19/10/13
あなたがもらえる退職金はいくら? 大企業と中小企業で1000万円差がある退職金事情
お勤め先から将来、退職金がいくらくらいもらえそうかご存知ですか?
ご自身の退職金額については知らない方が多いものです。そもそも、退職金はないと思い込んでいる方もよく見かけます。
今回は、みなさんがどのくらい退職金をもらっているか、最新のデータを確認しながらご紹介します。
退職金制度のある会社は約8割
厚生労働省「就労条件総合調査」では、5年ごとに会社規模別(従業員の人数別)の退職金制度の状況を調査・公表しています。
退職金制度のある会社はどのくらいあるのでしょうか。2013年調査と2018年調査の結果を並べて見てみましょう。
○退職金制度のある会社の割合(会社規模別)
厚生労働省「就労条件総合調査」より作成
全体で見ると、2018年調査は2013年調査より5%上昇。約8割の会社が退職金制度を導入していることがわかります。また、企業規模が大きいほど退職金制度の導入率が高くなっています。従業員1000人以上の規模の会社の導入率は少しだけ減っていますが、それ未満の規模の会社の導入率は増加しています。
なお、このデータには30人未満の会社が入っていません。そこで参考までに、10人~299人の都内中小企業を対象とした「2018年版中小企業の賃金・退職金事情」をみると、退職金制度の導入率は71.3%となっています。ですから、会社規模が小さくなるほど導入率は低いとみてよさそうです。
また、退職金制度には、一度にまとめてもらう退職一時金制度と、年金の形でもらう退職年金制度があります。
全体で見ると、一時金のみの会社が増え、年金の会社が減っています。
○退職金制度の形態別の割合
厚生労働省「就労条件総合調査」より作成
なお、こちらも規模が大きい会社ほど、年金制度のある会社・両制度併用の会社が増える傾向にあります。
大企業と中小企業の退職金額の違い
次に、企業規模、学歴別の退職金額を確認してみましょう。
大企業の退職金額は2年に一度、経団連により経団連加盟企業を調査対象とした「2018年9月度退職金・年金に関する実態調査結果」から、中小企業の退職金額は東京都産業労働局による従業員10~299人の会社を調査対象とした「2018年版中小企業の賃金・退職金事情」から見ていきます。こちらも、前回調査のデータと比べて見てみましょう。
〇大企業
※管理・事務・技術労働者が60歳で定年退職した場合の退職金額
〇中小企業
※全産業の平均退職金額
退職金額は前回調査と比較すると大企業は減少、中小企業は増加となっています。学歴での差は気になるほどではないかなと思います。
しかし、気になるのは、企業規模での差ですね。大企業と中小企業の退職金額には、約1000万円の差があります。
自分の退職金はいくら? 少なかったらどうする?
みなさんの会社の退職金額、気になってきましたか?
今回、ご紹介したデータはあくまでも平均額ですので、大企業、中小企業に関わらず会社によって退職金額は違ってきます。「まあ、いくらかは貰えるだろう」と軽く構えていると、退職時に思った以上にもらえず、大慌てしてしまう…なんてことにもなりかねません。
きちんと、ご自身の将来のために退職金を確認しておきましょう。
ご自身の退職金額を知るには、会社の総務や人事といった担当者に聞くのが一番簡単です…というと、たいてい「そんなこと会社に聞きづらい」という反応が返ってきます。
でも、退職金は退職後の生活資金となる大切なみなさんの資産です。知って当たり前の気持ちで会社の担当者に聞いてみてください。
筆者の経験上、最初は退職金について聞くことを躊躇していた方も、少しの勇気を出して聞いてみたら、「ちゃんと教えてくれました!」といわれる方がほぼ100%です。
では、退職金を確認して「思いのほか少なかった」あるいは「ない」なんてことになったらどうしましょう?
少ない、ないなりの将来の生活資金作りに、早急に取りかかる必要が出てくるでしょう。貯蓄もあまりできていない状態でしたらなおさらですね。
2019年は金融庁が「老後資金は2000万円不足する」と発表し、話題になりました。
当然、個人差はありますが、2000万円不足というのはそれほど的外れな金額ではありません。将来の生活費を公的年金では足りない分をカバーするのに必要な平均的な金額ともいえるのです。
もし、退職金だけでは退職時に貯蓄が2000万円にも届きそうになく将来が不安と感じられるなら、少しでも早く家計の見直しをして、将来のためにお金を残せるようにしていきましょう。
その際活用いただきたいのが、税制優遇を受けながらコツコツ、少額から積立投資ができる「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」です。
どちらも、積立投資で得られた利益(運用益)に税金がかからないため、お金を効率よく増やすことが目指せます。また、iDeCoは投資した金額(掛金)が全額所得控除になるため、所得税・住民税を節約できます。
まとめ
退職金は会社の規模等にもより導入率や金額は大きく異なることがご確認いただけたかと思います。退職金の有無や金額で老後の資金計画は大きく変わってきます。少ないならば自ら用意することも必要になってくるでしょう。
会社の方は意外とやさしく教えてくれるはずです。退職金は大切な将来の生活資金なのですから、しっかりと問い合わせて確認しておきましょう。
つみたてNISA(積立NISA)おすすめ金融機関4選
つみたてNISA(積立NISA)スタートにぴったりの金融機関をご紹介します。
● SBI証券
・ほとんどの投資信託を網羅。有力商品を選びやすい
・毎日・毎週・毎月・複数日・隔月の5つの購入タイミングを選べる
・SBIハイブリッド預金を使うと入金・出金がスムーズ
● マネックス証券
・取扱商品が100本以上。100円から購入可能
・チャットによる質問対応、パソコン出張サービスなどサポートが充実
・アプリ・パソコンツールが豊富で使いやすさに定評
● イオン銀行
・イオン内に店舗があるため、買い物ついでに立ち寄れる
・年中無休で夜21時まで営業(一部例外あり)のため、相談しやすい
・「イオン銀行Myステージ」のポイントが貯まり、普通預金金利がアップ
【関連記事もチェック】
・退職金貧乏に陥る7つの罠
・「退職貧乏夫婦」の4つの罠。退職金持ち夫婦になるには?
・退職金の使い方次第で「定年ビンボー」に!3つの失敗例と対策
・みんなが気になる退職金の金額。いくらもらっている?
・退職金がなくても大丈夫!自営業者が活用できる年金・共済制度を紹介
小林 裕子 ひろファイナンシャルプランニング代表 CFP ・1級FP技能士
2008年FP相談業務開始。2014年事務所運営スタイルを金融機関等からの紹介手数料を一切得ず、報酬は顧客からの相談料のみとするフィーオンリーへ移行。「ファイナンシャルプランニングは100人100様」をモットーにライフプランの実行支援を行っている。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう