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22/05/02

相続・税金・年金

「親よりも年金が少ない」ねんきん定期便を見て焦った人の年金チェックポイント

「親よりも年金が少ない」ねんきん定期便を見て焦った人の年金チェックポイント

50歳以上の人の場合、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」を見ると、老後の年金見込額を知ることができます。でも実際に、年金見込額を確認した人は、「親よりも年金がかなり少ない」と感じるかもしれません。今回は老後の年金額が減ってきている現状をふまえ、年金が少ない場合の対策について説明します。

老後もらえる年金額は年齢で大きく変わる

老後の公的年金は、保険料納付実績などから決定した年金額を毎年もらえる仕組みになっています。ただし、年金額は物価や賃金の変動率に合わせて毎年改定されているため、保険料納付実績などの条件が同じであっても、年代によって年金額は異なります。

●年代別の年金額は?

厚生労働省が公開している「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、の厚生年金保険(第1号)の受給権者(主に民間企業に勤務していた人)の平均年金月額(老齢基礎年金含む)は、次の表のようになっています。

【年齢別の平均年金月額】

厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より筆者作成

表からわかるとおり、今の80代以上は平均で月16万円前後の年金をもらえています。一方、60代後半では14万円台前半と、親世代よりもかなり少なくなっています。
さらに、2022年度(令和4年度)の改定では、老後にもらえる国民年金の満額が前年度より0.4%引き下げになっています。今後もさらに年金額は減っていくかもしれません。

「ねんきん定期便」で年金額を確認しよう

毎年誕生月に日本年金機構より届く「ねんきん定期便」。中身をきちんとチェックしているでしょうか?ねんきん定期便では年金の加入状況や納付状況だけでなく、年金見込額も確認できます。見方のポイントは次のとおりです。

●50歳未満と50歳以上ではねんきん定期便の見方が違う

ねんきん定期便では、50歳未満の人は、これまでの加入実績に応じた年金見込額(将来支払う保険料は含まない)が表示されています。一方、50歳以上の人のねんきん定期便で表示されているのは、現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定した年金見込額です。したがって、より実際の金額に近いのは50歳以上の人でしょう。もっとも、いずれにしろ、年金が少ないと感じる場合には、老後に向けての対策を考えておくべきでしょう。

●ねんきん定期便に掲載されていない年金もある

扶養している年下の配偶者が65歳になるまで加算される「加給年金」や、加給年金終了後に配偶者の側の年金に加算される「振替加算」は、ねんきん定期便には掲載されていません。加給年金や振替加算がある場合には、ねんきん定期便の年金額よりも、実際の年金額が多くなります。

●ねんきん定期便に厚生年金基金の代行部分は書かれている?

厚生年金基金の加入期間がある人は、厚生年金基金及び企業連合会が国に代わって老齢年金の一部を支給する「代行部分」があります。2020年(令和2年)までは、50歳以上の人のねんきん定期便の老齢厚生年金額には代行部分が含まれていませんでした。2021年(令和3年)以降は代行部分を含めた額が表示されています。

PayPay証券

老後の年金額が少ない場合の対策は?

ねんきん定期便を確認して、老後の年金額が少ない場合には、以下のような方法で年金を増やせる可能性があります。

●老後の年金額を増やす方法1:長く働く

厚生年金は70歳まで加入できます。長く働いて保険料を納め続ければ、老齢厚生年金を増やせます。

●老後の年金額を増やす方法2:年金を繰下げ受給する

年金受給開始を遅らせる「繰下げ受給」を選択すれば、年金額が増えます。1か月遅らせるごとに0.7%増額するので、70歳まで繰下げると42%の増額です。2022年(令和4年)4月から75歳までの繰下げが可能になったため、最高で84%の増額が可能です。

●老後の年金額を増やす方法3:未納分を納める

未納になっている国民年金保険料がある場合、納期限から2年以内なら納めることができます。免除や納付猶予の申請をしていれば、納期限から10年以内の追納が可能です。未納分を払えば、老齢基礎年金を増やせます。
また、納期限から10年を過ぎた未納分は、60歳から65歳の間に国民年金に任意加入することで納付可能です。任意加入によっても、老齢基礎年金を増やせます。

まとめ

老後に年金だけで暮らせる時代は終わりつつあります。しかし、早いうちに対策をとれば、老後の年金を多少なりとも増やせる可能性はあります。「ねんきん定期便」が届いたら、将来の年金見込額を確認し、老後資金対策を考えておきましょう。

森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー

Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。

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