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20/12/22

相続・税金・年金

年金75歳繰り下げで「84%増」の落とし穴。手取りは何%増えるのか

公的年金をもらい始める時期を遅らせて金額を増やす「繰り下げ受給」に関心が高まっています。1カ月遅らせるごとに受給額は0.7%増えるため、将来「繰り下げ受給」を選択して、割り増し年金をもらおうと考えている人は少なくないと思います。しかしながら、年金から税金や社会保険料を差し引いた手取り額に換算するとどれくらい増えるのかはあまり知られていません。そこで今回は、手取り額でみた繰下げ受給の損得について解説します。今後受給開始時期を決める際の参考にしていただければと思います。

75歳からの年金受給で84%も年金を増やすことが可能に!

2020年5月29日に年金制度改正法が可決・成立し、2022年度より新しい運用がスタートします。これにより、現行では、70歳となっている繰下げ受給の上限年齢が、75歳に引き上げられることがニュースでも話題になりました。

今回の法改正により、年金の受給開始時期は、60歳から75歳までの15年間での選択が可能になり、75歳での繰り下げ受給の年金の増加率は、84%(0.7%×120月)となります。
例えば、老齢厚生年金が月額13万円、老齢基礎年金が6万6000円の人が75歳まで繰下げると、老齢厚生年金は約24万円、老齢基礎年金は約12万円になり、大幅に増加します。

●繰り下げ受給時の年金の増加率

※66歳以降は1カ月繰り下げるごとに0.7%ずつ増額

今回の改正で、今の現役世代が将来的に年金を受給する開始時期は、「60歳から75歳の間で個人が希望する時期」と選択肢が広がり、ご自身のライフスタイルに合った開始時期を選ぶことができるようになりました。
なお、老齢厚生年金と老齢基礎年金は、同時に繰り下げることも、別々に繰り下げることもできます。

手取り額でみた繰り下げ受給の損得

しかし、繰り下げ受給には最大の落とし穴があることにも注意が必要です。繰り下げ受給は、繰り下げる期間が長いほど、受給する年金額は高くなります。だからと言って75歳受給が有利だとは言い切れないのです。理由は、年金額の増額に合わせて税金や社会保険料等の負担額も増額するためです。この影響を加味した場合、実際に増加する年金額はどのようになるのでしょうか、検証してみたいと思います。

65歳、70歳、75歳の受給開始年齢を設定し、75歳時点での税金や社会保険料等の負担と手取り額の試算をしてみました。

●60歳・70歳・75歳時点での手取り比較(65歳で年金額180万円の人のケース)

[参考情報]
・老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計年金額が180万円の単身者のケース
・65歳以後の収入は年金のみ・年金にかかる所得税・住民税の額は変化しない前提で試算。
なお、住民税・国民健康保険料(後期高齢者医療保険)と介護保険料は、住んでいる都道府県、市町村によって異なりますので実際の額とは異なります。また、年度ごとにその計算方法も変更されるため、一つの参考としてご確認ください。

上の表では、65歳、70歳繰り下げ、75歳繰り下げの年金受給額、それにかかる税・社会保険料の額と、年金受給額から税・社会保険料負担額を差し引いた実際の受給額を「手取り額」として記載しています。

70歳まで繰り下げた場合、年金額は42%増加しますが、税・保険料負担額は繰り下げなかった時と比べ、9.8%から15.4%へ上昇します。同様に、75歳まで繰り下げると年金額は84%増加しますが、税・保険料負担額は繰り下げなかった時と比べ、9.8%から18.0%と約2倍の負担増に。その結果、手取りの年金でみると、67.4%しか増えないのです。

繰り下げ受給をすると年金額は増えますが、税金・社会保険料の負担も同時に増えるため、手取りはそこまで増えないことがわかります。

思いのほか重くなる税・社会保険料負担

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。この理由は税や社会保険料の負担の仕組みを理解すると明らかです。

所得が少ない場合または0の場合、社会保険料の軽減措置により相対的に社会保険料負担が小さくなります。例えば、年金収入が比較的少ない人は住民税が非課税になり、自治体によっては介護保険料が減免になるなど負担軽減の対象となるケースがあります。つまり、年金受給額で住民税がかからない範囲である場合には社会保険料の負担も小さくなり、受給額に対して手取り額は大きく減ることはありません。

しかしながら、繰り下げ受給して住民税が発生する年金受給額になると所得税も発生し、社会保険料の負担も大きくなることから、受給額に対する手取り額の割合が相対的に減ってしまうのです。

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医療費・サービスの自己負担増加にも目配りを

また、医療費の最終的な自己負担額(高額療養費)についても、目配りが必要です。
例えば、介護保険や後期高齢者医療保険、国民健康保険では、収入が一定額を超えると現役並み所得者とみなされ、保険料負担の増加に加えて、サービスや給付を受ける際の自己負担割合が高まってしまうことにもつながります。
このような点も繰り下げ受給を検討する際には、見逃すことができません。繰り下げることにより、どのくらい負担が増えるのかについて請求前にきちんと確認しておくことが大切です。

まとめ

繰り下げ受給のメリットは、繰り下げて増額した年金を終身受け取ることができるという安心感にあります。人生100年時代といわれるようになり、思わぬ長生きをする可能性を考えると、繰り下げるという選択肢もあり得ると思います。老後の年金対策の一つとして、繰下げ受給を含めて、生き方や人生設計に合わせた年金の受給スタイルを考えてみて下さい。

KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士

長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。

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