には、夫婦の話し合いで養育費の金額を自由に決めることができます。また、各家庭の事情によっても必要な金額は変わってくるはずです。
算定表だけを頼りに養育費を決めるのではなく、子供を育てていくために必要な金額をできるだけ具体的に見積もり、それを夫婦でどう分担するかを話し合うようにしましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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