18/07/09
無駄遣いしてしまう「心の罠」を逆手に取る!? メンタルアカウンティングの対処法
メンタルアカウンティングとは、お金の出どころや、使い道によって無意識にお金の分類をしてしまい、扱い方を変えてしまう「心の罠」の1つです。
メンタルアカウンティングは、時に損を招くこともありますが、逆に利用して貯蓄に上手く活用することもできる「心の罠」。
今回は、そんなメンタルアカウンティングとの付き合い方をご紹介いたします。
メンタルアカウンティングとは?
メンタルアカウンティングは、お金の出どころや、使い道によって無意識にお金の分類をしてしまい、扱い方を変えてしまう「心の罠」の1つです。日本語では、心の会計と呼ばれます。
例えばギャンブルで勝ち100万円が入ってきたとします。せっかくのラッキーな棚ぼたの100万円。大切に将来のために貯蓄しておくとか、日々の生活費に充てるといった使い方ができればいいのですが、このような棚ぼた的なお金は、普段できないような贅沢に気前よく使ってしまう傾向があります。
一方、ボーナスで100万円が入ってきたとします。これまで頑張って仕事をしてきた対価として得たお金です。ぱ~っと使っちゃおうということにはならないでしょう。生活資金に充てる、一部は将来のための貯蓄に回す等、大切なお金として使い道を考えて使うかと思います。
同じ100万円なのに、お金の出どころにより無意識のうちに頭の中でお金の分類をしてしまい、分類の仕方で使い道に違いが出てくるのがメンタルアカウンティングによる影響です。
ギャンブルで得たお金でも、大切に使えば有効なお金にできるはずですが、ついつい、あぶく銭と思ってしまい無駄に使ってしまって後悔!そんな経験ありませんか?
投資で得られる運用益は特別なお金?
株式の配当金や、投資信託の分配金を使うことには抵抗はないけど、商品そのものを売却して取り崩すことには抵抗があるという方もいらっしゃるでしょう。
この考え方もメンタルアカウンティングにより、配当金・分配金(インカムゲイン)と値上がり益(キャピタルゲイン)を、無意識のうちに頭の中で分類してしまっていることによるものです。
ギャンブルなどと同じように、配当金や分配金は気軽に生活資金やお小遣いとして使ってもいいような気になってしまうことが多いようです。
でも、定期的に出る配当金や分配金を追加購入資金に回し複利効果を活用し、さらにふやしていけるかもわかりませんよ。
個人投資家はキャピタルゲインよりも、インカムゲインを好む傾向があるといわれています。これまで証券会社や銀行では分配金を多く出すことをセールスポイントとした投資信託が積極的に販売されていました。投資家がメンタルアカウンティングという「心の罠」にかかることを巧みに利用した販売手法といえます。
投資でメンタルアカウンティングの「心の罠」にかからないためには、キャピタルゲインとインカムゲインを分類せず、トータルでの損得を把握して管理するという姿勢を持っておくことが必要です。
メンタルアカウンティングは自分を律する手段として上手く利用する
メンタルアカウンティングによる無意識のお金の分類が、ついつい使ってしまう行動につながり損を招く「心の罠」を紹介してきましたが、逆に分類することで自分の気持ちを律して確実に貯蓄を継続するために「心の罠」を利用することもできます。
例えば、給与天引きによる積立貯蓄を利用することで、「このお金は老後のゆとり生活資金のため」とあえて分類をします。そうすることで、この貯蓄は手を付けちゃいけない別物という意識がメンタルアカウンティングにより生まれ、できるだけストレスを減らしながら確実に貯蓄が達成できるでしょう。
節税しながらお金を増やせる制度である、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(積立NISA)を活用して、将来のための貯蓄に分類してみるのもいいでしょう。
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小林 裕子 ひろファイナンシャルプランニング代表 CFP ・1級FP技能士
2008年FP相談業務開始。2014年事務所運営スタイルを金融機関等からの紹介手数料を一切得ず、報酬は顧客からの相談料のみとするフィーオンリーへ移行。「ファイナンシャルプランニングは100人100様」をモットーにライフプランの実行支援を行っている。
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