16/05/06
シングルマザーになった時に国からもらえるマネー事情
映画好きな筆者が夜な夜な、時折観るのが名の知られていないフランス映画。
アバンチュールな恋と、型にはまらない夫婦像、そして別れ―。
世界の離婚率はどうなっている? 日本は主要国中6位
フランス人は結婚をして離婚する割合が、世界的に多いとわれますが実は、統計では主要国のうち世界5位。
1位はロシア。とある統計では、結婚したうち8割が離婚に至るとのデータもあります。
2位はアメリカ。2組に1組が離婚に至るものの、州によって大きな差がある様で、貧富の差が婚姻生活の長さに影響を及ぼす例としては、非常に分かりやすいものです。
平均年収の高いニューヨーク州が日本とさほど変わらないのに比べ、3倍以上の離婚率になる州もあるようです。
さて、私たちの国、日本はどうでしょうか。
日本は主要国中6位です。厚生労働省の平成26年度人口動態統計によると、64万3749組が婚姻し、22万2107組が離婚したというデータ。つまり、約35%が離婚するということになる訳です。
意外と少ない「扶養手当」
最近ではシングルや離婚経験というのは珍しくなく、筆者自身周りの人には周知の事ですが、意外と知られていないのが、離婚後のマネー事情。
子供を養育していると、「働かなくてもお金がもらえるのでしょう?」など、生活保護制度と混在されている現状をよく耳にしますし、実際に言われたこともありました。
離婚後に政府から支給されるお金は、養育している児童がいる場合「児童扶養手当」というものがあります。これは、子供のいない夫婦の場合は、当然対象にはなりませんし、扶養児童がいたとしても、所得が一定の水準以上にある場合は、支給対象から外れます。
皆さんは一定水準とは、どの程度だと思われますか?
日本の平均所得は国税局のデータによると、平成26年民間人で約415万円。この金額は、子供を養い、住宅費をねん出していくには十分な金額とは、誰もがうなずける数字ではないものですが、「児童扶養手当」の給付上限はなんと、子供1人(税法上扶養者の人数を指します)の場合、所得額は57万円以下です。年間の所得額57万円は、収入額(額面)では230万円になります。
年間所得57万円、収入が230万円に対して、毎月の給付額は42,330円、これが最高額になります。2人目の子供には5,000円の加算、3人目には3,000円の加算です。
年間所得が230万円以上になると、1円も給付されません。「思ったほどもらえないのね」というご意見が聞こえて来ると思いますが、これが現実です。
扶養手当の「所得」の算出には、確定申告には記載されない「養育費」などの加算も入ります。
また、毎年8月に役所に直接出向き、現状の養育費の現状などを申告する必要があります。
余談ですが、平成22年8月より従来同制度が「母子家庭」に限定されていたものが、「父子家庭」にも適用されるようになりました。
また、平成28年8月より、離婚に至らずとも、DVなどの被害により裁判所より保護命令が出ている養育者に対し、支給範囲が拡大されました。
片親で子供を養育する場合は、「医療費減免」がある市町村も
片親で子供を養育する場合、恩恵を受けることができる制度は主に、他2つあります。
1つは「ひとり親家庭医療費助成制度」。
医療機関に係った際、通常3割負担の窓口で支払う医療費が、無料になる市町村もあります。
ちなみに筆者が在住する大阪の某市は、1回500円、ひと月あたり外来診察1,500円が上限となります。となりの市が無料に対して、近隣でも差があるものです。
各市町村によって差があるため、詳しくはお住まいの役所で聞いてみるといいでしょう。
もう1つは、「給付」ではありませんが減税効果がある「寡婦控除」です。
この制度は子供を養育している必要はなく、「寡婦」ですから「女性」に限った制度であり、所得が500万円以下という条件のもと控除額が27万円です。子供を扶養している場合は、「特定の寡婦」に該当し、控除額は35万円になります。
ちなみに、寡婦控除の男性版の「寡夫控除」も合わせて覚えておきましょう。こちらは、男性の納税者が寡夫の場合に27万円の所得控除が受けられるのが「寡夫控除」です。要件は、「特定の寡婦」と同じです。
いかがでしょうか。
離婚により受け取れるお金は、「慰謝料」などはよく聞くものですが、公的な助成は意外に限られているものなのです。
離婚が珍しくなく、またシングルで子供を育てる家庭も珍しくないこのご時世に、財政難のわが国、日本が手厚い保障をもってくれるという甘い現実はありません。
冒頭のフランス映画の様に、甘く、冷たく、自立した人生は遠い国の話ではなく、私たちの身の回りに起こるありふれた話なのです。
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佐々木 愛子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種
国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。
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